GAMAの菜園&フォト日誌

SINCE JUNE 2005・・・菜園情報と写真で綴るGAMAの雑記帳

圃場巡回

2014年12月18日 19時15分43秒 | 菜園ティスト日記
品質維持と農家の問題解決をサポートするための圃場巡回を行なっています。今回はアブラナ科の野菜を育てている
農家さんが対象でした。本来1メートル以上になるはずの樹高が80cmにも満たない有様です。これは硝酸態窒素の測定。
4,400ppmと出ました。
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こちらはカリの測定。3,700ppmです。窒素養分が過剰に施肥されていることがわかりました。ただそれだけではなさ
そうです。
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こちらが樹体。アブラナ科は葉が144度の角度で出てくるので2周目で上下が同じ位置になる筈です。しかし、この
株は微妙にずれています。つまり茎がよじれているのです。その原因は・・・硝酸値が4,400ppmと出たことと抱き
合わせてみるとミネラルを吸う役目の毛細根の機能が弱く、窒素を吸いやすい太い根が余計に働いてしまっている。
原因は明白、徒長苗だったということです。徒長苗は根が巻いてしまい毛細根が発達せずよじれて成長するため生育
不良になります。更にこの圃場では薫炭を撒いていました。薫炭はpHが酸性寄りのため根がミネラルを吸いにくくな
ります。ミネラルは根が出すクエン酸で溶けるのですがpHが高いと根のその機能が損なわれるのです。更にこの圃場
では籾ガラを漉き込んで株元をフカフカにしていました。籾ガラは空気を抱いているので冬場は温度を下げやすい。
フカフカの土壌は空気を含んでいるので冬場は地温を下げてしまうのです。だから地中で使ってはいけない。空気は
夏場は温度を上げやすく、冬場は下げやすい。植える時に畝を沈圧すべきだったということです。
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ということで、まず苗が不良だった、更に定植後の管理が野菜に不利な方ばかりに向いてしまった事が不良の原因と
わかりました。来年は苗選びから見直す必要があります。そもそもこの手のアブラナ科の野菜はほとんど肥料を与え
る必要がありません。




苺圃場に来ました。同じ検査を行なったところ硝酸態窒素が2,500、カリが2,600と出ました。苺は硝酸値は1,500以
下、逆にカリは7,000以上必要です。このままではうどん粉病を発症します。ただちに追肥を修正することになりま
した。
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ただ、冬場の水分補給は地温を下げるので長時間やってはいけません。ここでは8分注水でしたが3分以内に変更して
もらいました。
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家庭菜園ではないので花の数は制限しなくてはいけません。それは先週実施したということです。
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ミツバチはちゃんと働いているようです。問題はそれくらいでした。
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こんな感じで圃場巡回をして生産物の品質改善を指導しています。もちろんガマが指導者ではありません。
みずほ本店の技術者と政府から派遣されている研究指導員、うちの担当者の共同作業です。自分もこれから毎回同行
してこのような技術を習得していくつもりです。
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16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (mimi)
2014-12-18 20:14:06
すごいなぁ~やっぱ機材とそれを理解できる知識があるとここまでわかるんだな 
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Unknown (らうっち)
2014-12-18 20:22:35
つくばのガマさん こんばんはー♪

奥が深~い(^^;)
土はなんでもフカフカにすればいいと思ってたけど、そうでもないんですね(^^;)
調べる機器があっても、知識が無かったら意味ないもんですよね。
ガマさんは、これから習得していくんだ!
ガマさんの菜園にとっては、向かうところ敵なしだね♪
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Unknown (やしまファーム)
2014-12-18 22:25:43
すげ~ズラ。
農業は、バカではできないんですね(笑)
自分も、どちらかというと、畝はフカフカが大事と考えていましたが、最近では、少しくらい固い方が良いのではと考えだしてきました。
理屈で考え、正しいことができるようになりたいです。
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こんばんは(*^_^*)/ (らいおん○)
2014-12-18 23:45:31
農家さんのサポートがここまで出来ていたら、それは、いい野菜が育ち、
売り上げにも一翼を担う事になるのでしょう。
素晴らしい取り組みですね!!
にしても、うちらの家庭菜園ではそんなに細かく調べられませんねぇ。(-_-;)
自分のやっている事が行き当たりばったりの事が多すぎて反省です。(^^ゞ
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Unknown (イザワ)
2014-12-18 23:55:37
凄い!
しっかりと次の道への歩みを進んでらっしゃいますね!
ちょっと、体調を崩しぎみですが、ガマさんも
外を周られているようですので、ご自愛ください。
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mimiさん (つくばのガマ)
2014-12-19 05:02:52
知識を丸呑みしようとすると一夜漬けになり身に付き
にくいので、理屈をメモし、もっと知らなければならない
点を見つけて自分でも調べるようにしています。
この日の学習は冬場に地中に取り込んだ空気は地温
を下げやすく植物が寒がるということでした。
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Unknown (B級おやじ)
2014-12-19 05:04:08
ガマさんすごーいと思って読み進めたら専門家が指導していたんですね。
ガマさんが指導しているのかと思いました。
でもこの仕事しているとすぐに専門家になりますね。
いい仕事を見つけたなー
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らうっちさん (つくばのガマ)
2014-12-19 05:05:55
成分分析の他に、ここではできませんが、養分分析と
放射線検査、それと土壌分析があります。土壌分析は
上の簡易の成分分析でアバウトがわかります。ただ、
養分は個体差があるので平均値くらいでしか使えない
ようです。
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やしまファームさん (つくばのガマ)
2014-12-19 05:09:49
農家さんの中には自分のやり方にプライドを持っていて
いろいろ言われることがおもしろくない人もいるそうで
そういう人は続かないようですよ。でも、若い人や学習
経験を持っている人は理屈を理解するので上達していく
ようです。これくらい対応できなかったらGAP基準なんて
絶対無理ですからね。農業もデータで見える化していく
努力が必要なんだと思いました。
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Unknown (HAL_K)
2014-12-19 05:13:08
おはようございます HAL_Kです。

すげ~~!!
こうした指導を定期的に受けてみたいなぁ。
ガマさんも実際に現場で見て、触って確かめられる講義を受けてるんだ。
座学で頭でっかちになるより実践で役立ちますよ。
良いなぁ。
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