あきののの くさばもわけぬ わがそでの ものおもふなへに つゆけかるらむ
秋の野の 草葉もわけぬ わが袖の もの思ふなへに 露けかるらむ
秋の野原をぼんやりと、草葉をかき分けることもせずに歩きながら深い物思いに沈んでいる。そのせいで、自分の袖は涙で濡れてしまっているのだろう。
第四句「なへに」は「ちょうどそのとき」、「~するとともに」といった意。460 にも出てきました。
この歌は、後撰和歌集(巻第六「秋中」 第316番)に入集しており、そちらでは第二句が「草もわけぬを」とされています。