ふみこの眼前に、リョウが産まれてからの様子がフィルムのコマ割りのように流れる。両親や家族の溢れる愛情のもと成長して、声まで聴こえてくる。新幹線の座席に座るリョウまで辿ると、時は止まった。ふみこは、事実であり真実と思う気持と感情のすれ違いとに愕然とした。あたしがいないわ、どこにも。
リョウは窓の景色を観ていたが、鞄の中から手帳を出し何かを描き始めた。ふみこにはそれが何かが分かり、言いようのない想いにかられその場に居たくなかった。その瞬間に身体がもみくちゃにされ気づくと車の中で、はっとして隣を見ればリョウではない人と一緒だ。そうだ、あたしこの人とデート中だわ。
相手に悪いな、と思いながらふみこはリョウの姿が妙に気になる。何だか随分と歳が上に見え、違和感が拭えないでいた。ふみこは話しかけられても上の空で生返事をしてばかりに、車が止まった。「ねえ、楽しくない?つまらないの」ふみこは頭を振り、小さくごめんなさいと呟く。どうかしてるわ、あたし。
それからのふみこは、誰に誘われても断ってしまうのが増えた。リョウのことばかりが胸に渦巻いて消えず、それなのにどこに住んでいるのかさえ分らない。高校を卒業したばかりのふみこなら、リョウは在学中の筈だ。新幹線で見かけたリョウは、既に家庭があるように思えたのはなぜだろう?不安が広がる。
祖母が亡くなって日は浅いが、今わの際に云った「おまえは、想う者とは結ばれず波乱の人生を歩むぞ」その言葉がふみこを捉える。「あの時に、手遅れじゃった」祖母の意味を為さない言葉に、ふみこは落ち着かない。想う者…誰のことかな?祖母が知っているのも解せない。お宮・月・うさぎ画像だけ廻る。
リョウは窓の景色を観ていたが、鞄の中から手帳を出し何かを描き始めた。ふみこにはそれが何かが分かり、言いようのない想いにかられその場に居たくなかった。その瞬間に身体がもみくちゃにされ気づくと車の中で、はっとして隣を見ればリョウではない人と一緒だ。そうだ、あたしこの人とデート中だわ。
相手に悪いな、と思いながらふみこはリョウの姿が妙に気になる。何だか随分と歳が上に見え、違和感が拭えないでいた。ふみこは話しかけられても上の空で生返事をしてばかりに、車が止まった。「ねえ、楽しくない?つまらないの」ふみこは頭を振り、小さくごめんなさいと呟く。どうかしてるわ、あたし。
それからのふみこは、誰に誘われても断ってしまうのが増えた。リョウのことばかりが胸に渦巻いて消えず、それなのにどこに住んでいるのかさえ分らない。高校を卒業したばかりのふみこなら、リョウは在学中の筈だ。新幹線で見かけたリョウは、既に家庭があるように思えたのはなぜだろう?不安が広がる。
祖母が亡くなって日は浅いが、今わの際に云った「おまえは、想う者とは結ばれず波乱の人生を歩むぞ」その言葉がふみこを捉える。「あの時に、手遅れじゃった」祖母の意味を為さない言葉に、ふみこは落ち着かない。想う者…誰のことかな?祖母が知っているのも解せない。お宮・月・うさぎ画像だけ廻る。