副題に「1900年への旅」とあるように、明治維新以後近代化、そして欧米に範をとって(著者曰く)「遅れてきた帝国主義」を目指した日本の姿を、1900年という時代を軸に描き、そこから21世紀の日本への教訓を探っています。
上巻は「1900年への旅 欧州と出会った若き日本」として、1900年のパリ万博を軸に、当時のヨーロッパを目の当たりにした秋山真之、夏目漱石、南方熊楠ら若き日本人たちを、そして下巻は「アメリカの世紀、アジアの自尊」として、イギリスに代わり国力を伸ばしてきたアメリカと日本の関係・交流を象徴する人々("TIME"創設者ヘンリー・ルース、新渡戸稲造など)や、アジアの各国で欧米列強や台頭しつつある日本との間で自国の自立を目指した人々(ガンジー、孫文など)を描いています。
当時の欧米、アジアの政治情勢、国力を俯瞰しながら、欧・米・日本・アジアの関係性の中で当時の日本の状況とそれに対応しようとした日本人を描き出すところは、国際政治・経済の世界に身をおいてきた著者ならではの切れのよさがあります。
「当時の日本人は立派だった」(確かに立派でしたけど)と言ってしまえばそれこそ日露戦争をピークとして・・・という司馬遼太郎史観になってしまいますし、第二次世界対戦で日本の歴史や国際関係が終わったわけでもリセットされたわけでもなく、21世紀は21世紀の状況の中で日本や日本人は生きていかなければならないわけで、少子高齢化だ財政赤字だといいながらもどうやって国を繁栄(どういう形の「繁栄」を目指すかも含め)させ、国際政治の中で期に残っていくかについてのヒントを100年前に探る、という著者の考察の軌跡を追体験することが出来る好著です。
上巻は「1900年への旅 欧州と出会った若き日本」として、1900年のパリ万博を軸に、当時のヨーロッパを目の当たりにした秋山真之、夏目漱石、南方熊楠ら若き日本人たちを、そして下巻は「アメリカの世紀、アジアの自尊」として、イギリスに代わり国力を伸ばしてきたアメリカと日本の関係・交流を象徴する人々("TIME"創設者ヘンリー・ルース、新渡戸稲造など)や、アジアの各国で欧米列強や台頭しつつある日本との間で自国の自立を目指した人々(ガンジー、孫文など)を描いています。
当時の欧米、アジアの政治情勢、国力を俯瞰しながら、欧・米・日本・アジアの関係性の中で当時の日本の状況とそれに対応しようとした日本人を描き出すところは、国際政治・経済の世界に身をおいてきた著者ならではの切れのよさがあります。
「当時の日本人は立派だった」(確かに立派でしたけど)と言ってしまえばそれこそ日露戦争をピークとして・・・という司馬遼太郎史観になってしまいますし、第二次世界対戦で日本の歴史や国際関係が終わったわけでもリセットされたわけでもなく、21世紀は21世紀の状況の中で日本や日本人は生きていかなければならないわけで、少子高齢化だ財政赤字だといいながらもどうやって国を繁栄(どういう形の「繁栄」を目指すかも含め)させ、国際政治の中で期に残っていくかについてのヒントを100年前に探る、という著者の考察の軌跡を追体験することが出来る好著です。