くりまんじゅうの日記

世間より少し いやだいぶん遅れている
老シーラカンスです。

若松孝二監督。

2012-10-19 | 日記
                                    


                        映画の若松孝二監督が死亡した との驚きのニュースが入って来ました。

                   タクシーにはねられ重傷だが命に別状はない と報じられたのが4-5日前のこと。

                   それが 容体が急変し亡くなったと言うのです。

                   つい最近  『 闘う女優 寺島しのぶの告白 』  と言うドキュメンタリー番組が

                   NHKで放送されました。

                   母のように美しくない‥‥  とこれが寺島しのぶを 演技派女優に開眼させた原動力になり

                   若松監督の  『 キャタピラー 』  の主演により ベルリン国際映画祭最優秀女優賞に輝き

                   撮影時の若松組の リハーサルなし 撮り直しなし の緊迫した状況を語っていました。

                   若松監督へのインタビューもあり つい最近 監督に会ったという印象があったため

                   この突然の事故死には だれもが驚いたと思います。

                   昨年 自由民権記念館で  キャタピラー  の上映があり観に行きました。

                   江戸川乱歩原作の 『 芋虫 』 を元にした作品で 舞台は静かな農村から始まります。

                   日中戦争で四肢をなくし 耳も聞こえず 言葉も言えず 自分の意志を伝える手段は

                   眼の動きと 口にくわえた鉛筆で紙に書くだけ というまさに芋虫状態になって

                   それでも生きて復員した夫は 神の国を守る  軍神様  と皆にあがめられ

                   寺島しのぶは その妻シゲ子を演じました。

                   芋虫の夫は その状態でも旺盛な食欲 性欲 名誉欲を示し 最初は応じていた妻も

                   次第に憎悪に変わって行き 激しい仕返しをするようになります。

                   これを軍神様に と村人から貴重品の卵をもらった妻は 仰向けに転がっている

                   夫の口に  食べなさいよ!  と生卵を順番に投げつけ 動けない夫は割れた卵で

                   顔中ドロドロになります。

                   映画でもすごいシーンと観ましたが この番組で あれは寺島しのぶの 台本にはない演技で

                   夫役の俳優からは 本当の血が流れることもあったとか。

                   激しく憎んでいても外へ出れば 勲章付きの 軍服を着せた夫をリヤカーに乗せ 村を歩く妻は

                   にこやかな顔を保ち 村人は  軍神様  と夫に手を合わせます。

                   出征中に 中国で犯した数々の蛮行が フラッシュバックとして頭をよぎるようになり

                   夫は次第に精神が狂って行きます。

                   そして 最後は 芋虫が這うように 庭の池まで行き身を投げます。

                   館内は満員でしたが 咳払いひとつなく 皆が食い入るように観ていました。




                               

                        このNHKの番組で 母  富司純子さんのインタビューも流れ

                   女優として娘を評価する姿が印象に残りました。

                   若松孝二監督  ご冥福をお祈りします。 
                     



                          
コメント (2)
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