みるひとも なきやまざとの さくらばな ほかのちりなむ のちぞさかまし
見る人も なき山里の 桜花 ほかの散りなむ のちぞ咲かまし
伊勢
見る人もいない山里の桜花よ、他の花が散ってしまったあとに咲けばよいものを。
詞書に「亭子院歌合の時よめる」とありますが、この「亭子院歌合」が開催されたのは913年。古今集にこの歌合から採られた歌が3首あり、古今集の成立年を論じる際にひとつの材料とされます。
全二十巻からなる古今集の巻第一「春歌上」はこの歌でおしまい。0066 からこの 0068 まで、桜が「散りなむのち」のことを歌った三首で締めくくりとなります。
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