一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

「国技」の呪縛

2010-06-18 | よしなしごと

今回の相撲界の野球賭博事件で気になるのは「国技」という言葉。  

事実上は関取たちのギルドである相撲協会以外に大相撲の興行能力がなく、しかも「相撲は国技」の建前を維持しようとするなら、結局は相撲協会を「寄り切る」ことはできないし、その構造の旨みを親方衆は十分に知っているからこそ対応が緩い=持久戦に持ち込めば勝ちと思っているのではないでしょうか。

相撲協会内からも「実名公表すべき」の声!21日緊急理事会へ
(2010年6月18日06時03分 スポーツ報知)

日本相撲協会は17日、大嶽親方(元関脇・貴闘力)の関与も発覚した野球賭博問題で、21日に緊急理事会を開くことを発表した。監督官庁の文科省からは独自調査で判明した65人のリストの公表を求められているが、協会は警視庁の指導を理由に保留している。こうした状況に協会内部からも「公表すべき」との声が出ていることが判明。21日の理事会で公表を迫られることになりそうだ。

この日、文科省の担当者は実名公表について「我々としては調査結果の公表が65人だけではアバウト過ぎると指摘した。実名でなくても構わない」と軟化。ただし「どれぐらいの番付、立場か、など外部が詳しく分析できるリストは提出してほしい」と現役力士に関しては地位、それ以外の協会員については親方か行司か、などの役職の公開を求めた。  

後段は文科省はちょっと腰が引けてますね。「監督官庁」なんだから、少なくとも文科省に対しては実名での報告書提出を求めるべきなんじゃないでしょうか(情報管理に自信が持てないとかいうレベルなら論外ですけど)。


鈴木副文科相「存亡の機」 野球賭博で
(2010年06月17日23時45分 毎日新聞) 

鈴木寛副文部科学相は17日の会見で、「(外部の)相当しっかりした人に入っていただいて、きちんとした調査、対応を協会に確立していただかないといけないと思っている。今、日本の国技である大相撲は存亡の機にあると思っているので、毅然(きぜん)とした取り組みを行ってほしい」と述べ、引き続き必要に応じて協会幹部を呼んで事情を聴きながら、指導していく姿勢を示した。  

威勢はいいですが、相撲協会は文部科学省の認可の下にある公益法人に過ぎないので、「国技である大相撲」を前提にした議論はおかしいですよね。
もし「国技」だとしても、理屈では日本相撲協会に興行の独占を認める理由はないわけですから。


その意味では相撲協会から下駄を預けられた形になっている警察は、今のところ軸がしっかりしています。
「重要なのは全容解明」=大相撲の野球賭博問題-警察庁長官
(2010年06月17日 13:08 時事通信) 

大相撲をめぐる野球賭博問題で、警察庁の安藤隆春長官は17日の記者会見で「日本相撲協会の協力を得て事案の全容解明に鋭意努めていく。重要なのは全容解明だ」と述べた。 
賭博問題については警視庁が捜査しているが、安藤長官はこれに加えて「暴力団との関係断絶の取り組みが徹底されることが重要だ」と強調。同協会による暴力団排除活動を警察として全力で支援する考えを示した。 
中井洽国家公安委員長も会見で「協会にはきちっとうみを出してほしい」と述べるとともに、警察から情報を提供するなどして、同協会を所管する文部科学省と連携して対応する考えを示した。 

警視庁としては国技だろうが何だろうが、また相撲界を揺るがすスキャンダルになろうがなるまいが下線部のスタンスでぶれないでやってほしいと思います。  


ところで、ここまで皆さんギャンブルが好きなら、いっそのことTOTOみたいに「野球くじ」「相撲くじ」を発行して、財政再建の一助にすればいいんじゃないかと思うのですが。 
それとも胴元がいてしっかりしたハンデがついているほうが賭け事として魅力があるということだとすると、暴力団の「企業努力」に対抗して、イギリスのように公認のブックメーカーを育てるというのも一つの手かもしれません。

コメント
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