あまびこの おとづれじとぞ いまはおもふ われかひとかと みをたどるよに
あまびこの おとづれじとぞ 今は思ふ われか人かと 身をたどる世に
小野春風
便りをいただきましたが、山びこのようにすぐに答えて訪ねることはできないと今は思います。嘆きの余り、自分と他人との区別もつかなくなっていますので。
詞書には「左近将監解けてはべりける時に、女のとぶらひにおこせたりける返事に、よみてつかはしける」とあり、その内容も踏まえて言葉を足した解釈としています。役職を解任されたことに対する嘆きの詠歌ですね。
小野春風(おの の はるかぜ)の歌は 0653 以来の登場。入集はこの二首のみです。