歩けば楽し

楽しさを歩いて発見

  思い出を歩いて発掘

   健康を歩いて増進

化学反応における触媒活性を予測するための理論の拡張に成功

2019-11-13 | 科学・技術
 理化学研究所環境資源科学研究センター生体機能触媒研究チームの大岡英史基礎科学特別研究員と中村龍平チームリーダーの研究チームは、化学反応における触媒活性を予測するための理論の拡張に成功した。本研究は、米国の科学雑誌「The Journal of Physical Chemistry Letters」オンライン版(日本時間10月18日)に掲載。本研究成果は、貴金属元素を使わずに高い活性を示す、新たな触媒材料の開発につながると期待できる。
 これまでの触媒理論では、高い活性を持つ触媒を開発する上で、触媒と反応基質の吸着エネルギーを最適化することが重要であると考えられてきた。しかし、現実社会で役立つ触媒を開発するためにどうすればよいかは、平衡状態に着目した従来理論では予測できません。なぜなら、実際に触媒反応を起こすためには熱や電気などのエネルギーを与える必要があり、このことによって触媒は平衡状態でなくなるためです。
 今回、研究チームは反応速度論に基づき、エネルギーを与えた環境での触媒活性を予測する理論の構築を試みました。その結果、エネルギー投入量によって、高い活性を得るために最適な吸着エネルギーが大きく異なることを突き止めました。これは、従来理論では活性が低いとされてきた材料でも、現実社会では高い活性を示す可能性があることを意味する。したがって、本理論は、現在産業界で触媒として使われている白金(Pt)などの貴金属材料を、より豊富に存在する銅(Cu)やニッケル(Ni)などの元素で代替することにつながる。
 背景
 現代の人類社会にとって、触媒は不可欠である。例えば、石油化学製品や化学肥料を合成する化学反応は、触媒によって促進される。また、燃料電池や水素製造、人工光合成など、次世代のクリーンエネルギー技術にも触媒は欠かせない。優れた触媒の開発には、活性を予測する触媒理論が重要である。現在は、Paul Sabatierが1911年に提唱した「触媒と基質の結合の強さを表す吸着エネルギーは、大きすぎても小さすぎても良くない」というSabatier則がその役割を担っている。この法則は、触媒と基質の吸着エネルギーが大きすぎると反応が起こりにくく、小さすぎると反応が終わった基質が触媒から離れないことに由来している。したがって、その中間にある「ほど良い吸着の強さ」を持つ材料こそが優れた触媒だと考えられてきた。
 現在では、この吸着エネルギーの最適値を計算化学で求め、そのような値を持つ材料を合成することが最も効率的な触媒探索と考えられている。そして、吸着エネルギーの最適値を求める際には、計算がしやすいという理由で平衡状態に近い条件で計算が行われてきた。しかし、平衡状態では実質的に反応は起こらないため、実際に触媒が使われる環境とは大きく異なる。現実社会では、反応を促進するために熱や電気などのエネルギーを触媒に与える。これにより初めて、活発な反応が起こるようになる。ここで注意したいのは、与えるエネルギー量の大小で触媒活性が逆転するかもしれないということである。例えば、触媒Aを使う場合には、少ないエネルギーで触媒反応が起こり始めるが、エネルギーを与えても反応速度はあまり大きくならない。これに対し、触媒Bを使う場合は一度反応が起こり始めると、少しのエネルギーを与えるだけで急激に反応が速くなる。 現実社会では、エネルギーをたくさん与えたときに反応が速く進む触媒Bのような材料が必要とされている。本研究による理論では、触媒Bのような材料を実現するために必要な吸着エネルギーの条件を明らかにした。
 研究手法と成果
 研究チームはまず、吸着エネルギーに応じて触媒反応の速さがどのように変化するかを評価するために、反応速度論に基づく計算を行った。そのモデル反応として、水素酸化反応(H2→2H++2e-)を使う。水素酸化反応は、燃料電池における水素の燃焼反応として注目されていることに加えて、反応そのものが2段階で単純なため、モデル反応に適している。また、水の電気分解によって水素を作る水素発生反応(2H++2e-→H2)も反応機構が類似しているため、本研究で得られた結果は水素発生触媒にも応用可能である。
 反応速度論により、水素酸化反応の触媒活性(反応速度)を表す数式を導き出した。得られた数式により、反応速度は吸着エネルギー、触媒に与えたエネルギー、そして反応の速度定数[9]から決まる値(K)の3変数から予測できる。Kは吸着水素原子が生成しやすいかどうかを表し、K>1の場合は生成しやすく、K<1の場合は生成しにくくなる。
