テレビのない時代わたしたち庶民は夜をどのように過ごしていたのだろうか。
食後、家族でラジオでドラマや歌を聴いたがあとは貸本屋で借りた本を読んで過ごした。
銭湯の帰りに親は「オール読物」などの大人向け小説雑誌、わたしたち子供は漫画、劇画が登場する前の「影」などの貸本漫画を借りて帰った。
さいとう・たかをの「黒い子猫」や「台風五郎」シリーズにはまり、わたしたちの世代は白土三平の『忍者武芸帳 影丸伝』によって社会の最下層に喘ぐ被差別民百姓たちが権力に立ち向かい一揆を起こす姿に感動した。貸本漫画から唯物史観などのイデオロギーを学んだのだ。それがのちの学生運動につながる。そして「カムイ伝」を掲載するために創刊された「ガロ」は当時の若者の必読アイテムになっていった。つげ義春のシュールな話題作「ねじ式」は何度読んでもわからなかった。やがて小島剛夕や水木しげるなど多くの才能が貸本漫画から社会の中央に進出していった。
fumio
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