将棋の第37期竜王戦7番勝負第5局が本日27日から、和歌山市「和歌山城ホール」で行われる。シリーズ対戦成績は2勝2敗のタイ。藤井が竜王4連覇へあと1勝に迫るか、タイトル戦初挑戦の佐々木がタイトル奪取に王手をかけるか。注目の一戦だ。第4局は佐々木の渾身(こんしん)の研究手に完敗した藤井は「第5局から、改めて3番勝負という形になったので、盤上に気持ちを集中して、全力を尽くしたい」と決意を語った。
中国に関係するハッカー集団が米国の不特定多数の通信会社回線に侵入し、法執行機関の監視データを違法傍受したとされる問題で、米連邦議会の上院情報委員会のマーク・ワーナー委員長は21日付のワシントン・ポスト紙で 「米国史上最悪のハッキング」と警戒感を表明した。
同委員長は「これが、世界中で中国が展開している通信システム侵入と膨大な量のデータ窃取工作だ」と述べた。
同委員長はニューヨーク・タイムズ紙のインタビューでは、侵入工作がバイデン政権の把握している規模を超えており、ハッカーは電話の会話を盗聴し、テキストメッセージを読むことができた明らかにした。
さらに「倉庫の扉はまだ大きく開いている、あるいはほとんど開いている」と述べ、依然としてスパイ工作にさらされていると警鐘を鳴らした。
連邦捜査局(FBI)と国土安全保障省サイバー・インフラ安全局(CISA)が13日発表した共同声明によると、ハッカーらは「多数の通信会社」のネットワークに侵入し、「主に政府や政治活動に携わる限られた数の個人」から通話記録や通信を盗んだ。
中国政府は繰り返しこうした盗聴工作を否定している。日本でも公然と見逃され、行われているとしたら、下らない講釈を垂れているマスコミから電波既得権をはく奪し、社会に役立つ情報を流す機関に変えるべきでしょう。
「中国経済が『想像以上に悪化』している…国民はもう政府の政策に従わず、米中抗争どころではない。
しかし、外圧が強まれば、それを利用して政府の求心力(統制力)を強化できるのが中国の特徴であるため、習近平の権力は今後も揺らぎはないだろう。また、中国の政治が不透明で、「党軍関係の安定」に頼って統治を強化していることも相まって、米国が中国の政治環境を不安定化させることは難しいだろう。
中国が現在の硬直化した経済的・政治的引き締め政策を維持すれば、対抗の力だけではなく、レジリエンスの力も弱まるだろう。中国が米国の圧力にある程度妥協しない限り、困難は増大し続けるだろうが、そのような妥協の可能性は大きくはなさそうだ。したがって、長期的には、中国も米国も相手を圧倒することはできず、それぞれが損失を被るか、あるいは共倒れの恐れすらありうる。
トランプ当選前後の反応を見てみると、中国大陸の企業までもが国外への流出が加速しており、業界ではこれを「中企出海」(中国企業が外海へと出ていく)現象と呼ばれている。その実際の難度は高いとはいえ、方向転換は進んでいるようだ。
資本の流れから見ると、最近では香港・東京・シンガポールへの動きが最も活発で、またこれら3市場を経由して他国に移転した資金もある。企業の流出については、主にベトナムやタイなどの東南アジア諸国、また一部の南米諸国やトルコも間接的に恩恵を受けている。これらの傾向は、全体として中国の基盤を弱体化させることを示しているだろう。
米中対立はまた台湾の不確実性を高めることになるだろう。トランプの当選によって、米国の対ウクライナ支援は変化するであろうことを見越して、バイデンは戦争を一刻も早く終結させようとウクライナ軍への支援を加速させるとの意向を示した。
トランプがアメリカ・ファーストを堅持し対外支援を縮小すれば、台湾にも影響が及ぶだろう。トランプが中国と何か秘密裏に取引する際、台湾が交渉のコマとなる可能性さえ推測されている。
台湾当局はトランプの当選後、米台関係に影響はないだろうと述べたが、そこには「短期的には」という言葉が添えられていた。さらに、トランプを支持する米国の起業家、イーロン・マスクが、台湾からスペースXを徐々に撤退させることをすでに決めていると報じる外電もある。
北東アジア情勢も又、微妙だ。近年、北朝鮮は中国との、つかず離れずの距離を置いた関係を維持しており、派兵でロシアを支援し、韓国にも武力による威嚇を仕掛けている。これは明らかに混乱に乗じて利を得ようとする現れだ。中国にとって北朝鮮は、コントロールはできないが見放すこともできない存在になっている。さらに金正恩はトランプに「関係改善」を持ちかけ「38度線」で会談したこともある。この関係はどうなっていくのか? 北東アジアの不確定要素は増大していく。
このため、中国は近年、韓国との関係を強化し続けている。外交、経済貿易関係は改善しつつあり、バランスをとろうとしている。しかし、この動きは中国にとってあまり有益ではない。なぜなら北朝鮮とロシアにはそれぞれの思惑があり、中国が経済的な手を差し伸べても、しばしば痛い目に遭っている。
韓国は中国との経済的発展関係を維持しているが、政治・外交・軍事などいずれの面でも米国に接近せざるを得ない。