 導出した数式によって水素酸化反応の触媒活性を予測すると、吸着エネルギーと反応速度の関係性を表した図が得られた。この関係性は吸着水素原子のできやすさ(Kの値)によって変化するが、どちらの場合もエネルギーを与えることによって、触媒活性が青い線(平衡状態)から赤い線(実際の反応環境)に向かって変化する。赤い線が青い線の上側にあるのは、エネルギーを与えることによって触媒が活性化し、反応が速くなるためです。ここで重要なのは、赤い線と青い線では頂点の場所が変わっていることです。この頂点は反応速度が最大になる点、つまり吸着エネルギーの最適値を表しています。したがってこれらの図は、平衡状態と実際の反応環境とでは、吸着エネルギーの最適値が異なることを示しています。
 今後の期待
 今回の理論的な予測は水素酸化反応をモデルにしているが、それ以外にも触媒材料の効率化が期待されている反応がたくさんある。したがって、本研究の理論を拡張し、より複雑な反応でも取り扱えるようにする必要があると考えられる。同時に、優れた材料の予測だけでなく、そのような材料を開発することも重要である。そのことによって初めて、この研究で行われた理論的な予測の正しさを証明し、貴金属元素に依存しない、新たな触媒開発の指針を確立することが可能となる。特に、近年急速に加速している機械学習による触媒探索も、Sabatier則から予測される平衡状態の活性をもとに材料の良し悪しを判定している。したがって、本研究による触媒理論の拡張はデータ駆動型触媒探索の効率化にもつながる成果である。
 ◆補足説明
 1.触媒
 化学反応の前後で自身は変化しないが、継続的に反応を起こりやすくし続ける(反応速度を著しく大きくする)化学物質のこと。このような意味では、生物の体内にある酵素も触媒の一種と考えられる。
 2.反応基質
 反応が起こる前の化学物質を反応基質という。反応が起きると、基質は生成物に変換される。
 3.吸着エネルギー
 多くの触媒反応は、反応基質と触媒が一時的な結合を作ることで進行する。吸着エネルギーとは、このとき作られる結合の強さを表す数値である。吸着エネルギーが小さいほど結合は安定であり、大きいほど不安定となる。
 4.平衡状態
 触媒に与えるエネルギーが小さいと、反応は見かけ上起こらない。しかし、これは反応が全く起きていないわけではない。見かけ上何も起こらないのは、反応が起きているにもかかわらず、その逆反応も同じくらいの速さで起きているためである。このような、逆反応と釣り合いが取れた状態が平衡状態である。
 5.反応速度論
 化学反応がどれだけ速く起きるかを予測するための理論。反応が起きるかどうか、だけに着目する熱力学や平衡論よりも数式は複雑になるが、触媒活性についてより多くの知見を得られるという点において優れている。
 6.燃料電池
 水素と酸素を化学反応させて発電する装置。化学反応を効率的に起こすため、白金触媒が使われている。
 7.Sabatier則
 フランスのノーベル化学賞受賞者であるPaul Sabatierが、100年ほど前に見つけた法則。「触媒と基質の吸着エネルギーは、大きすぎても小さすぎても良くなく、最適値が存在する」とするもの。その提唱以降、さまざまな触媒反応でその正しさが実験によって証明されている。
 8.モデル反応
 数多くある反応の中でも、理論解析で取り上げるのに適した反応のこと。水素酸化反応は2段階で進むと考えられており、最も単純な触媒反応の一つである。このような単純な反応で起こりうる効果は、より複雑な反応でも起こる可能性があるため、単純なモデルを使う方がより広範囲の反応を扱うことにつながる。例えば、水素酸化反応で高活性領域が広がる(図4b)なら、その他の反応でも高活性領域の拡大が起きる可能性が高い。
 9.速度定数
 同じだけエネルギーを与えても、反応によって速さが異なる。この速さの違いを表す値が速度定数であり、触媒材料や反応環境によって変化する。本文中のKは、平衡状態における水素原子の吸着と脱着の速度定数の比を表している。
 10.eV(エレクトロン ボルト)
エネルギーの単位の一つで、1eVは1.6x10-19Jに相当する。一つの分子の中の結合など、非常に小さなエネルギーを表す際に使われる単位である。
 11.機械学習
 人間の学習能力と同様に、機械(コンピュータ)に学習能力を持たせる手法。たくさんのデータを与えれば、機械が自動的に法則性を見つけ出すという特徴がある。

