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全身の筋肉に骨ができる難病(FOP)の進行抑える治療薬候補を発見

2018-11-03 | 医学
 進行性骨化性線維異形成症(FOP)は筋肉・腱・靭帯などの組織の中など、本来とは異なる場所に骨ができてしまう病気で、200万人に1人程度の割合で罹患し、日本には80名程度の患者さんがいるといわれている希少難病である(指定難病272)。これまでの研究により、FOPは骨形成に関わる因子であるBMPの受容体の一つであるACVR1遺伝子に突然変異が生じることで、ACVR1が過剰に働いてしまうことが原因である事がわかっているが、有効な治療法は確立されていない。
 京都大学池谷真准教授と日野恭介研究員らは、筋肉などに骨ができる難病の治療薬候補2種類を患者のiPS細胞を用いて突き止めた。
 研究では、まずATDC5というマウスの奇形腫由来の培養細胞に、FOP患者に特有の遺伝子変異を持ったACVR1を働かせ、ハイスループットスクリーニング系を立ち上げた。4,892種類の化合物を用いてスクリーニングを行ったところ、2つのヒット化合物が得られた。これら化合物はFOP患者由来のiPS細胞を使った実験でも軟骨形成を抑制し、FOPの病態を再現したマウスでも異所性骨化を抑制する効果が見られた。こうした結果から、FOPのさらなる解析やドラッグリポジショニングに貢献できると考えられた。
 FOP患者ではACVR1に変異が生じており、本来とは異なる刺激で活性化してしまいBMPのシグナルが働いてしまうことがわかっている。この状況により近い細胞の状態を作るために、軟骨形成をするマウス培養細胞であるATDC5にFOP型の変異を持ったACVR1を発現させた。このATDC5はBMPシグナル等の働きで軟骨分化が亢進するとALPがたくさん産生されるため、このALPの働きを異所性骨化につながる異常な軟骨分化の指標として測定するハイスループットスクリーニング系を構築した。この系を用いて、4,892種類の化合物の中から、候補化合物を7種類に絞り込んだ。
 次に、FOP患者の細胞から作製したFOP-iPS細胞を用いた実験系で更に絞り込みを行う。iPS細胞から作製した間葉系間質細胞(FOP-iMSC)にActivin-Aを加えることで軟骨形成が起こるが、これをより強く抑える物質を探した。その結果3種類の化合物(AZD0530、PD 161570、TAK 165)を候補として得た。
 FOP-iMSCをマウスに移植し、マウスの体内でFOPの骨化を再現したモデルを用いて、絞り込んだ化合物の効果を評価した。これで、2つの化合物(AZD0530、TAK165)で異所性骨化を防ぐ効果があることが分かった。さらに、TAK165はmTORシグナル経路を調節する作用があり、直接ではないもののmTORシグナルを阻害していることを明らかにした。
 ◆ハイスループットスクリーニング
 多数の化合物の中から有効な化合物を見つけるための手段。一度に多種類の化合物について評価を行う。
 ◆ACVR1 (Activin receptor type-1)
 BMP受容体の一部を構成するタンパク質で、BMPと結合することにより骨形成のシグナルを伝達する。アクチビンAとは、結合はするがシグナルは伝えないことが知られていた。FOPではACVR1遺伝子の変異により、ACVR1タンパク質の206番目のアルギニンがヒスチジンに変化し、アクチビンAとの結合で本来伝えないはずのBMPシグナルを伝えていた。
 ◆BMP (Bone Morphogenetic Protein; 骨形成因子)
 骨組織や軟骨の分化を誘導、促進するタンパク質。
 ◆間葉系間質細胞(Mesenchymal Stromal Cells)
 骨・軟骨・脂肪細胞などといった間葉系の細胞に分化する能力を持った間質(結合組織)の細胞。本報では、iPS細胞から作製したものをiMSC(induced Mesenchymal Stromal Cell)としている。
 ◆ALP(Alkaline Phosphatase)
 様々な細胞の表面に存在する酵素の一種であるが、軟骨細胞の分化マーカー(目印)でもある。この酵素活性を利用してハイスループットスクリーニングを行った。
 ◆mTOR
 mTOR(エムトア)は哺乳類などの動物で細胞内シグナル伝達に関与するタンパク質キナーゼ(セリン・スレオニンキナーゼ)の一種。酵母を用いたスクリーニングでラパマイシンの標的分子として発見されたため、TOR (target of rapamycin)つまり「ラパマイシン標的タンパク質」の略として命名された(TOR1、TOR2の2種類がある)。後に哺乳類のホモログが見出され、同定した研究者らによりFRAP1、RAFT1などと命名されたが、一般にはmTOR (mammalia TOR:哺乳類のTOR)との呼称が普及した。その後、様々な生物種でTORホモログが広く同定されたのを受け、HUGO遺伝子命名法委員会 (HGNC)は2009年に本遺伝子の公式名をMTOR(mechanistic target of rapamycin)に決定した。なお、HGNCによる公式名称では、Mはmechanistic(物理的、機械的、機構的)の略であり、当初一般的であったmammalian(哺乳類の)ではない。
 mTORは、複数のタンパク質による複合体(complex)を形成し、複合体はmTORCと呼ばれる。インスリンや他の成長因子、栄養・エネルギー状態、酸化還元状態など細胞内外の環境情報を統合し、転写、翻訳等を通じて、それらに応じた細胞のサイズ、分裂、生存などの調節に中心的な役割を果たすと考えられている。インスリンやアミノ酸が豊富に存在するとmTORは活性化され、リボソームにおけるmRNAの翻訳を促進しタンパク質合成を増加させるとともに、オートファジーを阻害しタンパク質の分解を抑制する。

 朝から良い天気・・秋晴れ。気温は、最高気温20℃に届かないくらい。
 散歩道沿いに、大きい柿の木がある。黄色に色付いた柿がビッシリと付いている。お店でも沢山見かける。秋に食べられる果物・柿の季節となった。
 柿は縄文・弥生時代の遺跡から種が出土するほど古い時代から愛された果物だ。現在でも変わらず美味しい果物だ。熟した柿をそのまま食べるも良し、干し柿で食べるのもいい。
 名(カキ:柿)の由来は、秋に赤くなる葉と黄色になる果実なので、あかき(赤黄)→かき との転訛説がある。
 甘柿は渋柿の突然変異種と考えられており、鎌倉時代の建保2年(1214年)に神奈川県川崎市の王禅寺の山中での自生を偶然発見され、これが日本初の甘柿とされている。
 因みに、果樹に実がなるまでの期間に、「桃栗三年、柿八年、梅は酸いとて十三年、柚子の大馬鹿十八年、林檎ニコニコ25」と言う。
 カキノキ(柿の木)
 学名:Diospyros kaki
   柿は日本原産の果物と言われる
 カキノキ科カキノキ属
 落葉樹
 雌雄同株、雄花と雌花が別々に咲く
 開花期間は5月~6月
 花は白黄色で目立たない
 果実(柿)は秋に橙色に熟す
 柿の品種は千種を超える程に多く、渋柿と甘柿に大別される


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