昔30年ほど前 机を並べた仲間が食道がんになり 余命半年と聞いていましたが
その通りに 半年で逝きました。
織田信長の時代ならいざ知らず 現代の享年71歳は とてもとても早いです。
がんが見つかったときは すでにステージⅣまで進んでおり 手術もできず
20日ほど入院ののち 昨年暮れから最期まで 自宅療養していました。
お葬式は 昔懐かしの顔があちこちに見られ 近年の集合場所は 葬儀会場が
増えました。
喪主の奥さまを見て あっとたまげました。だれか気がつかぬほど痩せており
自宅での療養5ヵ月間が 心身ともに 大変な苦労であったことが忍ばれます。
彼が結婚した30数年前 美しく ばりばりのキャリアウーマンであった母親が
90歳を超えた今 ひときわ縮んだ体で息子を見送る姿に 皆が泣きました。
元気なときの写真が 何枚か幻燈で映し出され どれも奥さまと並んでにっこり
した顔は ともに仕事したころの 誠実な彼の顔です。
それを見つつ 隣の席のこれも昔 机を並べ仕事をした男が言うに
オレ 女房といっしょに撮った写真がないが そんな人は どうなるろうね
今からでも 遅うはない お葬式用に撮りなさいよ と答えつつ そうだうちも
同じやないか 今から撮っておこう と思う私です。
父は昨年 余命半年と宣言されてからは 落ち込むではなく 思い出を作ろうと
動けるうちは 母と何度も旅しました と出棺時 涙をこらえつつあいさつした
息子さんは 30数年前の彼そっくりでした。
余命半年 そう宣言される日が やがて来るかもしれません。泣きながら余命
半年を待つよりも 彼みたいに 生き生きとその日を迎えたいものです。