 今日の天気は晴れ。朝晩は冷え込みが厳しく、最高気温17℃、最低気温7℃。
 駐車場の植栽地で、まだ”ホトトギス”が咲いている。ホトトギス(ホトトギス属)には幾つもの種があり、東アジア(日本・台湾・朝鮮半島)では19種が確認され、うち日本では 12種(13種説あり)が確認されていると言う。良く見かけるのは、タイワンホトトギス(台湾杜鵑)らしい。
 鳥のホトトギスは「不如帰」と書き、植物の”ホトトギス”は「杜鵑草 、杜鵑」と書く。名(ホトトギス:杜鵑草)の由来は、花弁(はなびら)の斑点が鳥のホトトギスの胸の模様に似ているから、と言う。
 ホトトギス(杜鵑草、杜鵑)
 学名:Tricyrtis hirta
 ユリ科ホトトギス属
 夏緑性多年草、雌雄同花
 原産地は日本・東アジア
 開花時期は8月~11月
 花は径数cm程で、上向きに咲き、花弁は6枚
 花弁の白地に濃紫の斑点が特徴的
 斑の入らない(純白)もの、紫色単色・黄色のものなどがある


筋萎縮性側索硬化症(ALS)の診断の迅速化に成功

2019-11-12 | 医学
 京都府立医科大の研究チームは、神経細胞が死に、全身の筋力が弱っていく難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の脳脊髄液から2種類のたんぱく質を測定することに成功し、正確で迅速にALSと診断できたと発表した(11月11日)。
 ALSは、経験ある専門医でないと診断が難しく、確定に時間がかかる。これまでにTDP-43やNfLといったたんぱく質の濃度で診断できると指摘されていたが、測定が難しかった。
 研究チームは、微量のたんぱく質を測定できる技術を活用。ALS患者とALSに似た障害の患者など2集団計150人で、髄液中のTDP-43とNfLの濃度を測定し、比較した。
 その結果、ALS患者はこの2つの濃度が上昇し、両方の指標を組み合わせることで非常に高い精度でALSと診断できたという。チームは今後、数百人規模の患者で有用性を検証する考え。
 ◆筋萎縮性側索硬化症(ALS)
 ALSは、脳からの指令を筋肉に伝える運動神経が何らかの原因で損なわれる病気である。
 運動神経が損なわれると脳からの指令が伝わらなくなるので、思い通りの動作が次第にできなくなり、筋肉がやせ細っていく。ただし、筋肉そのものが損なわれるわけではなく、あくまで運動神経が損なわれる結果として筋肉が弱る。ALSの特徴は、症状が進行性であり、症状の発生部位が全身に広がる点である。
 発症原因
 ALSの発症には、さまざまな原因が考えられているが、未だ結論は出ていない。
 しかし、遺伝子異常、酸化ストレスやグルタミン酸過剰による神経障害といった原因説が提唱され、遺伝子研究をはじめとする基礎研究、そして治療薬の開発が目覚ましい進展を見せている。
 日本でのALS患者数は約1万人と推定されている。多くの患者が50~70歳代で発症し、性別では男性のほうがやや多くなっている。因みに、ALSは、発症してから医師の診察を受けALSだと診断されるまでに、日本では平均13.1ヵ月かかっている。

 天気は曇り、ときどき晴れ。風がとても強い、体感気温で5℃ほど下がったかな。
 散歩で道沿いの塀際で”シャリンバイ”の果実を見つけた。果実が沢山付いており、時期はずれの花が咲いている。果実は、もう少し熟したら小鳥達に食べられてなくなってしまう。
 名(シャリンバイ:車輪梅)の由来は、枝が車輪軸から放射状に出る様子と、白い5弁の花が梅に似ているから。別名は花木斛(はなもっこく)、モッコク(木斛、ツバキ科の常緑高木)に似ていて花がきれいなもの、から。
 シャリンバイ(車輪梅)
 別名:花木斛(はなもっこく)
 学名:Rhaphiolepis umbellata
 バラ科シャリンバイ属
 常緑低木
 葉は厚く艶がある深緑色で楕円形、枝先に集まる
 開花時期は5月~6月
 枝先に沢山の白い花を付ける、花は五弁花
 果実は径1cm位の球形、秋から冬にかけて熟す黒紫色の液果
  車輪梅は大島紬(奄美大島の特産品)の染色に利用される。樹皮はタンニンが多く、これを煮出した汁と鉄分の多い泥土につけて発色させる。


幻の「右ヒラメ」八戸沖で発見

2019-11-11 | ニュース
 地元の新聞を見ていたら、幻の「右ヒラメ」八戸沖で発見、のニュース。
 面白そうなので、記事を紹介。(デーリー東北新聞から)
 左ヒラメに右カレイ。
 姿が似ているヒラメとカレイを見分ける方法として、腹部を下にして、目が左側ならヒラメ、右側ならカレイを意味する言葉。八戸市小中野6丁目の佐藤文彦さんが、八戸沖で体長38センチの「右ヒラメ」を釣り上げた。カレイは種類によって目が左を向いているものもあるが、右側を向いているヒラメは珍しいという。
 佐藤さんは8日、自身の遊漁船「EDIVAーsea」に乗って1人で出船。ヒラメを18匹釣り上げて帰宅した。小ぶりな魚は自身の食用にしようと選別していた時、「右ヒラメ」に気付いて驚いた。

 今日の天気は曇り~小雨。気温は低く、最高気温14℃、最低気温7℃。外出には上着が欲しい。
 近の散歩で、畑の”ラッキョウ”を見つけた。幾つかの”ラッキョウ”には花が咲き残っている。
 紫色を帯びた白色の鱗茎を食用とする。特有の強い匂いと辛味がある。因みに、この匂いはニンニクやニラと同じアリル硫化物である。
 主に塩漬け、甘酢漬け、醤油漬けで食べる。カレーライスのつけあわせ(薬味)として、福神漬とならぶポピュラーな存在である。
 花は、10月頃に、花茎(かけい)を出して、紫色の小花を散形花序につける。夏から秋に、鱗茎(りんけい)を植えつけると、翌年春に葉が出て、新しい鱗茎(りんけい)が増える。
 名(ラッキョウ)の由来には、鱗茎の味は辛いから、「辛辣(しんらつ)な味のニラ」という意味で、辣韭(らっきょう)。唐音から転訛(てんか)して、”ラッキョウ”となったとの説がある。
 ラッキョウ(辣韮、薤、辣韭)
 別名:大韮(おおにら)
 学名:Allium chinense
 ユリ科ネギ属
 原産地は中国~ヒマラヤ地方とされている
 日本に渡来した時期は不明
  延喜式(えんぎしき、927年)には、天薬寮(てんやくりょう)の元日御薬(がんじつおんくすり)の中に、薤白(がいはく)が載っている。当時から、”ラッキョウ”を薬用に用いていた。
 開花時期:10月~11月