日本に関しては、日米関係は非常に強固であり、簡単には揺るがないと中国は考えており、日本国内の政治的変化も含めて観察し続けるしかない。
トランプの大統領就任後は、政治や経済を含め、政治レベルでは「アップル・デイリー」のジミー・ライ事件への影響が考えられ、経済レベルでは香港への制裁を強化するかもしれない。さらには、在米香港経済貿易代表部の事務所の廃止法案を再び提起することもあり得る。
しかし、香港の民主主義や自由を理由に米国が中国との対立を深めるとは到底思えない。香港と米国の経済貿易問題に関して言えば、それは米中対立における単なる小さな駒に過ぎないからだ。米中対立は、中国も米国も相手を圧倒することはできず、それぞれが損失を被るか、あるいは共倒れの恐れすらありうる。というのが現状だ。
この国の人口はどこまで減っていくのだろうか。今年1年間の出生数が70万人割れになるかもしれず、大きな話題となっている。
そんな衝撃的な現実を前にしてもなお、多くの人が「人口減少日本で何が起こるのか」本当の意味で理解していない。
晩婚化で新築より中古に目が向く人が増える
新築住宅に関しては晩婚化が押し下げ要因になりそうである。
住宅はローンを組んで購入する人が大半だ。月々の返済額を考慮すれば若いほうがローンを組みやすい。
ところが、住宅取得年齢が晩婚化で40代半ば以降となれば、月々の返済額が大きくなるので取得する物件の価格の方を抑え込みたいという人の割合が相対的に増える。新設住宅よりもリーズナブルな中古住宅へと目が向く人が増えることとなるだろう。
実は、これまでも新築住宅の着工戸数は多少の変遷を重ねながら減少カーブを描いてきていた。30代前半の減少に晩婚化の影響が加わって、今後は新築住宅の取得者はさらに下落の道をたどることになるだろう。
野村総合研究所の推計(2022年)は、新設住宅の着工戸数は2021年度の87万戸から、2030年度は70万戸、2040年度には49万戸へと減少していくと見込んでいる。
2030年度の利用関係別の推計は、持ち家(自分が居住する目的で建築する物件)25万戸、分譲住宅(建て売りまたは分譲目的で建築する物件)17万戸、給与住宅を含む貸家(賃貸する目的で建築する物件)28万戸だ。新築といっても、自宅として建てる人は案外少ない印象である。
一方、野村総研は、中古住宅の流通量も予測しているが、2018年の16万戸から、2030年に19万戸、2040年には20万戸へとゆるやかだが増加するとの予測だ。
ただし、晩婚化で増加すると言っても「横ばい」と言っていいほどの増加率である。新築住宅の着工戸数の目減り分を補うほどの規模とはならないのは、住宅を購入し始める30代~40代の減り方が大きいためである。新築か中古かの区別とは関係なく、住宅取得の総数が全体的に減っていく。
今後、新築物件を減らす要因は、既存の中古住宅市場における取引の活性化だけではない。新たな要因となりそうなのが空き家の再生である。
政府は活用を進めていく方針だ。国交省の資料によれば、簡易な手入れによって活用可能で、しかも最寄り駅から1キロメートル以内という空き家は全国に約50万戸(一戸建て約18万戸、共同住宅等が約32万戸)ある。
最寄り駅から1キロメートル以内の好立地だが腐朽破損しているものが約46万戸、耐震性不足の物件が約56万戸ある。これら約102万戸を合わせた約152万戸について、政府は改修や建て替えなどを施して「住宅」として蘇らせることを想定している。ますます新築物件の建築数を押し下げることになろう。新築需要が少なくなれば不動産の資産価値そのものが下落する可能性も出てくる。
住宅取得年齢層の縮小に加えて、「空き家」の再生が本格化してくると、新築物件を主力としてきた住宅メーカーや不動産会社は収益モデルの見直しを迫られる。中古販売をこれまで以上に強化しなくてはならなくなるだろう。
他方、中古住宅市場の活性化は、リフォームの市場規模の拡大につながる。野村総研はエアコンや家具、インテリア商品の購入費などを含めたリフォーム市場は年間7兆~8兆円台で推移すると見積もっている。
人口減少は、住宅メーカーや家具メーカー、不動産会社など「住まい」に関係する各産業の役割を大きく変えて特徴を持たない中小業者は特に、ジリ貧になっていくだろう。
香港の不動産価格についてS&Pグローバルレーティングは不動産価格が2021年より30%下落したと発表。只、今後アメリカは利下げ続き、2025年以降、香港の不動産価格は回復すると予想している。その根拠は、現在香港では40平米以下の宅それを買って賃貸に出したら利回りは4.6%で住宅ローン金利を少し超えている。住宅ローン金利の低下による利回り率上昇での分析です。
同機関は中国経済がコロナ後、絶対に復活すると判断したが外れました。
香港の不動産価格は20年~30年間上昇し続け、それを支えたのは経済拡大でした。需要があり、特に外資系の投資機関は香港で事務所を開設し、多くの従業員を呼び込み住宅価格を上昇させた。
現在は変わり、外資は逃げ出し、香港の富裕層は高級不動産を売却し移民している。New YorkTIMES11月14日付、香港不動産について住民はみんな現金が
