季節は秋も深まり、先週、急に寒くなったせいだろう。
いつもの倍の勢いでカップラーメンが動きだした。
そう、先週は・・・。
つまり、ワオンがオープンする前である。
一日の休みを挟んで出勤し、売り場を見た私は 半分からになりかけた売り場を見て仰天し、大量に発注したのである。
品切れが一番みっともない。
そうならない為の決断だった。
しかし・・・。
昨日、今日と、ほとんど商品は・・・ことカップラーメンに関しては、動いていない。
何せ、二日間、ほとんど全くといっていいほど、売れ筋商品の補充をしていないのだから。
ワオンで、きつね や UFOをたった58円で売られたら、こちらは 泣くしかない。
在庫を抱えすぎだ。
更に運が悪いことに、昨日、業者さんがやってきて、棚替えをしていったのである。
商品入れ替えで、これまで定番だった商品は、プラットホームに むなしく引っ込め られ、事前に聞いていなかった為、発注分が昨日、入荷され、更に在庫が増えたのである。
どうか、「棚替えします!」と事前に お知らせしてください、業者様。
そちらは、得しても、こっちは損!なのだから。
さて、バックでは、引っ込められた在庫をつばめ君が覗いている。
入荷商品だと思って、売り場へ出そうとしているのだろう、と思った私は、声を掛けた。
「これね、棚替えで、定番から外されたから、出さなくていいの。半額処分になる在庫・・・(おお、かわいそうな 在庫たち!)」
「はい、店長に数をかぞえてくれって言われました」
「店長に・・・?」 (頑張ってください、つばめ君)
今日はじとじとした天気の上に、肌寒い。
昨日よりは、お客様の数は増えたようだ。
やはり、高齢者のお客様が中心。
文具を出していると、80才くらいの おばあ様が話しかけてきた。
「あのう、お忙しいところ、すみませんが、私、このお酒をあと3つほど、ほしいんです。でも、棚の上の奥まで手が届かなくてねえ・・・。 取って頂けませんかね」
「はい、勿論」(おやすい御用で!)
私は、踏み台を手に持ち、酒売り場へ老女と共に散歩?することに。
いつもは、私の方が先頭を歩くのだが、(御案内だから)1メートル進んでは、後ろを振り向いて、お客様が私について来ているか、確認する必要がある。
ふうふう、言いながら私についてきてもらうのは、お気の毒だから。
今回のお客様は、場所を知っているわけで・・・。
しかも、私は、いつもより お暇。
私より前を歩いてもらうことにしたのである。
しかし、老婦人は、
「あら?どこだったかね?」
と、行き過ぎてしまわれた。
ご高齢の割には軽やかな足取りであった。
ただ、小柄なだけですね・・・。
酒コーナーに到着し、当初のご希望通り、3つの酒を取り、かごに入れてさしあげる。
「3つでしたね。これで よろしいですか」
「そうねえ、親切にしてもらって・・・。お寺に持っていって、お供えするんです。今、7つかごに入ってるから、あと3つ頂こうかしら。ちょうど、10つになるしねえ・・・」
(えっ あと3つ、追加?)
「はい、あと3つですね!」
「お忙しいのに、ありがとうございます」
「いえいえ、そんな。忙しくはありませんよ・・・。こちらこそ、 (追加のお買い上げ) ありがとうございま~す」
私・・・シドニーのお土産屋さんでのショップアシスタント時代を思い出し、うさぎのように、飛び跳ねそうになった。
要するに、マニュアルのない、自由で生きた接客ってこと。
スーパーは、基本的にセルフサービスだが、接客で追加の売り上げを作る事は、やっぱり嬉しい。
しかも、楽しい。
マニュアル通りは丁寧で、皆、礼儀正しい!そこが、日本の良さである。
そういいながらも、外国人のお客様に対しては、しっかりシドニー流を持ち込んで接客している私であった。
だから、お客様イコールお友達と、なるのだが・・・。
マレーシアのロスナニちゃんをはじめとする、10人以上のJICAの研修生が、そうである。
彼女達を我が家へ招いて、お鍋、手巻き寿司をご馳走し、すっかり意気投合した。
この話は また いつか・・・。
仕事を終え、レジに並んでいると、レジのスタッフが、こそっと私の耳元で、つぶやいた。
「もう、行かれました?」
「何処へ・・・ですか?」
「ぎ・お・ん・・・へ」
「えっ 祇園(祇園って・・・お祭りでもあるんだろうか」
「いえ、そうじゃなくて・・・ワオン!」
スタッフは更に小声で、
「ワオン」と言った。
「まだですけど、多分、その内・・・)」
そういえば、岸辺さんも、荷出しをしながら、私に聞いていたっけ。
「あなた、もう、行った?」
やはり、何処へ・・・が抜けている。
「ワオンよ。その内、落ち着いたら、行ってみようと思ってね。今は まだ、ちょっと・・・ね」
とても遠慮がちだ。
ここのスタッフが宿敵?ワオンへ行くことは、気が引けるらしい。
高田さんも、私に聞いた。
「もう、行ってみた? 今はまだ込んでるだろうから、その内ね。あっ、俺が行くのは、衣料品売場よ、衣料品」
(ちなみに、私たちが働く、とある街のスーパーは、衣料品は取り扱っておりません!)
そんな、何度も強調しなくても・・・。
なんて、とある街のとあるスーパー思いのスタッフたちなのだろう。
店長や社長が聞いたら、泣いて喜ぶだろうに。
私は、しっかり食料品売場を見てきます。
勿論、市場調査
ぐっと すたっふ・・・でしょ