賀茂神社の紅葉

2019-11-09 | まち歩き
 今日の天気は曇り、時々晴れ。風は無風状態。最高気温は15℃、最低気温は5℃、この時期の平年並みかな。
 そろそろ、賀茂神社(仙台市)の紅葉が見事かな、と思って出かけた。紅葉が進んでいるが、マダマダだ・・10日程早かったかな。
 賀茂神社は、京都の本社と同じく下賀茂と上賀茂の二社から成る。境内には、樹齢数百年と言われる”イロハモミジ”や”タラヨウ””アラカシ”などの巨木・古木がある。
 ◇賀茂神社
 「杜の都・緑の名所100選・紅葉の名所 」に選ばれている。
 所在地:宮城県仙台市泉区古内字糺(ただす)1
 賀茂神社には、上賀茂神社・下賀茂神社 がある
     (両神社本殿は宮城県指定有形文化財)
 主祭神
   下賀茂神社:鴨建角身命・多々須玉依姫
   上賀茂神社:別雷命
 境内に樹齢数百年と言われる樹木がある
  宮城県指定天然記念物:イロハモミジ 2本
             タラヨウ 1本
  仙台市指定天然記念物:アラカシ 2本


 境内近くに、農家の柿木があり、柿がたわわに実っている。


1滴の血液でアルツハイマー病を早期診断、診断マーカーを発見

2019-11-08 | 科学・技術
 名古屋市立大学大学院医学研究科の道川誠教授ら同大学の研究メンバーのほか、大分大学医学部の松原悦朗教授や愛知県にある福祉村病院の橋詰良夫愛知医科大学名誉教授らも加わった、名古屋市立大学の研究グループが、「わずか1滴足らずの血液からアルツハイマー病の早期診断ができる可能性がある診断マーカーを発見した」と11月5日発表した。脳内細胞から出るタンパク質に着目した研究成果で、論文は米医学専門誌に掲載された。
 アルツハイマー病は認知症の半数以上を占める神経変性疾患で、決定的な治療法はまだない。高齢の認知症患者は国内で500万人以上いるとされ、今後さらに増加するのは確実とみられている。約40個のアミノ酸からなる「アミロイドベータ(Aβ)」という物質が脳内に凝集・蓄積し、これが原因となって発症するとされている。
 研究グループによると、発症の20年以上前からAβが脳内に凝集した老人斑の形成が進み、発症時には脳内に老人斑が広く存在することが明らかになっているが、発症してしまうと治療効果は限定的になる。このため発症前の早期診断が望まれており、米国国立老化研究所(NIA)などは「発症前アルツハイマー病(Preclinical AD)」を提唱している。国内でも陽電子放射断層撮影装置(PET)や、脳脊髄液を検査する方法などにより、Aβの蓄積状態を調べる試みがなされている。しかし費用が高いことや患者の負担が大きいことなどの課題があった。
 道川教授らは、脳の細胞から分泌される「フロチリン」と呼ばれるタンパク質に着目。健常者とアルツハイマー病患者、発症の前段階である軽度認知症の人、それぞれのグループの血液に含まれるフロチリン濃度を調べた。その結果、アルツハイマー病患者のグループは健常者のグループよりフロチリン濃度が平均して顕著に低かった。患者の認知機能障害のレベルはフロチリン濃度と相関関係がみられた。
 またPET検査によりAβの蓄積が確認された軽度認知症の人のフロチリン濃度も患者ほどではないものの、グループ平均で有意に低かった。しかし軽度認知症でもAβの蓄積がない人はほとんど低下していなかった。これらの人はアルツハイマー型ではない認知症とみられるという。
 研究グループは、フロチリンは血液1滴にも満たない量でも検出可能で、フロチリンを目印にした診断マーカーにより、簡便、安全、安価なアルツハイマー病の早期診断が可能になるとしている。
 ◆アルツハイマー病を早期に発見する方法
 現在、アルツハイマー病を早期に発見する方法には、髄液検査や、陽電子放射断層撮影(PET)画像を用いる方法がある。、髄液検査は患者の身体への負担が大きい。PET診断も機器と試薬が高価で実施できる施設も限られている。血液マーカーを使った研究は他にもあるが、フロチリンに着目したのは初めてで、「簡便で費用も安価」という。
 アルツハイマー病患者のフロチリンの濃度は、健常者より有意に低い。発症の前段階である軽度認知症の人でも、Aβが沈着していない人は有意な低下がみられないが、沈着している人は濃度が低下している。