欲しいと求めて、富裕層はどんどん不動産を売却している。香港の富裕層は投資不動産価格の上昇で富裕層となった豪邸を売却している。物件価格は数千万アメリカドルでも値段を下げて売っている。売りに出している値段より30%から40%引き、最高値の約半額まで値引きして売買設立している。
香港不動産価格は20年~30年ずっと上昇し、世界で1番高い価値だと評価されてきていた。一般の香港人たちは小部屋に泊まったり、停泊船で泊まったりしていた。
中国大陸の不動産価格は崩壊し、株式市場も悪化し、中国大陸での投資も失敗した。資金不足で困ている香港富裕層が多い。恒大グループの会長も2009年に1.3億アメリカ㌦で購入した不動産を半額で手放した。中国の大富豪リストに載っている432名中国の大富豪が3年間で消えた。現在の香港不動産価格は1997年アジア金融危機よりも低迷している。香港にある全ての金融機構は巨額損出を計上した。原因は香港の経済は中国より独立していないからだ。ずっと中国大陸と密着しているからだ。
中国大陸の経済がおかしくなると香港経済もショックを受ける。香港の大富豪、芸能人みな中国大陸との関係が深い。大陸の経済が良くない、あるいは大陸で活動できなくなってしまうと収入が激減する。更に、香港で豪華な生活はできなくなる。これからも持ちこたえられなくて、高級物件を手放す人が増えてくるでしょう。香港は過去の経験則が通じない悲惨な状況です。
銀座は1丁目から8丁目まで存在しますが、高級クラブが多いのは4丁目から8丁目に集中している。その中でも特に8丁目には多くの高級クラブが集まっており、新橋駅の方が銀座駅よりも近いことが多い。銀座博品館の裏側に位置するエリアに、高級クラブが多数存在する。
銀座の有名なビル
銀座 ポルシェビル(奥村プラッツビル)
銀座で最も知名度が高いビルの一つ。ここには、銀座グレ、銀座サードフロア、銀座柳、銀座クラブオーなど、名だたる高級クラブが多く入っている。
銀座 ウォータータワービル
ポルシェビルと並んで有名なビル。銀座クラブJ、銀座ロイヤルガーデン、銀座シレーヌなどの高級クラブが入っている。
銀座会館
銀座会館には、銀座藤谷、銀座ソシエ、銀座ミラジュールなどが集まる。
銀座 ピアースビル
銀座ピアースビルには、銀座バカラ、銀座 七凪、銀座パレスなどが入っている。
銀座の高級クラブ街の中でも、有名な奥村プラッツビル(通称ポルシェビル)の2階に位置していたクラブ、Brilliant(ブリリアント)が、閉店された。
このお店は、コロナ禍の2020年12月にオープンし、コロナ禍を乗り越えて約3年半の間営業してきた。
お店の柱である、オーナーママとしてブリリアントを率いてきた川西美華ママは、シンガーソングライターとしても活動されていて、楽曲アルバムも製作されている多彩な方。
近頃は、新店の情報も多々見られますが、こうして閉店していく有名店があることもまた事実。
蛇足ですが、銀座クラブNo.1のフロア面積は100坪の「クラブ藤井」です。個人経営が多い業界、ナンバーワンと言っても、大した広さではないですね。
経済誌「フォーブス」が発表した2024年版の世界の富豪ランキング「フォーブス400」で1位、2位にランクインしたテスラのイーロン・マスクCEOとアマゾン創業者のジェフ・ベゾスだが、大統領選の結果について、SNSでマスクがベゾスを口撃し、両者の確執が注目を集めている。
最新の「ブルームバーグ・ビリオネア指数」でも、総資産3,310億ドル(約51兆1,060億円)とマスクは世界一の富豪に君臨している。
マスクの資産は7月にトランプ支持を初めて表明した時の2,600億ドルから30%近く急増した。
なお、ベゾスの総資産は2,260億ドル(約34兆9,000億円)で2位を維持している。
アメリカ「CBS」は、両者の応酬について「マスクとベゾスはここ数年、宇宙産業において激しく競合してきた」とし、「トランプがホワイトハウスに戻ることが決まった今、誰がトランプ政権下で事業を成功させることができるか競っているようだ」と分析している。
中国経済が軟調です。第2次トランプ米政権への警戒感が広がっていたが、テクノロジー企業の決算が期待外れで地合いが一段と悪化した。 投資家が「不動産や株式から消費に至るまで何も改善されていないことに気付いた。
香港に上場している中国のテクノロジー銘柄で構成されるハンセンテック指数は2.6%下げ、10月の高値からの下落率が20%を超え、テクニカルな弱気相場入りとなった。
中国株は10月のピーク以後、下げ続けており、中国政府の財政刺激策の展開ペースに対する不満が広がり、米中間の緊張に対する懸念も強まっている。
トランプ次期米大統領は中国製品に60%の関税を課す意向を示しており、輸出企業は取引先を長期的にアジア、中南米、アフリカにシフトさせる準備を進めている。利益率の低さも企業の頭痛の種だ。今月5日の米大統領選以降、ドルは人民元に対してすでに約2%値上がりしている。 輸出企業は「輸出代金で現地の商品を購入して中国に輸入し、利益はドルに両替する。これが為替リスクを管理するシンプルで基本的な方法だ」 と語っている。
