社員不在の日曜日の朝から一夜明けた今日、月曜日... 南副店長にバッタリ会った。
「あっ、おはようございます」
「おはようございます」
副店長の顔を見たとたん、前日の矢木さんとの会話が鮮やかに よみがえった。
(矢木さん曰く、女装が似合うよ・・・)
よりによって、彼はヘアスタイルを変えていた。
髪を切ったようである。
ここで、彼の顔を見るなり笑ったりしたら、 髪型が変だから笑ったのだと、誤解される事、間違いなし。
私は、挨拶だけして、事なきを得た。
ほっ
次に南副店長とすれ違ったのは、調味の荷出しをしている時だった。
彼は、お米の台車を引っ張り、私の真横を横切った。
「ちょっと、いいですか」
そう、言いながら、重い台車を引っ張って通り過ぎる間の
た~っぷりの時間を最大限に活用し、 私は頭の中で、シミュレーションをしてみた。
(副店長にロングヘアのカツラを・・・メーテル風に、金髪がいいかな? それとも、香取慎吾君のように「ニワさん・・」とか?)
一時間後にすれ違った時、私は発注中だった。
そこへ、南副店長が台車を引いて、私が居る通路へ曲がってきた。
私は、思わず、発注していた手を休め、じ~っと副店長の顔を見た。
(マツケンサンバのカツラとか、いいかもねえ)
私がそう思った瞬間、副店長は、急に、方向転換し、回れ右して別の通路へ行ってしまった。
勤務時間終了間近か。
私は一番下段の棚に小麦粉を一生懸命補充していた。
結構、夢中で・・・。
ふと、後ろで人の気配を感じた私は、振り返った。
すると、ぎくっとした表情の南副店長が、
そお~っと通り過ぎようとしている最中だった。
まるで、私に気付かれぬよう、最大限の努力をしているかのように・・・
私に気付かれ、焦っているように見えた。
「すみません・・・後ろ、通ります・・・」
「はい、どうぞ」
(岸辺さんも、南副店長は、餅肌だから、女装が似合うといっていたっけ。う~ん、 )
結局、今日は、副店長の顔を見るたびに、 女方副店長のシミュレーションを頭の中でしていた私・・・。
思えば、こんなに南副店長の顔をじ~っと見つめるのは今回が初めてだ。
「いったい、どうしたんだ。 何か、俺の顔についているのか」
と、思ったでしょうね。