 今日(11月8日)は立冬。秋分と冬至の中間で、昼夜の長短を基準に季節を区分する場合、この日から立春の前日までが冬となる。『暦便覧』では、「冬の気立ち始めて、いよいよ冷ゆれば也」と説明している。言い換えれば秋の極みともいえ、実際、多くの地域ではまだ秋らしい気配で紅葉の見時はまだ。
 郊外での散歩で、”マユミ”の赤い殻が沢山付いている・・見つけた。。殻の中の赤い実(種子)は、まだ割れてないので見えない。
 名(マユミ:真弓)の由来は、材質が白くて緻密・良く撓るので、この木を材料として弓を作ったから。こけしや将棋の駒も作る。因みに、果実は有毒(吐き気や下痢など)なので食べない。
 マユミ(真弓、檀)
 別名:山錦木(やまにしきぎ)、川隈葛(かわくまつづら)
 学名:Euonymus sieboldianus
 ニシキギ科ニシキギ属
 雌雄異株と言われる(不完全雌雄異株?)
  雌株のみでも果実は付く
 落葉小高木(樹高は3m~10m)
 原生地は日本、朝鮮半島、中国
 開花時期は5~6月
 花は淡緑色の小さな(径1cm位)4弁花
 果実は枝にぶら下がるようにして付く。10月~11月に熟す。
 果実の色は品種により白、薄紅、濃紅と異なるが、どれも熟すと果皮が4つに割れ、鮮烈な赤い種子が4つ現れる。この様子がとても可愛い。


入歯の手入れを毎日しないと過去1年間の肺炎のリスクが1.3倍高い

2019-11-07 | 健康・病気
 令和元年10月28日東北大学大学院歯学研究科の発表。
 研究の背景
 肺炎は高齢者において死因の上位を占めている。嚥下機能及び免疫機能が低下する高齢者では、飲食物や唾液などが肺に入ることによる「誤嚥性肺炎」を発症するリスクが高く、誤嚥時に口腔内の微生物も一緒に肺に到達することにより、肺炎が発症すると考えられている。そのため入院患者や介護施設入所者に対して「口腔ケア」を実施することで、肺炎を予防できることが報告されてきた。しかしながら、誤嚥による肺炎発症のリスクは地域在住高齢者でも高く、口腔内を清潔に保つことは地域在住高齢者においても誤嚥性肺炎の予防につながると考えられる。
 高齢者では歯の喪失に伴い、入れ歯(義歯)を装着している者が多く、義歯の表面には「デンチャー・プラーク」と呼ばれる細菌などからなる有機物が付着しており、それらが誤嚥により肺に到達し、肺炎を引き起こす可能性がある。
 対象と方法
 2016年に実施されたJAGES(Japan Gerontological Evaluation Study; 日本老年学的研究)調査に参加した要介護認定を受けていない65歳以上の高齢者の内、義歯を使用している71,227人を対象に義歯の清掃頻度と過去1年間の肺炎発症の有無の関連を横断研究で調べた。義歯の清掃頻度は「毎日入れ歯の手入れをしていますか?」という質問に「はい」または「いいえ」で答えてもらった。分析に際して、無回答の項目を統計学的に補完した上で、交絡因子として性別、年齢、喫煙歴、等価所得、教育歴、現在歯数、ADL、脳梗塞・認知症の既往、肺炎球菌ワクチンの接種を用いて傾向スコアを算出し、逆確率による重みづけを用いたロジスティック回帰分析を行い、仮想的に対象集団の背景因子を同じにしたときに義歯を毎日清掃する人としない人で肺炎発症のリスクが異なるかを評価した。
 研究のポイント
 〇口腔ケアが誤嚥性肺炎の予防に有効であることは、入院患者及び介護施設入所者を対象に多くの研究で明らかにされている。しかし、地域在住高齢者においても口腔衛生状態を保つことが誤嚥性肺炎予防につながるかは明らかにされていなかった。
 〇本研究から要介護状態にない地域在住の高齢者においても、入れ歯の手入れを毎日はしない人は毎日手入れをする人に比べて、過去1年間に肺炎を発症した人が1.3倍多いことが明らかとなった。
 結果
 対象者71,227人のうち、過去1年間に肺炎を発症したと答えた人は2.3%、義歯を毎日は清掃しない人は4.6%であった。また、義歯を毎日清掃する人では過去1年間に肺炎を発症した人は2.3%であった一方、毎日は清掃しない人では3.0%であった。さらに75歳以上の人に限ると義歯を毎日清掃する人では過去1年間に肺炎を発症した人は2.9%であった一方、毎日は清掃しない人では4.3%と肺炎発症のリスクが高くなった。また、傾向スコアを用いた統計解析により、65歳以上の全対象者では義歯を毎日は清掃しないことにより、リスクが1.30(95%信頼区間:1.01-1.68)倍高く、また、75歳以上の人に限ると1.58(95%信頼区間:1.15-2.17)倍高くなることが示された。
 いればの清掃頻度と過去1年間の排煙発症との関連(N=71,227)
  毎日いればの手入れをする 1.0
  毎日はいればの手入れをしない 1.30(65歳以上全対象者)
  毎日はいればの手入れをしない 1.58(75歳以上のみ)
 本研究の意義
 現在、誤嚥性肺炎予防のための口腔ケアは入院患者や介護施設入所者などリスクの高い人に対して行われている。しかしながら、高齢者の大部分を占めている地域在住の高齢者においても誤嚥性肺炎発症のリスクはある。今回の研究で示された義歯の清掃を含め、地域在住高齢者の口腔衛生状態も清潔に保っていくことが、日本人全体の誤嚥性肺炎の発症を減らしていくことにつながると考えられる。
 要介護状態にない人でも、入れ歯を使っている人は、手入れを毎日行うことが肺炎の予防につながる可能性がある。また定期的に歯科医院で、義歯の状態のチェックや、家庭でとれない歯石などの入れ歯汚れを除去してもらうことも大切だと言える。

