http://the-liberty.com/article.php?item_id=13350
《本記事のポイント》
・北朝鮮は「核開発は、アメリカの核からの防衛」と主張する
・強盗の銃と、警察の銃とでは、同じ"護身用"でも正当性が違う
・最後は「国家体制の正義」が核の正当性も分ける
読者の方より、こんな質問をいただきました。
「知人に、北朝鮮の核ミサイルの危険性の話をしたところ、だって、アメリカもミサイルはたくさん持っているから、アメリカから廃棄すればいい、と言われてしまいました。どう考えればいいのでしょうか」
◎北の核は「アメリカの核からの防衛」!?
こうした考え方は、日本のメディアなどでもよく目にします。例えば2010年12月6日付読売新聞は社説でこのように述べています。
「世界の95%の核兵器を保有する米露両国が核軍縮に真剣に取り組めば、(中略)北朝鮮やイランに核開発を断念させる上での説得力も増す。北朝鮮に核開発の口実を与えぬためにも、米露は条約を発効させ、核削減を実行する必要がある」
北朝鮮の言い分も「アメリカの核の脅威を抑止するために、核開発が要る」というものです。同国の報道官や朝鮮中央テレビは、ミサイル実験や核実験を行うために、「防衛のため」という主張を繰り返しています。
読者の多くは「北朝鮮の核が正当防衛だなんておかしい」と何となく感じても、明確に反論するのは、意外と難しいのではないでしょうか。
◎強盗の銃と、警察の銃は同じか?
しかしこの言い分、警察が強盗に「銃を捨てろ。さもなくば撃つぞ」と言っているのに対して、「まずは警察から銃を捨てるべきではないか」と言っているのと同じです。
第一に、警察が銃を捨てたところで、強盗が銃を捨てる可能性は限りなく低いです。
国際社会で考えても、アメリカが核を減らしたり、仮にも核をすべて捨てたりすればどうなるでしょうか。北朝鮮はアメリカを核で脅して動けなくさせ、韓国に侵攻するでしょう。北朝鮮は単に自国を守るのみならず、韓国を領有するという目標があるからです。
第二に、強盗には銃を持つ資格がありません。
銃刀法の定めにより、銃を持つには、警察署の生活安全課に行って許可をもらわなければいけません。もし申請しても、精神に異常があったり、判断能力がなかったりする人には、銃刀所持の許可は出ません。
国際社会でも同じです。民主主義国家であれば、国民や国際世論のチェックが効くので、指導者が暴走して核ミサイルのボタンを押す可能性が低いです。しかし独裁国家では、権力者一人の判断で、ボタンが押されてしまう危険性があります。そういう国に核を持たせることは、世界の安全のために許されないのです。
第三に、同じく「身を守る」ための銃であっても、「何のために身を守ろうとしているのか」によって、正当性が分かれます。強盗の銃は、「違法行為をしようとしている自分」を守るためのものです。一方、警察の銃は、「治安を守ろうとする自分」を守るためのものです。
国際社会においても同じです。大川隆法・幸福の科学総裁は著書『永遠なるものを求めて』の中で、次のように指摘しています。
「北朝鮮の立場に立ってみれば、『国の防衛のために、ミサイルを開発する』とか、『核を開発する』とかいうことは、分からないことではないと私は思っています。
ただ、そのなかに住んでいる人たちが、はたして、自分たちの自由な政治的意思に基づいて、そういう国家をつくっているのかどうか。ここが重要なポイントではないかと考えているのです。
北朝鮮には、『脱北者』といって、毎年毎年、命からがら国外に逃げ出す人たちがいます。そのなかには殺される人もたくさんいますが、中国や韓国など、いろいろなところに逃げ出していく人たちは、毎年、二千人はいるようです。しかし、厳しい警戒網をかいくぐってまで逃げ出す人が、毎年、二千人はいると言われている国というのは、あまりよい状態ではないでしょう」
◎最後は「国家体制の正当性」が問われる
繰り返すと、「北の核もアメリカの核も、同じ核ではないか」という意見に対しては、「強盗の銃も、警官の銃も、同じ銃だと言えますか?」と聞き返す必要があります。そして、その違いの奥には、「国家体制の正当性」「その国は、守るに値するか」という正義の問題があることが分かります。
逆に言えば、「地球的正義」という観点を持たなければ、アメリカの核と、北朝鮮の核の区別さえつかなくなることになります。(馬場光太郎)
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2016年11月24日付本欄 「中国が覇権を目指す思考回路」にピンと来ない人へ【思考回路が分からない】
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この記事を読んで ハタと思った。
もしやよもやまさか・・・・
そもそも北朝鮮を強盗呼ばわりすることに違和感を感じるという人がいるなんてことは・・・・
まさか・・ね。アハ