東京工業大学物質理工学院材料系の河村玲哉修士課程2年、宮内雅浩教授、筑波大学の近藤剛弘准教授、Nguyen Thanh Cuong(ニュエン タン クオン)研究員、岡田晋教授、高知工科大学の藤田武志教授、東京大学物性研究所の松田巌准教授らの共同研究グループは、ホウ素と水素の組成比が1:1のホウ化水素シートが室温・大気圧下において光照射のみで水素を放出できることを発見した。研究成果は10月25日”Nature Communications”に掲載。
ホウ化水素シートは「ボロファン」という通称名で理論的に存在が予測されていた二次元物質で、2017年9月に本研究グループが初めて合成に成功した。ホウ化水素シートは軽元素のホウ素と水素からなり、その質量水素密度は8%以上と極めて高く、爆発のリスクある水素ガスボンベに代わる軽量で安全な水素キャリアとしての応用が期待されていた。
今回、見出した現象はホウ化水素シートに紫外光を照射する単純な操作で、室温・大気圧という穏やかな条件で水素を取り出すことができる。これを応用することで爆発性のある水素の運搬を、高温や高圧を要する従来手法よりもはるかに安全に達成することが期待できる。さらに本研究では、計算科学によって電子構造の観点から、光照射による水素放出のメカニズムを解明することに成功した。
発表のポイント
〇ホウ化水素シートが常温・常圧条件で光照射のみで水素を放出
〇水素放出のメカニズムを計算科学による電子構造から解明
〇安全・軽量なポータブル水素キャリアとしての応用に期待
研究成果
本研究グループの第一原理計算によると、ホウ化水素シートではホウ素の結合性軌道から反結合性軌道への遷移(a→b)、ならびに水素の反結合性軌道への遷移(a→g)が起こることが示唆された。特に水素の反結合性軌道への遷移は紫外線のエネルギーに相当する。すなわち、光エネルギーでg軌道に電子を遷移できれば水素の結合を弱められ、常温・常圧で紫外線の照射のみで水素が放出されるのではないかとの仮説を立てた。
これを検証するため、2種類の光源を用いてホウ化水素シートから放出されるガスの分析をおこなった。可視光の照射はホウ素の結合性軌道から反結合性軌道への遷移(a→b)を起こすことができる一方、紫外線照射は水素の反結合性軌道への遷移(a→g)を起こすことができる。この結果、第一原理計算の予想通り、紫外線の照射で水素が生成することが確認できた。また、紫外線を照射したときの水素生成量を定量したところ、ホウ化水素シートの質量の8 %にあたる水素を放出できることがわかった。
従来の水素吸蔵合金における質量水素密度は、高いものでも2%程度だった。また、シクロメチルヘキサンのような有機ハイドライドも有望な水素キャリアとして知られているが、その質量水素密度は6.2%で、水素放出には300℃以上の加熱が必要だった。今回、宮内教授らが報告するホウ化水素シートは、既往の水素キャリアと比べて極めて大量の水素を、光照射という極めて簡便な操作で放出できることがわかった。
今後の展開
現行の車載用燃料電池には高圧水素タンクが搭載されているが、本研究成果により、安全・軽量・簡便なポータブル水素キャリアとしての応用が期待できる。
◆用語説明
〇ボロファン
ホウ化水素シート。ホウ素と水素の組成比が1:1のナノシート状物質。
〇水素キャリア
水素を貯蔵・輸送するための担体。高圧水素ガスボンベ、液化水素、アンモニア、有機ハイドライド、水素吸蔵合金などが知られる。
〇グラフェン
炭素原子一層あるいは数層分の厚さからなるシート状物質。
〇第一原理計算
実験データや経験パラメーターを使わない基本的な原理に基づく計算。
〇結合性軌道および反結合性軌道
分子同士を結合させるために働く軌道、および、分子同士の結合を開裂させるように働く軌道。
今日の天気は曇り。風が少し強く、少し冷たい。
数日前から”キンモクセイ”の花が咲いている。花が咲き始めるころ、蕾のころから香る・・とても良い香り。
花から強い芳香を放つ庭木の代表格は、
キンモクセイ(金木犀)
ジンチョウゲ(沈丁花、花期2月末~3月始め)
クチナシ(梔子、花期6月~7月)で、「花の三香木」と呼ぶ。花と香りが楽しみ。
”キンモクセイ(金木犀)”は雌雄異株。日本には雄株のみの渡来(中国が原産)、なので結実しない、稀に雄株もあると言う。名(キンモクセイ:金木犀)の由来は、黄色(金色)の花を付け、樹皮がサイ(犀)の皮膚に似ているからと言う。
キンモクセイ(金木犀)
学名:Osmanthus fragrans var. aurantiacus
モクセイ科モクセイ属
常緑小高木