 街に出かけた。
 街路樹の”イチョウ”を見る。黄葉し始め、樹の周辺に黄葉が散り始めている。もう少し秋が深まると、黄葉が散り、道路が黄色の絨毯となる・・綺麗だ。”イチョウ”の実も落ち始める・・”イチョウ”は雌雄異株、実は雌株にのみになる。
 因みに、”イチョウ”は「生きている化石」植物の一つである。イチョウ類は、約3億年前(古生代後期)に出現し、中生代に最も繁栄した。
 イチョウ(銀杏、公孫樹、鴨脚樹)
 イチョウ科イチョウ属
  裸子植物門イチョウ綱の中で唯一の現存している種
 落葉高木
  広葉樹にも針葉樹にも属さない
 雌雄異株 実は雌株にのみになる
 中国原産、鎌倉時代の渡来説が有力
 開花時期は4月~5月
  花粉は風で運ばれる(風媒花)。結実は9月~10月


定義さんに出かけた

2019-11-06 | まち歩き
 今日は朝から晴れた良い天気。風も穏やか。連休が終わった平日・・定義(じょうげorじょうぎ)さん出かけた。
 ◇定義さん
 一般に当寺は「定義如来」や「定義山」、あるいは親しみを込めて「定義さん」と呼ばれる。
 正式名称は西方寺(さいほうじ)。宮城県仙台市青葉区大倉字上下(じょうげ)にある浄土宗の寺院。山号は極楽山。本尊は阿弥陀如来画像軸。観蓮社良念により開基された。
 当寺には、平重盛の重臣である肥後守・平貞能(たいらのさだよし)が、壇ノ浦の戦い後に当地に隠れ住んだとされる平家落人伝説が残る。貞能が安徳天皇と平氏一門の冥福を祈って阿弥陀如来を安置し、また改名して「定義」(さだよし)と名乗った。この「定義」を「じょうぎ」と音読みして、当地では阿弥陀如来を定義如来と称し、当地もまた「定義(じょうげ)」「上下(じょうげ)」と呼ばれるようになった。
 出発は仙台駅。バスで定義山に向かう。
 駅から北西方向の八幡神社を通り、大倉ダム湖、定義山へ。


 定義とうふ店 「三角定義あぶら揚げ」が美味しい、名物となっている。


 定義山の駐車場は紅葉が進んでいる。周辺の山々も紅葉が進んでいる。



 昭和2年頃の定義如来

心筋梗塞の細胞壊死抑制、治療薬候補を発見

2019-11-04 | 医学
 京都大の研究グループが、「心筋梗塞に伴って生じる細胞の壊死(えし)を抑える治療薬候補を見つけた」と発表した(10月29日)。梗塞の範囲を抑えることで、亡くなったり心不全になったりするリスクを抑えられる可能性がある。
 心筋梗塞は心臓に血液を送る冠動脈がふさがることによって生じる病気で、国内では年間約7万5千人の患者がいるという。通常、ふさがった部分に金属製の器具「ステント」を置き、血流を再開させる。しかし血流再開に伴って、心筋に新たな壊死が生じることが問題となっていた。
 医学研究科の尾野亘准教授や生命科学研究科の垣塚彰教授らは、「VCP」と呼ぶたんぱく質が「ATP(アデノシン三リン酸)」を大量消費するのをKUS121が抑えることに着目した。開発した化合物「KUS剤」の効果を動物実験で確認した。心筋梗塞のモデルマウスに「KUS剤」を投与すると、非投与に比べて梗塞のサイズは減少した。ラットの心筋細胞で調べると、細胞のエネルギー源「ATP」の量が維持され、細胞死を抑制していた。ヒトに近い大きさの心臓を持つブタの実験でも、投与した場合はしない時に比べて梗塞範囲が半分になった。
 尾野准教授は「KUS剤」が強力な治療効果を持つ可能性がある。今後、実用化に向けて研究を続けていきたい」と話す。
 ◆心筋梗塞は心筋が壊死する病気
 心筋梗塞は日本人の死亡原因の第二位にあげられている病気である。60代の男性に圧倒的に多く、突然激しい胸の痛みに襲われ、「火箸で刺されたような痛み」「えぐられるような痛み」と表現する人もいるほどの苦しみを伴う。突然死の原因にもあげられる恐ろしい病気といわれる。
 心筋梗塞とは心臓(心筋)が酸素不足になり壊死する病気である。心筋を取り巻いている冠動脈は心臓に血液と酸素を送っている。これが動脈硬化で硬くなりコレステロールなどが沈着すると血液の通り道が塞がれ、心筋に血液を送ることができない。そのため心筋は酸素不足となり、心筋細胞が壊死を起こしてしまう。これが心筋梗塞である。
 原因は動脈硬化。冠動脈の壁にコレステロールなどが沈着すると、こぶのように盛り上がった粥腫(じゅくしゅ)ができる。薄い膜で覆われている粥腫はれやすく、傷つくとその回りに血栓ができ、傷口を塞ぎ血流を悪くする。さらに血栓が大きくなると冠動脈を塞いでしまい血液を堰き止めてしまう。そのため酸素不足となった心筋細胞が壊死を起こす。狭心症から心筋梗塞に移行することがある。心筋梗梗塞の発作を起こす3~4週間前に狭心症の発作を起こしていた人も多いという。