厚生労働省のレポート「2023年 国民生活基礎調査の概況」によると、1世帯当たり平均所得金額は、524万2,000円となっています。
所得金額最も多いのは「100~200万円未満」
「所得」と聞くとお給料による「収入」を思い浮かべるかもしれませんが、両者の種類は異なります。所得とは、源泉徴収前の収入から必要経費を引いて残った額を指します。一般的なサラリーマンの場合は、給与所得控除を差し引かれた金額、定年退職後の場合は、公的年金等控除額を差し引いて残った金額が基本的な所得となります。
1世帯当たりの年間の平均所得金額は、「全世帯」が524万2,000円となっています。「高齢者世帯」が304万9,000円、「高齢者世帯以外の世帯」が651万1,000円、「児童のいる世帯」が812万6,000円です。
所得金額階級別にみていくと、「100~200万円未満」が14.6%と最も多く、「200~300万円未満」が14.5%、「300~400万円未満」が12.9%と続きます。中央値は405万円であり、平均所得金額(524万2,000円)以下の割合は62.2%となっています。「100万円未満」は6.9%です。
所得金額階級が上がるごとに世帯数は右肩下りに減っていき、「1,000~1,100万円未満」では2.6%、「2000万円以上」が1.3%となっています。
世帯主の年齢階級別の所得の状況
世帯主の年齢階級別に1世帯当たり平均所得金額をみると、「50~59歳」が758万5,000円で最も高く、「40~49歳」が696万円、「30~39歳」608万5,000円と続きます。「29歳以下」では339万5,000円。
国税庁『令和5年分 民間給与実態統計調査』によると20代前半の平均年収は267万円、20代後半で394万円です。都内暮らしの場合、家賃やら何やら日々の出費でカツカツ……となってもおかしくない金額です。
1世帯当たり平均所得金額をみて「50代の所得が多いな?」と感じた方もいるかもしれませんが、これはあくまで世帯主別の金額。1人あたりの所得金額ではまた違った様相がみえてきます。
「大変苦しい」「ゆとりがある」生活意識は…
世帯人員1人当たりの平均所得金額をみると、最も高いのは「50~59歳」で309万4,000円、「60~69歳」が248万4,000円、「30~39歳」が246万1,000円と続きます。最も低いのは「70歳以上」の193万5,000円です。
70歳以上の所得の大部分は公的年金。公的年金・恩給を受給している高齢者世帯のうち「公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯」は41.7%で、多くの高齢者世帯が、年金以外の収入がない状態で生活していることが明らかになっています。
同調査では、生活意識についてもアンケートを取っています。「大変苦しい」と「やや苦しい」があわせて59.6%となっています。「普通」が35.8%、「ややゆとりがある」が3.9%、「大変ゆとりがある」が0.7%と続きます。
各種世帯の生活意識をみると、「苦しい」の割合は、「高齢者世帯」が59.0%、「児童のいる世帯」が65.0%。育児や教育にかかる費用負担が家計を圧迫しやすく、家族が安定した生活を営むためには十分な支援が欠かせません。
少子高齢化が進む社会では、すべての世帯が基本的な生活を営めるよう、国や自治体による生活保障の充実が求められます。子育て世帯に対する補助の拡充や、高齢者の医療・介護費負担の軽減策など、世帯ごとの課題に応じた支援が必要です。生活の「苦しさ」を感じる家庭が減ることで、社会全体の「安心感」も高まるでしょう。
ウクライナ侵攻やイスラエル・パレスチナ紛争等の地域紛争によって、国連主導の秩序が脆弱化することを一番恐れているのは中国である。それは長年国連を舞台に展開してきた外交利益が失われる可能性があるからだ。台湾有事の鍵を握るのは、国連主導の秩序がどう転ぶかである。
中国研究者でありインドの国立大学研究フェローの中川コージ氏は中国がアメリカを凌駕する国になることを目指していることをもって、「既存の国際秩序に挑戦する」と解説されることがありますが、これは大きな間違いです。どちらかと言えば、「既存の国際秩序を守り、利用しつくして、その支配の確立に挑戦する」と言った方が適切でしょう。と語る。
国連での代表権を北京中央(中国)が台湾(中華民国)から奪ったアルバニア決議(1971年)以降半世紀、中国は国連を舞台に大きな外交利益を得てきました。中国側は、国連(憲章)のもと、唯一の中国代表であることを喧伝し、「1つの中国」原則というロジックで、多くの国家に対し二カ国間で唯一性を承認させています。
チベット、ウイグル、モンゴルを含む中国の現在の国境線が認められ、国内問題への国際社会からの批判を「内政干渉だ」と突っぱねられるのも、内政不干渉を是とする国連中心の国際秩序の賜物です。
