漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 606

2024-12-12 04:43:23 | 貫之集

いろならば うつるばかりも そめてまし おもふこころを しるひとのなき

色ならば うつるばかりも そめてまし 思ふ心を 知る人のなき

 

私の心に色があるのならば人を染めてしまうものを、それも叶わず、あの人を思う私の心を知る人はない。

 

 第五句は伝本によって「えやは見せける」「えやは知りける」「知る人のなさ」など諸説あるようで、後撰和歌集(巻第十「恋二」 第631番)では「えやは見せける」、拾遺和歌集(巻第十一「恋一」 第623番)では「知る人のなさ」とされています。