NHK朝ドラ初のスピンオフ作品『まいご3兄弟』が昨日全国放送されたので、BSで先行視聴していたがネタばれになる感想を差し控えていた自分もやっと解禁。ただ、整理されてまとまった感想文を書く時間の余裕がないので、雑感を書き散らす程度になる。本作や本編を見ていない人には不親切な書き方になることはご容赦。
拙ブログでのこれまでの関連記事は以下。
『ちりとてちん外伝 まいご3兄弟』BS2でオンエア『ちりとてちん』日経の記事から
『ちりとてちん』の魅力のひとつはチーム男子か(笑)
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このスピンオフ作品、本編『ちりとてちん』のヒロイン徒然亭若狭こと喜代美が登場しないというのが一番の特徴かも知れない。演じた貫地谷しほりさんが他作品への出演で多忙ということもあるだろうけど、本編での主人公を出さないことによって、「外伝」としてヒロインをフィルターにしない視点での世界観を構築し、それによって世界観の厚みを表現したと思う(本作ではヒロインの夫であり兄弟子である徒然亭草々の口を通じて、本編から約1年経過した時点での若狭の母親ぶりが語られているから、まったく切り離された世界というわけではないが)。
もうひとつの特徴は、メインストーリーが、2008年春に開催された「四草会」で兄弟子の徒然亭草々(青木崇高)が披露した創作落語の内容、という入れ子形式になっていることだ。これはスピンオフ制作が決定した後に、青木さんが出演を熱望したという経緯もあって後から追加された設定だと思う。その結果、弟弟子のプライバシーをネタにするという、ちょっと疑問がないわけでもない構造になってしまっているが(おそらく、元々は四草本人が語る創作落語という設定だったのではあるまいか)、一方ではヒロイン若狭と草々の「その後」の生活ぶりや、本編では誕生場面が描かれたものの性別不明だったふたりの子供が女の子だとわかる(名前は「落子」じゃないよね? 汗)おまけもついてくるのだが。メインストーリーが創作落語の内容になっているというのは、草々の創作(草々の説明によると制作には創作落語を得意とする若狭との共同作業だった)も混じっている可能性があることを指摘しておきたい。
メインストーリーは、1996年の春、小浜から大阪に車で帰る3人の弟子たちが道に迷い、ガス欠も重なって、一夜の宿を借りた扇骨職人の家で起こるハプニング、その過程で起こる家人たちとの心の交流や兄弟弟子間の葛藤や思いやりを描いている。そこで話題になるのが三人の弟子のうち四番弟子の四草の生い立ちにかかわる話だ。加藤虎之介が、感情をストレートに表現しない四草という人物を、微妙な表情の違いで感情を表現するという難しいところをとても魅力的に演じている。
本編でも上方落語をあちこちに散りばめているのだが、このスピンオフでは『
宿屋仇』を下敷きにしている。また、『
七度狐』も一部モチーフに使われているようだ。
……ここまで書いたら疲れてきた(汗)。続きはまた。