もし、宇露戦争や2023年10月から激化しているイスラエル・パレスチナ間の衝突などで国連の枠組みが揺らぐと、中国は半世紀にわたって投資してきた貴重な「外交資産」を失います。だからこそ、地域紛争が国際秩序に影響を与えることを防ごうと動くのが中国の第一原則です。
現在のところ中国は、宇露戦争に関しては中立化戦略を取り、イスラエル・ハマス間の紛争に関しても「二国家解決」を前提とした中立を表明して、言い換えれば「知らんがな」のスタンスを取っています。国際法違反であるイスラエルの攻撃を非難しない西側諸国を「ダブルスタンダードだ」と攻撃することもあります。
中国メディアの中には「欧米はウイグルを批判するが、ガザに暮らす人々よりはマシだ」などと書く媒体もありました。こうした攻撃も、国連という枠組み、現在の国際秩序が存在する中でこそ生きるものです。
北京中央は中華人民共和国建国百周年にあたる2049年までに米国を凌駕する野心を持っているがゆえに、2040年代までは米国に対して「戦いません、勝つまでは」戦略を継続する見込みです。米中の成長スピードが相対的に中国に有利に推移することを確信し、産業と経済の力で中国の国力が自然に増大し、世界覇権を「実質的に」握れると判断しているのです。
そうした北京中央が想定するシナリオを前提とすれば、日本にとっても関心が高い「中国は台湾をどうしたいのか」についても、自然に想定が見えてきます。
中長期的には、北京中央は中華人民共和国の国力が圧倒的に米国を凌駕した時点で、台湾執政に関与する流れを想定しています(シナリオA)。その場合は国連という組織と、国連中心の国際秩序が続くことが欠かせません。
そのため、国連での中国の影響力に疑問符が付くような行動には慎重になります。過激なアクションを起こさず、待てば待つほど、北京は台湾の執政への関与に軍事力を用いることなく、低コストで近づけると考えているからです。
宇露戦争が短期で収束し、国連中心の秩序が維持されるなら、ロシアが中国に依存することで経済的利得も増し、台湾危機をエスカレートさせる動機は低くなりましたが、侵攻開始から丸2年が過ぎ、イスラエルに対する決議でアメリカが連続して拒否権を行使するような状況にある現在、中国はここから国際秩序がどの方向に動くか注視しているはずです。
もう一つのシナリオは、国際秩序が国連中心からG7を中心とした新秩序にシフトすることです。その場合、台湾の国際的な位置づけが抜本的に変更され、それに伴って台湾人が何らかの外からの圧力(アメとムチ)や影響を受けて仮に独立を望むことになれば、北京中央にとっては平和裏に両岸問題を解決するという選択肢を失うことになり、内政コストと軍事コストが増します。これは北京中央が最も嫌い、警戒する事態です(シナリオB)。
宇露戦争の長期化で、国連主導の秩序が脆弱化する可能性がありました。宇露戦争発生時にG7各国が連携して新たな国際秩序の構築へ動けば、大きな転換となる可能性もあったのですが、今のところはその傾向は消失しています。仮に、今後何らかの大規模な地域紛争が発生し、国連主導の秩序が崩れれば、中国が長年育てた「資産」が埋没コスト化し、何よりも「1つの中国」原則が揺らぎます。
台湾執政に関与できる見込みが薄れると、中華人民共和国の憲法にも記される台湾統治への安定的道筋が崩れ、末端党員や大衆人民に党中央の無謬性(「党中央に失敗はない!」)を証明できなくなります。普通選挙がないからこそ、無謬性の崩壊は党による統治体制を根幹から揺るがし、正統性にイエローカードが突きつけられるわけです。
これは、中国共産党(北京中央)が最も避けたい事態です。北京中央は、党による統治の正統性と無謬性の低下を回避すべく、軍事侵攻を画策する蓋然性が高まります。世界と日本は、現在の「戦狼外交」の比ではない、中国の圧倒的な粗暴化に直面し、台湾有事のエスカレーションへの対処を強いられます。
日本がシナリオBを望むことは、選択肢としては「あり」です。ただし、新国際秩序には莫大な立ち上げコストがかかり、軍事的にリスキーなので、日本がシナリオBに突き進む決断を実際にする必要は、今はありません。しかし政治的な選択肢としてシナリオBが存在しているのを意識するだけで、中国を牽制するカードになる。その意味で「あり」なのです。
11月4日、湖北省で視察中の習主席は、湖北某所に駐屯の解放軍落下傘部隊を視察した。習主席は地方視察中に解放軍部隊を視察することは往々にあるが、今回の場合、制服組トップの張又侠・中央軍事委員会副主席が習主席を実質上軍から排除して解放軍の掌握に成功したと観察されている中で、習主席の軍視察は大変注目すべき動きである。
10月15日から2日間、習主席は福建省を視察したが、その直前の14日に解放軍がまさに福建省を最前線にして台湾を囲んで軍事演習を行った。にもかかわらず、習主席が福建省視察中に軍の視察も軍との接触もいっさいなかったことは上記記事でも伝えたが、これと比べると、11月4日の解放軍視察はわざとらしくて、何かの特別な政治的意図があることは考えられる。