江戸時代初期に渡来(雄株のみ)
開花時期は9月下旬~10月中旬
花は淡いオレンジ色、花径は数mm程度
枝にビッシリと大量に咲く
散った多量の花びらがオレンジ色の絨毯の様に地面に広がる
ホウ化水素シートは「ボロファン」という通称名で理論的に存在が予測されていた二次元物質で、2017年9月に本研究グループが初めて合成に成功した。ホウ化水素シートは軽元素のホウ素と水素からなり、その質量水素密度は8%以上と極めて高く、爆発のリスクある水素ガスボンベに代わる軽量で安全な水素キャリアとしての応用が期待されていた。
今回、見出した現象はホウ化水素シートに紫外光を照射する単純な操作で、室温・大気圧という穏やかな条件で水素を取り出すことができる。これを応用することで爆発性のある水素の運搬を、高温や高圧を要する従来手法よりもはるかに安全に達成することが期待できる。さらに本研究では、計算科学によって電子構造の観点から、光照射による水素放出のメカニズムを解明することに成功した。
発表のポイント
〇ホウ化水素シートが常温・常圧条件で光照射のみで水素を放出
〇水素放出のメカニズムを計算科学による電子構造から解明
〇安全・軽量なポータブル水素キャリアとしての応用に期待
研究成果
本研究グループの第一原理計算によると、ホウ化水素シートではホウ素の結合性軌道から反結合性軌道への遷移(a→b)、ならびに水素の反結合性軌道への遷移(a→g)が起こることが示唆された。特に水素の反結合性軌道への遷移は紫外線のエネルギーに相当する。すなわち、光エネルギーでg軌道に電子を遷移できれば水素の結合を弱められ、常温・常圧で紫外線の照射のみで水素が放出されるのではないかとの仮説を立てた。
これを検証するため、2種類の光源を用いてホウ化水素シートから放出されるガスの分析をおこなった。可視光の照射はホウ素の結合性軌道から反結合性軌道への遷移(a→b)を起こすことができる一方、紫外線照射は水素の反結合性軌道への遷移(a→g)を起こすことができる。この結果、第一原理計算の予想通り、紫外線の照射で水素が生成することが確認できた。また、紫外線を照射したときの水素生成量を定量したところ、ホウ化水素シートの質量の8 %にあたる水素を放出できることがわかった。
従来の水素吸蔵合金における質量水素密度は、高いものでも2%程度だった。また、シクロメチルヘキサンのような有機ハイドライドも有望な水素キャリアとして知られているが、その質量水素密度は6.2%で、水素放出には300℃以上の加熱が必要だった。今回、宮内教授らが報告するホウ化水素シートは、既往の水素キャリアと比べて極めて大量の水素を、光照射という極めて簡便な操作で放出できることがわかった。
今後の展開
現行の車載用燃料電池には高圧水素タンクが搭載されているが、本研究成果により、安全・軽量・簡便なポータブル水素キャリアとしての応用が期待できる。
◆用語説明
〇ボロファン
ホウ化水素シート。ホウ素と水素の組成比が1:1のナノシート状物質。
〇水素キャリア
水素を貯蔵・輸送するための担体。高圧水素ガスボンベ、液化水素、アンモニア、有機ハイドライド、水素吸蔵合金などが知られる。
〇グラフェン
炭素原子一層あるいは数層分の厚さからなるシート状物質。
〇第一原理計算
実験データや経験パラメーターを使わない基本的な原理に基づく計算。
〇結合性軌道および反結合性軌道
分子同士を結合させるために働く軌道、および、分子同士の結合を開裂させるように働く軌道。
今日の天気は曇り。風が少し強く、少し冷たい。
数日前から”キンモクセイ”の花が咲いている。花が咲き始めるころ、蕾のころから香る・・とても良い香り。
花から強い芳香を放つ庭木の代表格は、
キンモクセイ(金木犀)
ジンチョウゲ(沈丁花、花期2月末~3月始め)
クチナシ(梔子、花期6月~7月)で、「花の三香木」と呼ぶ。花と香りが楽しみ。
”キンモクセイ(金木犀)”は雌雄異株。日本には雄株のみの渡来(中国が原産)、なので結実しない、稀に雄株もあると言う。名(キンモクセイ:金木犀)の由来は、黄色(金色)の花を付け、樹皮がサイ(犀)の皮膚に似ているからと言う。
キンモクセイ(金木犀)
学名:Osmanthus fragrans var. aurantiacus
モクセイ科モクセイ属
常緑小高木
江戸時代初期に渡来(雄株のみ)
開花時期は9月下旬~10月中旬
花は淡いオレンジ色、花径は数mm程度
枝にビッシリと大量に咲く
散った多量の花びらがオレンジ色の絨毯の様に地面に広がる
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