今回紹介するのは、
元町公園にある煉瓦製の建物。
「旧開拓使函館支庁書籍庫」という建物で、かつてこの地に建てられていた「開拓使函館支庁」の付属施設として、1880年に建てられたとされています。
外壁に使用されている煉瓦は、1872年に創設された「茂辺地煉瓦石製造所」の物が使用されており、1907年に発生した大火でも類焼を免れています。
この外壁を構成する煉瓦で特筆すべき点は、製造された年の刻印が残っている物が多くあるという点です。
「茂辺地煉瓦石製造所」が創設された1872年は、和暦で言うと「明治5年」ですが、ここにある煉瓦には、和暦で製造年が刻印されている物が見られます。
刻印が確認できるのは、「明治七年」「明治八年」「明治九年」の三つです。
この書庫は、函館に現存する最古の耐火建築と言われており、建てられる前年と前々年(1878年~1879年)に発生していた大火をきっかけに、開拓使函館支庁が煉瓦製による耐火建築の施工を奨励し、この書庫が建造されたとされています。
それが、1907年に発生した大火による類焼を免れ、歴史を語る建物として現存しているということです。
この煉瓦の積み方には特徴的な部分があり、写真のように、横一列で見た時、煉瓦の長手と小口が交互に並ぶ形となっています。
これは、「フランス積み」と呼ばれるやり方です。
しかし、その一方で、同じ建物の別な部分では、一つの列は長手、その上は小口でそのまた上は長手と重なっている所もあります。
これは「イギリス積み」というやり方ですが、この二つの積み方による建物は、他にも幾つか見ることができますので、次回はそれを紹介します。