そこで注目されるのは、習主席の落下傘部隊視察に同伴したのが、中央軍事委員会副主席で解放軍制服組No.2の何衛東氏であることだ。10月30日掲載の「習近平はもうおしまいなのか…中国人民解放軍で『静かなクーデター』!粛清に反抗してとうとう制服組トップが軍を掌握」で伝えたように、何氏は9月13日に北京で開催された安全保障関係の国際フォーラムに参加して以来、9月、10月中には公の場から姿を消して動静はいっさい伝わっていない。
特に、10月中に軍事委員会副主席の張又侠氏が主宰した二つの軍の重要会議・イベントに、同じ副主席の何氏が連続的に欠席したことはもはや異常事態である。つまり、張氏が「静かな政変」を起こして軍からの習主席排除に成功した中で、主席側近の何氏も一緒に排除されたのではないかとの観測も成り立つのである。
しかし今、約50日間にわたって姿を消して何氏が突如現れて、習主席の落下傘部隊に視察に同伴した。そのことの意味するところは、習主席が側近の何氏と共に、張又侠たちの下剋上の「静かな政変」に対し「上からの政変」を起こして、軍への掌握権を奪い返しに奇襲してきたのではないかと見ることができる。
その際、習主席の「上からの政変」は地方の解放軍部隊への視察から始まったことも興味深い。つまり、軍の中央が張氏たちによって掌握される中で、習主席側は地方からそれを打破する突破口を作り、中央への逆襲に打って出た訳である。
かつての毛沢東時代、文化大革命の前夜、毛沢東が劉少奇一派より中央での発言力を排除された時、まさに地方視察を行なって中央への反撃を開始した。そして奇しくも、当時の毛沢東は湖北省視察の直後に、北京に戻って劉少奇一派打倒の文化大革命を発動した。今、「第二の毛沢東」を目指した習近平は、湖北省視察から、軍の掌握権の奪い返しに動き出した模様であるが、それが成功できるかどうかは、まさにこれからの見どころである。
習主席と解放軍との亀裂が深まる中で、今や政府の長として習主席と対立関係にある李強首相の動向が注目されている。その李強は最近になって再び、「習近平排除」とも思われるような小さな政治行動に出た。
11月12日配信の新華社通信報道によると、李首相は近日、「全国の祭日及び記念日休暇に関する条例を改定する国務院の決定」に署名し、それを実施に移したという。それによって、来年1月1日から、全国の法定休日が2日分増やされる。その中で大変注目されているのは、「除夕」という伝統祭日を法定休日に再び定めたことである。
「除夕」とは、旧正月の元旦の前日のこと、日本の「大晦日」にあたる。それは、中国人にとっては一家団欒の大切な日であって、除夕の夜、家族が集まって「年夜飯」という宴会の食卓を囲むのは遠い昔からの習俗である。従って遠い昔から、除夕の日に(あるいはその前日から)いっさいの仕事をやめて休むのは当たり前のことで不動の習慣であった。そして2008年1月から、除夕は国務院令をもって法定休日にも定められた。しかし、2014年1月から、除夕はどういうわけか、同じ国務院令をもって法定休日から外された。除夕が休日ではなくなるのはおそらく、中国史上初めてのことであろう。その時、国務院は徐夕の休日外しの理由をきちんと説明しなかった。
それに関する様々な推測が出ていたが、その中の有力説の一つは、2013年3月に中国の国家主席になったばかりの習近平氏が「除夕」を嫌っているからだ、というものである。
実は中国語では、「夕」という単語は習主席の名字の「習」とは全く同じ発音の「Xi」である。「除夕」は中国語で発音すればそのまま「除習=習近平を除く」となる。だから習主席がそれを忌避して除夕を休法定休日から外させた、ということが、民間での「定説」となっていた。
しかし10年後の今になって、李首相が国務院の決定として「除夕」を再び法定休日に指定して昔の伝統を回復させた。当然、李首相としては「除夕」が習近平政権の下で休日から外されたその経緯が分かっているはずだし、「習主席が除夕を嫌う」という広く流布されている民間の言い伝えを全く知らないとは思えない。
もし、李首相が全てを知った上で日この挙動に出たのであれば、これは李首相による一連の「習近平排除」の政治行動の一環として解釈することもできる。どうやら李首相は何の遠慮もなく、「除習」を着々とやって行くつもりのようだ。今後の展開は楽しみであろう。
ウクライナとロシアを巡る地政学リスクが引き続き投資家心理の重荷となっていたが、好決算を発表したエヌビディアが2024年11月-2025年1月期の見通しなどが勢い不足と判断され、 時間外で下落している。
米半導体大手エヌビディアは20日、第3四半期決算を発表した。調整後の1株利益は0.81ドルとなり予想の0.74ドルを上回った。純利益は193.1億ドルとなった。 なお、第4四半期の売上高は375億ドル(プラスマイナス2%)になると予想した。
