漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0813

2022-01-20 19:28:55 | 古今和歌集

わびはつる ときさへものの かなしきは いづこをしのぶ なみだなるらむ

わびはつる 時さへものの かなしきは いづこをしのぶ 涙なるらむ

 

よみ人知らず

 

 嘆き尽くした後になってもまだ悲しいのは、いったいどこの誰を偲ぶ涙なのでしょうか。

 「はつる」は、動詞の語尾について「すっかり~してしまう」意を表す補助動詞「はつ(果つ)」の連体形。枕草子冒頭「春はあけぼの」の一節「日入りはてて、風の音、虫の音など、はた言ふべきにあらず」の「はてて」と同じ用法ですね。第四句の「いづこ」は場所を表す代名詞であり、愛しい人のことはすでに「わびはて」たのですから、ここでも「誰」のニュアンスは入っていないものと捉えるむきもあるようです。

 

 さて、昨年2月から始まった「恋歌」の章も残り15首となりました。ラストスパート(?)ですね。



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