カトちゃんは、落ち着いている。
いつも冷静だ。
中には、天気のごとく、機嫌が良くなったり、悪くなったり、スピッツのようにキャンキャン吠える人物もいるが・・・。
カトちゃんの心は、いつも平穏。
要するに大人なのだ。
童顔だが、あまりにも落ち着いているので、25、6歳くらいだろう、と勝手に思い込んでいた。
そんなある日のこと。
「鈴木さん!ちょっと、こっち来て!ハマグリ君が、鈴木さんは何歳かって、聞いてるよ!」
私を呼んだのは、自称30代の高田さん。
「二十歳って事に、しておきましょう、はたち」
私は謙虚に??遠慮深く答えた。
「俺、最初の頃、ホントに、普通~に
(なぜ、普通をそんなに強調するのだ)、俺と歳、同じくらいって思ってましたよ!」
ハマグリ君は、更に続ける。
「最初に俺より ずっと年上なんだ・・・って気付いたのは、私の時代は・・・って、言われたとき。ほら、パソコンの話してて・・・。それまでは、ほんとに普通に・・・。カト君と、鈴木さんを一緒に並べたら、絶対、鈴木さんのほうが若く見えますよね!」
「・・・。ところで、カトちゃんって・・・何歳?」
と、私。
「19歳」
と、高田さんがハッキリ答えた。
「うっそお~ 」
あの落ちつきは10代であるはずがない
きっと、ジョークだと、決め付けた私は、矢木さんにも同じ質問をした。
意外にも矢木さんは、
「うん、19歳らしいよ。ハマグリ君が、いつも飲料の荷出しをしてる、おじさんがいるでしょう、名前、知らないけど・・・っていうから、誰の事かと、考えたよ。おじさんっていったら高田さんしか居ないけど、高田さんの事は知ってるしね。前、一緒に働いてたから。 ハマグリ君が知らない人って鈴木さんとカトちゃんしか、いないし・・・。飲料って言ったら、カトちゃんでしょ。 あんた、何、いってるの!彼は あんたより若いんよ!って、言ったけどね。 そうだ鈴木さんのご両親に、カトちゃんを紹介して、彼と結婚します。彼は19歳ですっって言ったら、ご両親、きっと、泡吹いて倒れるかもね!ぎゃはははっ」
私、「・・・・。」
翌日 まだ、信じられない私は、今度は、南副店長に聞いてみた。
「カトちゃん、19歳って、本当ですか?」
「はい、本当です」
「あの落ちつきは・・・とても19歳には見えない。私、みんなが冗談を言ってるのかと、思いました。しっかりしてますね! 私、自分で自分が恥ずかしいわ・・・みんな、私より年下で、あんなにしっかりしてて・・・」
すると、南副店長は、
「俺、19のとき、まだ鼻水垂らしてたと思う」
と言い、笑った。
・・・と言うことで、三人に聞き込み捜査をした結果、カトちゃんが19歳というのは、ほぼ間違いなく事実だと判明したのである。