冷房が効き過ぎて寒い。気づけば室温を上げていく。高齢者は、動かないので更に寒い。これで水分を摂るのは至難の業。加えて、冷たい物を、それもたっぷりと出す。体内の仕組みも分からず、高齢者への配慮もない。若い元気な自分を基準にしないでほしい。
研修があり参加する。その後、足がない同僚を送りがてら、外食をした。お腹がくちくなると眠くなる。帰宅して着替えて洗濯機を回し、網戸にして風を入れる。体が冷たくなっていたので、心底ほっとする。冷房のないことに不便さはない。設置する気にもならない。
夏は暑い。しっかり汗をかく。夏野菜を戴く。植物や花木で、夏を愉しもう。或いは、書籍で楽しみたい。耳なし芳市などは特に好し。映像では涼感が漂ってくるが、やはり活字の方がいいような気もする。個人的には小泉八雲です。落語の牡丹灯篭もいい。怖いよ。
江戸時代には、年に2回の薮入りに当るこの日は、早朝からうきうき浮かれていた。今の週休制など考えられなかった頃だ。親の元に帰ったり、芝居見物に出かけたりできる、貴重な日であった。炎天下の道に屋台が並ぶ。麦湯や枇杷湯が売られ、一時を凌いだ。
枇杷葉は、汗疹にも効く。何処にでも枇杷葉は自然に生えていた。薬としての効能は、奈良時代以前にもあったようだ。光明皇后が、施薬院を建て、皮膚病に苦しむ人々を救われた話は有名だろう。千人目の姿は見れないほど爛れていた。観世音菩薩の化身。
当時の施薬院の薬草は、枇杷葉だけではなかったようだ。桃の葉やスギナ、蓬にドクダミ等、自然に生えている物を使ったと思われる。古人は、どんな草も生かせる方法を知っており、分量と採取する時期にも長じていた。雨に遭わすのは避けた。直感力の凄さ。
当時を生きていた人々は、女性を大切にした。殊更、無垢の少女には、魔力が宿るとも信じていた。実際に、神がかりでわかることが多くあったのも事実。現代よりも自由であり、奔放であったかもしれない。時代に翻弄されながらも、生き方には素直さがあったもの。
一年中で、庭が殊更に華やぐ時期。冬の寒さがあったらばこそ、美しい花が咲き競う。四季のある日本は素晴しい。