★米連邦準備理事会(FRB)の有力発言者、ボウマン理事 は「現在、FRB当局者が考えているよりも中立政策に近い可能性がある」 「FRBは金融政策に関して慎重なアプローチを取るべきだ」 「インフレは依然として懸念事項である」 「11月の利下げは金利を徐々に引き下げるという自身の考えと一致。これを支持した」 「インフレ抑制の進展は停滞しているようだ」 「経済は好調で、労働市場は完全雇用に近く、インフレは高い」 「インフレ目標を達成せずに政策を再調整していることは懸念される」 「FRBは柔軟になる必要がある」と述べた。
「定年後の事実」とは、年収は300万円以下、本当に稼ぐべきは月10万円、50代で仕事の意義を見失う、60代管理職はごく少数、70歳男性の就業率は45%――。
年齢階層別の純貯蓄額の推移、30代で665万円の負債超過であったものが、40代で負債超過の額は48万円と貯蓄と負債がほぼ均衡、その後は50代で1052万円、60代に2080万円まで純貯蓄が増える。
❝家計調査においては、住宅資産を貯蓄として計上していないが、当然、住宅資産も売却すれば一定の価値を生むことになる。このデータには計上されていないが、これとは別に長期にわたる住宅ローンの支払いも家計の資産構築に寄与していることになる。❞
〈貯蓄の内訳をみていくと、60代では出し入れ自由な「通貨性預貯金」(582万円)と預け入れ期間に定めのある「定期性預貯金」(882万円)で約6割、家計の資産には流動性の高いものが多く含まれている。それに加えて、生命保険などが495万円、有価証券が345万円という構成となる。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」では、家計の資産の状況をより詳細に捕捉しているが、2020年度の調査において、60代の金融資産の平均額は2154万円、中央値は1465万円と、家計調査と整合的な結果となっている。
なお、貯蓄の額については、一部の資産家の数値が平均値を大きく引き上げる傾向があるため、平均値と中央値には大きな乖離が生じる。平均的な60代の家計が有する資産は、中央値の1500万円程度だと考えられる。
40〜60代の負債額
30〜40代では負債が減っていく、大きなもので言えば、住宅や土地に関する負債・ローンになるが、どれほどの額なのだろうか。
〈一般的な家計では20代から30代に負った借入金を徐々に返済し、高齢期に向けて貯蓄を増やすといった行動をとる。
負債の大半は住宅・土地に関するものである。住宅・土地に関する負債の額は30代の平均値で1337万円。これは住宅を購入していない人や親から贈与を受けた人なども含まれた数値であり、実際に住宅ローンを組んだ人に限れば負債額はさらに大きい額になると考えられる。
負債額は年齢を重ねるごとに縮小していく。40代では1052万円、50代に578万円、60代には190万円まで減少し、定年後にはほとんどの家計が住宅・土地に関する負債を完済することになる。〉
60〜80歳を豊かで自由に過ごすために、どれくらいの貯蓄があればいいのか。
不安を解消するには受け身ではダメ、意義が持てる仕事を働けるだけ働くのが良いと思えます。
経済アナリスト・森永卓郎氏は、国民民主党が掲げる「103万円の壁」引き上げ案について。もし実現すれば約7兆円の税収減が見込まれるというが、そうした悲観論は“財務省のプロパガンダ”と断罪する。
衆院選で自民党が大敗し、結果的に野党である立憲民主党と国民民主党の議席増に繋がった。ただし、立憲民主の比例得票数はさほど増えていない。減税策を打ち出さなかったからだ。
注目されているのは、国民民主党の掲げる所得控除に関する「103万円の壁」の引き上げ案だろう。過半数割れした石破茂政権は国民民主党と政策ごとの部分連合を組むほかないため、この案は飲むことになるはずだ。
だが本来、国民民主党が持ち出す交渉カードは別にあった。選挙時に掲げていたもうひとつの公約、「デフレが続く限り消費税を5%に下げる」の政策である。国民の受ける恩恵はこちらの方が明らかに大きい。
なぜこの政策を前面に出せなかったのか。それは、玉木雄一郎代表が元大蔵官僚だからだろう。消費税の減税は財務省が絶対に飲まないことがわかっている。ゆえに「103万円の壁」の引き上げという取りやすい案に傾いたのだと私は見ている。
無論、この「103万円の壁」を巡っても、財務省の反対は苛烈である。178万円への引き上げは多くのサラリーマンに恩恵があり、比較的所得の高くない人でも年間10万円ほどの減税になる。しかし、この引き上げが実現すると、結果的に地方税を含めて年間7兆円以上税収が減る。財務省は大手メディアを通じて、「国民民主党の政策で恒久的に税収減となり、日本の財政を逼迫させる」と活発に“布教活動”を行なっている。
情けないのは、国民民主党の減税案を援護できない野党
世界で最も健全と言われる日本の財政下で、7兆円程度の税収減などまったく問題にならない。財務省のプロパガンダに耳を傾けてはいけないのだが、ザイム真理教の洗脳は国会に広く及ぶ。財務省は減税対象者をパート、アルバイトなど非正規社員に限り、サラリーマンは蚊帳の外に置くべく水面下で奔走しているようだ。玉木氏の真価が問われる局面だが、不倫問題もあり、最終的には基礎控除の増額は大幅に削られる公算が大きいと考えている。