 今日の天気は曇り~晴れ。
 早朝の散歩で、今年も見えた、丘陵地にある住宅地の道での”マメガキ(豆柿)”。道肩の下が3m程低くなっているので木の中頃が目の高さとなっている。ほとんど落葉したが、まだ葉が少し残っている。果実が沢山付いている。熟している様に見えるが、まだ渋い・・そんなには甘くなかった。
 昔は”マメガキ(豆柿)”の未熟果で柿渋を採取したと言う・・今は柿渋を使わない。信濃柿(しなのがき)の別名があるが、柿渋を採るために信濃国(現在の長野県)で多く栽培されたからと言う。
 マメガキ(豆柿)
 別名:信濃柿(しなのがき)、葡萄柿(ぶどうがき)
 英名:date plum デーツとプラムを合わせたような味がすることに由来
 学名:Diospyros lotus
 カキノキ科カキノキ属
 落葉小高木
 雌雄異株
 (ヤマガキの改良で出来た食用の柿は雌雄同株)
 東北アジア原産、古くに中国から渡来
 開花期は6月
 花は長さ約5mmの釣鐘形、上が4裂して反り返る、花色は淡黄白色
 果実は径1.5cm位の液果で、熟すと黄色(柿色)から黒紫色となる


町内のコミセン祭り

2019-11-03 | まち歩き
 今日は11月3日。文化の日(National Culture Day)である。
 文化の日は、1946(昭和21)年のこの日、平和と文化を重視した日本国憲法が公布されたことを記念して、1948(昭和23)年公布・制定の祝日法で「自由と平和を愛し、文化をすすめる」国民の祝日に定められた。戦前は、明治天皇の誕生日であることから、「明治節」という祝日だった。
 町内の”コミセン祭り”の開催日でもある。コミセン(コミュニティセンター)で、売店出店、ホールで華道や民芸品などを展示、大広間では演芸が開演される。福祉バザーもある。
 朝から快晴、無風なので、売店・ホールは大賑わい。
 町内の方々の力作、子供たちの絵画、秋らしいお花の展示などがあった。


