最短で26日に優勝マジックが点灯するヤクルトのベンチに壁はない。「のびのび野球」高津監督が掲げる野球を、ナインが体現し勝利を呼び込む。
「覚悟を決めて、腹をくくって、グラウンドに立ったらのびのびやってくれた。それがスワローズの野球。交流戦は14勝4敗で18年以来、4年ぶり2度目の優勝。最後の試合だった12日のソフトバンク戦の試合後、指揮官はナインを集めた。「これから先が本当の正念場。この4日間でしっかり心も体もリフレッシュしてください」と2日間の休養日を含むリーグ戦再開までの過ごし方を指令。練習の虫である宮本には「明日(13日)はスイング禁止。これはもう監督命令だから」といじって和ませた。
根底にあるのは野村イズムだ。恩師である野村監督について高津監督は「野球は凄く難しくて奥が深いけど、グラウンドではのびのびやらせてくれた」と言う。だから自身も選手が萎縮するような雰囲気は絶対につくらない。この日も試合前に「ミスしたらお小言をもらうかもしれない。でも、そんなことを気にしてプレーすることは絶対にやめてください」と選手に伝えた。
チームは野村監督が指揮してリーグ優勝と日本一に輝いた97年6月29日以来となる6月中の貯金20。日数も63試合目での到達も、ともに球団史上最速だ。今のチームには一体感、そして底力がある。
≪V率86%≫ヤクルトが今季最多の6連勝で41勝21敗1分けとし、両リーグ最速で貯金20に到達した。ヤクルトの貯金20到達は8度目で、6月17日、63試合目での達成は、97年の6月29日、66試合目を抜く球団最速になった。また、高津監督は昨年に続く大台到達。ヤクルトで2度も貯金20以上にチームを導いたのは93、95、97年と3度の野村克也監督以来2人目で、2年連続は初めてだ。なお、チームが貯金20をクリアした過去7シーズンのうち、優勝を逃したのは2位に終わった80年しかなく、V確率は86%だ。 セリーグは監督の能力の差が顕著です。高津監督は平成の名将野村監督越えの監督かも知れません。