1950年代にテレビの放送が始まるまでの庶民の娯楽の王者は映画だった。休みの日には近くの「島原劇場(八雲座)」という映画館がいっぱいになった。スクリーンに向かって観客みんなで主人公の応援したりした。わたしの同級生の母親や近所のおばさんが入場券売り場にいたのでわたしはタダで入った。そのころ、特に人気を博したのは東映時代劇だった。嵐寛寿郎の「鞍馬天狗」、市川右太衛門の「旗本退屈男」、大友柳太朗の「怪傑黒頭巾」、山城新伍の「風小僧」などが記憶に残っている。ストーリーは勧善懲悪でどの作品もあまり変わらなかった。撮影所が近かったので大友柳太朗が化粧落としにわたしたちがよく行く吾妻湯という銭湯にやってきた。その東映時代劇もテレビの放送が始まるとだんだん人気が薄れていった。あんな時代もあったのだとふと思う。
fumio
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