本日は、先月26日に引き続き、中野雄太静岡県本部幹事長より、「原発再稼働を阻止する菅首相」と題し、「脱原発批判」7回目のメッセージをお届け致します。
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【中野雄太県幹事長寄稿】
菅首相は5月6日、中部電力の浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の定期検査中の3号機や稼働中の4、5号機も含めて全ての原子炉を停止するよう中部電力に要請しました。
それ以降、全国で定期検査を終えた原子炉が再稼動する機会が失われています。
四国電力管轄の伊方原発(愛媛県伊方町)は、定期点検中の3号機を7月10日に再稼動する予定でしたが、地元自治体の理解が得られないとして運転再開を見送りました。
その中で、唯一、運転再開のめどがたっていたのが九州電力管轄の玄海原発(佐賀県玄海町)の2、3号機でした。
しかしながら、菅首相による突然のストレステスト実施の発表があり、地元玄海町の岸本英雄町長が運転再開容認を撤回する旨を発表しました。
6月29日に海江田万里経産相が現地入りした際には、海江田氏は「緊急対策を取り、安全は確保できている。再開については国が責任を持ちます」と述べ、直接、運転再開に理解を求めており、ストレステストに関しては全く触れていませんでした。
真夏の電力ピークが迫る中、全国に先駆けて地元自治体の容認を得て再稼働に向かっていた矢先、菅首相がストレステストを突然持ち出したことで、再稼働は全く見えなくなりました。
ハシゴを外された形の玄海町の岸本町長は、九州電力に運転容認を伝えて数日後にストレステストが発表されたことに対して、「我々は信用されていないということだ」「私の判断は無駄だった」と痛烈な批判をしています。
5月6日の浜岡原子力発電所の停止要請でも似たようなことが起きました。
5月5日に海江田万里首相が浜岡原子力発電所を視察し、国が指示した原発の緊急安全対策の実施状況を確認。今夏には点検停止中の3号機を再稼動することは規定路線だったにも関わらず、菅首相は翌日に停止要請の緊急記者会見を行いました。
首相は、自分の部下である経産相の行動を無に帰す行為を二度も行っています。これでは、閣内における信用関係はあったものではありません。
閣内でも菅首相の言動に批判が相次ぎ、謝罪にまで発展したことは記憶に新しいところです。
原子炉には13カ月ごとの定期検査が義務付けられていますが、東日本大震災以降、再稼働した原発はなく、現在稼働中の原発も来年5月までには定期検査に入ります。すなわち、来年5月には全原発が停止します。
その結果、火力発電所などを最大限稼働させても、来夏には東日本で約10%、西日本で8%のピーク電力が不足すると政府は試算しています。
これは新たな「2012年問題」であり、全国的な電力危機、強制節電が余儀なくされます。
日本エネルギー経済研究所は7月28日、国内の全ての原発が停止した場合、2012年度のGDPは最大で3.6%(20.2兆円)押し下げられ、電力不足が国内産業の空洞化を加速させることで失業者数が20万人増加するという試算を発表しました。(つづく)
中野 雄太
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