漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 608

2024-12-14 05:06:28 | 貫之集

はつかりの なきこそわたれ よのなかの ひとのこころの あきしうければ

初雁の なきこそわたれ 世の中の 人の心の あきし憂ければ

 

初雁が秋になると鳴きながら空を渡って行くように、私もずっと泣き続けている。愛しい人の心が私に飽きてしまったのがつらいので。

 

 第二句「なき」は「鳴き」と「泣き」、第五句「あき」は「秋」と「飽き」の掛詞ですね。第三句「世の中」は、ここでは男女の仲の意でしょう。
 この歌は、古今和歌集(巻第十五「恋歌五」 第804番)に入集しています。