つばめ君に続いて、また一人、新しいスタッフが入った。
・・・とは、言っても、彼は、以前、ここでアルバイトをしていたらしいから、私より先輩だ。
ひらっち との会話で、
「前、**大学の**って人が居たんよ・・・」
と、話題にのぼることもあった。
まさか、その人が戻ってくるなんて、考えもしなかったのだが・・・。
噂でしか聞いたことがない、その人 本人を目の前にした時、私は思わず、プッと吹き出しそうになるのを必死で堪えた。
くっ・・・くるしい
「初めまして。鈴木です。宜しくお願いします」
と、差しさわりのない自己紹介をし、どうにか、吹き出さずに済んだ。
彼の名は、ハマグリ君。
西村チーフは、彼の名をシフトにはカタカナで書いている。
私は当初、外人さんかと思った。
末永さん曰く、
「漢字が難しいからでしょ!」
実際、難しく、漢字だけではなく、珍しい名前で なかなか覚えられない。
そこで簡単に、ハマグリ君と呼ぶ。
ハマグリ君がカムバックしてから約、一週間後のある日のこと。
竹輪担当の花岡さんが、みんなの為に自宅のパソコンでシフト表を作ってきてくれた!
これには感動した。
一人ひとりに配ってくれたのだ!
その時、パソコンも持っていなかった私は、矢木さんと二人、受け取ったシフト表を見ながら、
「すごい特技だね~!」
と感心しきり。
「私、息子が置いていったパソコンのホームページをちょこっと見るくらいよ!」
と、矢木さん。
「私なんか、パソコンどころか、未だにワープロ使ってますよ!ワープロですよ、ワープロ!」
と、私。
「パソコンの勉強 始めたばかりなんですよ」
という花岡さんの隣で、矢木さんと私は、どちらが よりシーラカンスに近いか・・・を競い合った。
売り場へ行くと、岸辺さんが居た。
私は岸辺さんにもシフトを見せびらかし、まるで、自分で作ったかの様に はしゃいだ。
そこへ、ハマグリ君がやって来たのだ。
「どうやって、線を引くんだろう、マス目は どのように作るのか・・・?」
と、感心しきり!の私の横で、涼しい顔をし、
「俺、作れますよ。時間割、作ったし。エクセルを使えばいいんですよ!」
と、自慢!?した。
更に私の方を見て、さも当然!というように、
「大学でパソコン習うでしょ?」
そこで、私は答えた。
「ううん。私の時代は、なかったよ。英文タイプなら必須科目だったけど。タイプライターですよ!ガチャガチャ、チ~ン!!ってやつですの
」
ハマグリ君は、しばらく私の顔をじ~っと見たあと、何も言わずに その場を立ち去っていったのであった・・・。