能力の般化とは、 ひとつの能力を 他のことにも応用することを言います。
全ての動物は ある文脈 (環境) の中で 行動を学習します。
(状況特異的学習)
例えば幼い子は 学校で静かにすることを学びますが、
教会でも同じことをするのだと 教わらなければなりません。
行動を ひとつの環境的文脈から 別の文脈へと般化するのに 困難をもちますが、
BPは 感情と認知の調整不全があるので、 般化はより難しくなります。
高度の感情的興奮は般化をほとんど不可能にします。
もしBPが、 職場でよりも家庭で調整がとれていれば、
家庭でのほうが 有能に見えるでしょう。
気分状態が、 異なる場所で行動する能力に 影響するのです。
家庭でより不安になるなら、 家庭でのほうが コントロールが難しくなるでしょう。
問題は、 BPの周りの人が、 この事実に憤慨してしまうことです。
あるBPは、 父親とは意見が合わなくても 冷静になれますが、
夫とは制御不能になってしまいます。
しかしながら、 BPがそうしたいのではないのかもしれません。
状況が違うか、 気分が違うということなのでしょう。
懸命さが足りないのではなく、
その行動が、 その環境での行動レパートリーに 入っていないのです。
一般的に人は、 職場で脅かされていると、 問題に対処できないものです。
一方、 愛する人に対しては、 信頼があるため、 容易に対応できます。
けれどもBPは、 見捨てられることを恐れて、
職場よりも夫からの不同意に 脅かされてしまうのです。
o 気分が文脈になる
BPは 行動の般化が不得手なだけでなく、 能力が気分状態で変化するのです。
行動は 文脈 (環境) と気分次第です。
それが分かれば、 見せかけのコンピテンスが、
何故 無能さに取って代わられるかの 手がかりになるでしょう。
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
(星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
[星和書店の許可のうえ掲載]