情けないのは、国民民主党の減税案を援護できない野党である。議席数を50も増やした立憲民主党の野田佳彦代表は、財務副大臣時代にザイム真理教に洗脳され、増税容認派に転じた。小川淳也幹事長に至っては2050年までに消費税を25%に引き上げる必要性に言及している。 ザイム真理教と戦える野党が出てこない限り、日本の未来は暗いままなのか?。
不動産業者の救済などで中国の銀行の収益性の低下が鮮明化している。
これまで、中国政府は不動産市況の悪化を食い止めるため、市中銀行に対し資金供給を増やすよう要請を強めてきた。具体的に、不動産デベロッパーに対する融資や、地方政府がマンション在庫を買い取り、リノベーションを実施する資金提供を政策的に促進した。
中国の不動産市場では、6,000万戸ものマンション在庫が存在するとの見方もある。国際通貨基金(IMF)は、今後4年間で未完成物件の工事完了など不動産問題の解決に、少なくとも約7兆元(約140兆円)の財政資金投入が必要と試算した。需要を上回るマンション供給で、今のところ不動産価格下げ止まりの兆候は見られない。
中国の金融緩和(利下げ、資金供給の増加など)は国債流通利回りの低下につながり、結果的に銀行の貸し出し金利を下押しする。財政支出の増加(国債の増発や地方政府の債務上限の引き上げなど)は、過剰な生産能力、鉄道や道路などの過剰投資に使われ、社会インフラでもある銀行の収益性を下押しているとみられる。
これまでのところ、規制緩和などによる需要創出策が進む兆しは見られない。
需要の不足が長引けば、景気回復の期待は高まらず、消費者、投資家、企業経営者のリスク許容度は低下する。不動産業界、地方政府と傘下の地方融資平台などの不良債権残高は増え、商業銀行の金融仲介機能は低下するだろう。来年1月20日以降、トランプ政権の中国締め付け策が本格化する可能性も高い。
これまでの成長プロセスが限界を迎えた
9月下旬以降、中国政府は総合的な経済対策を拡充した。
10月、政府は国債の増発を発表。中央銀行である中国人民銀行は、期間1年の新たな資金供給オペも設定した。11月4日から8日の全国人民代表大会の常務委員会は、地方政府に債券の発行増加を容認した。地方債の発行で調達した資金は、インフラ投資や地方融資平台の資金繰り確保、マンション在庫の買入などに使われるようだ。
また、9月下旬の利下げや財政出動により、一時的に北京や上海などの大都市で一部の不動産価格が反発する兆しは出たようだった。それでも価格が本格的に持ち直す状況になっていないし、さらに下がり出した。
10月、ドル建ての輸入は前年同月比2.3%減少した。自動車の部品や化粧品が減少し、個人消費にかつての勢いはない。価格の影響もあったが、原油、鉄鉱石などの輸入も減少している。
不動産投資で高成長を実現する中国の経済成長のプロセスは限界を迎え、消費などの需要の不足は深刻だ。過去、不動産投資の過熱によって大規模なバブルが発生し、マンション建設(投資)や基礎資材の生産も増えた。
それに伴い、土地需要も増え、地方政府はデベロッパーに土地利用権を譲渡して歳入を確保し、産業補助金やインフラ投資に再配分した。
こうした熱狂は商業銀行などの利ザヤの厚さを支えた。
2019年1~3月期、大手商業銀行の純金利マージンは2.12%だった。(純金利マージンとは、資金調達の金利と、貸し出しなどによる資金運用の利回りの差をいう。)2021年まで中国商業銀行は純金利マージン2%台を維持していた。
しかし、2020年8月の不動産融資規制の実施で、中国の不動産バブルは崩壊した。
芳しくない銀行の収益性
家計の貯蓄の7割程度が不動産投資に向かったとみられるが、住宅など資産価格下落は鮮明化。不動産市況の悪化から住宅の価値は下落し、雇用・所得環境の先行き不安も高まった。個人や企業は先行きのリスクに備え、債務返済を優先せざるを得ない状況だ。
土地利用権の需要減少で地方政府の財政も悪化した。地方政府の隠れ債務である地方融資平台の債務問題も深刻だ。鉄鋼、太陽光パネル、リチウムイオンバッテリー、エアコン、電気自動車(EV)、建機などの過剰生産能力の膨張にも歯止めがかからない。
その結果、経済全体で資金需要は伸び悩み、商業銀行の純金利マージンは低下した。
2022年1~3月期、純金利マージンは1.97%まで低下した。2023年1~3月期は1.74%に低下し、健全な銀行経営の維持に必要とされる、利ザヤ水準(1.8%)を下回った。さらに2023年10~12月期の純金利マージンは1.69%に低下した。
そして2024年7~9月期、四大国有銀行の一つである中国銀行の純金利マージンは1.41%、前期から0.03ポイントの低下だ。
10月、中国政府は地方政府による住宅在庫の買い取り資金規模を4兆元(80兆円)規模に拡充し、不動産市況の悪化を食い止めようとした。政府は、銀行に買い取り資金の融資を増やすよう指示した。これも銀行の利ザヤ圧縮の要因だろう。すう勢として中国商業銀行セクターの収益性は低下傾向だ。
中国不動産バブル崩壊のツケは今後世界経済も一部巻き込み更に拡大していくだろう。