溶剤を用いずに剥がせる塗料材の開発、ジェルネイルなどへの応用に期待

2019-11-02 | 科学・技術
 産業技術総合研究所機能化学研究部門スマート材料グループ山本貴広主任研究員は、株式会社TATと共同で、溶剤を用いずに剥がせる塗料材の作製技術を開発した(10月28日発表)。
 ポイント
 〇塗料材に液晶成分を混合することで、光で密着性を制御できる技術を開発
 〇近紫外光を当てると液晶成分の構造が変化して塗料材の密着性が大きく低下
 〇溶剤を用いずに剥がせるペンキやコーティング剤のほか、ジェルネイルなどへの応用に期待
 開発の社会的背景
 ジェルネイルは、爪を美しく装飾するだけでなく、労働生産性やQOLを向上する効果が期待されており、老若男女を問わず多くの人々に親しまれている。また近年では、スポーツ選手の爪を保護することによりパフォーマンス向上に繋げる試み(アスリートネイル)も行われるなど、ジェルネイルの利用と効果は、今後ますます拡大すると予測される。ジェルネイルは、液状の光重合性組成物を爪に塗布し、光照射により重合・硬化させて塗膜を形成して、爪に強固に密着させる。そのため、2~3週間は装飾された状態を維持できるが、剥がす際には、有機溶剤を大量に使用する必要があり、ジェルネイル利用者とネイリストの健康と安全に対する影響が懸念されていた。そのため有機溶剤を極力使用せずにジェルネイルを除去できる技術の開発が望まれており、これまでに酸性水溶液やアルカリ性水溶液などを用いる方法が提案されているが、現在のところ実用には至っていない。
 研究の内容
 従来の樹脂と液晶の混合物は柔らかく、ジェルネイルに用いるには硬さが足りなかった(硬さの指標である貯蔵弾性率が、約104 Pa)。そこで今回、光重合性組成物を含む樹脂原料を用いて、光による重合・硬化(光硬化)の際に架橋構造を導入することで、硬さの向上を試みた。樹脂原料と液晶の混合物を可視光(波長 = 405 nm、照射時間 = 3分)の照射で光硬化すると貯蔵弾性率は、これまでの千倍(107 Pa)程度まで向上させることができた。
 次に、混合物の無色化に取り組んだ。従来の樹脂と液晶の混合物は、液晶成分としてアゾベンゼン系化合物を含有しているため橙色に着色していた。ジェルネイルに応用する場合、別途さまざまな色に着色できるように、無色透明であることが望まれる。そこで、アゾベンゼン系とは異なる化合物を用いた新しい液晶成分を開発し、材料の無色化を進めた。
 光学特性と熱物性を指標に、数十種類の液晶成分を検討した結果、無色透明の混合物を得ることに成功した。この混合物に近紫外光(波長 = 365 nm、照射時間 = 10分)を照射すると、液晶成分の凝集構造が変化し、樹脂と相分離して白濁化することを確認した。この状態になると、基材(アルミ)に対する混合物の密着性が、照射前の10分の1まで低下した。なお、密着性は、混合物の弾性率測定の際に、混合物に加えるずり応力を大きくしていき、均一混合の混合物がアルミ製測定治具から外れるときのずり応力から推算した密着性を100とした相対値で評価した。
 今回の技術により、溶剤を用いずにジェルネイルを簡便に剥がせる新しいプロセスが想定される。まず、今回開発した混合物を基材とするジェルを爪に塗布する。そして、現在の施術と同様に可視光(波長 = 405 nm)を照射して光硬化させる。ジェルネイルを剥がす際は、近紫外光(波長 = 365 nm)を照射して相分離を誘起し、ジェルネイルと爪の密着性を低下させて剥がす。なお、これらの可視光と近紫外光は、既にジェルネイルの施術で広く使用されており、既存のライトを使用できる。今後、今回の技術の進展によって、溶剤を全く使用しない施術が可能となり、ジェルネイル利用者とネイリストの健康と安全の向上が大きく期待できる。
 今後の予定
 今後は、材料メーカーとの連携を進め、数年以内の実用化を目指す。
 ◆用語の説明
 〇アクリル樹脂、ウレタン樹脂
 アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体をアクリル樹脂と呼び、ウレタン結合をもつ重合体を総称してウレタン樹脂と呼ぶ。アクリル樹脂は透明性に優れ、ウレタン樹脂は耐摩耗性に優れており、さまざまなプラスチック製品の原料として使用されるほか、接着剤や塗料の成分としても使用される。
 〇液晶
 液晶は、狭義には、細長い棒、あるいは平たい円板のような形を持った分子が、重心の秩序性は無く、配向に秩序性を持って凝集することにより発現する状態であり、屈折率などの物性に異方性が生じる。また広義には、液晶状態を示す化合物を指す。これまで、薄型のテレビやディスプレイの表示材料として利用されてきたが、近年、液晶の特性を活かした新しい産業応用を目指した研究が進められている。
 〇相分離
 2種以上の物質の相溶性(分離せずに混ざり合う性質のこと)が温度や圧力などによって低下し、各成分が均一に混合している1相の相溶状態から、各成分に分離する現象。
 〇QOL
 Quality of Lifeの頭文字を取った言葉。生活の質と訳され、肉体的、精神的、社会的、経済的、全てを含めた生活の質を意味する。医療や介護、教育などさまざまな分野で注目・活用され、どれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているかということを尺度として捉える概念。
 〇アスリートネイル
 一般社団法人アスリートネイル協会( https://www.athlete-nail.com/)が推進する、アスリートのけが予防や競技力向上を目的として行う、爪をケア・メンテナンスする施術。
 〇光重合性組成物
 光の照射によって重合反応(高分子化)が進行する低分子化合物を含む組成物。
 〇貯蔵弾性率
 物質の粘弾性を記述する物理量の1つで、外力とひずみによって、物質に生じたエネルギーのうち物体の内部に保存(貯蔵)される成分であり、硬さの1つの指標となる。
 〇アゾベンゼン系化合物
 光異性化反応を起こす代表的な化合物。2つの窒素原子間の二重結合に対して、2つのベンゼン環が結合した構造を含む化合物。

 今日も晴れ。雲が少なく、風も弱い。天候が穏やかだと朝の散歩は快適だ。
 近所のお家の軒下に”ツワブキ”が植えられており、花が咲いている。数少ない秋~冬にかけて花を咲かせる草花に、”ツワブキ”がある。キク科の花なので、菊様の黄色い一重の頭花である。葉は大きくて形はフキ(蕗)に似ており、葉色はとても艶々(つやつや)している。名(ツワブキ)の由来は、このツヤ(艶)のあるフキ(蕗)の様な葉からツヤバブキ(艶葉蕗)→ツヤブキ→ツワブキとなった。葉に厚みがあるので「厚葉蕗」→ツワブキとなった説もある。最古の園芸書「花壇綱目」(水野元勝の著書、1681年刊)に庭植えが載っている。
 葉が大きくて艶があり、観葉植物となっている。が、”ツワブキ”の花も良い。葉には、斑(黄斑)が入っているものや、白斑葉、縮葉などもある。
 因みに、葉や根茎に強い抗菌作用がある成分(ヘキセナール)を含んでいるので、湿疹・切り傷・火傷などに効果がある(葉を火で炙り、刻んで用いる)と言う。他に、早春の若葉はお浸しで美味しい、とか。
 ツワブキ(石蕗、艶蕗)
 学名:Farfugium japonicum
 キク科ツワブキ属
 常緑多年草(宿根草)
 開花時期は10月~12月
  (初冬の季語になってる)
 花は菊様で、花色は鮮やかな黄色
 花が終わるとタンポポに似た種ができる


人工血液による救命に動物実験で成功

2019-11-01 | 科学・技術
 早稲田大学、防衛医科大学、奈良県立医科大学の共同研究チームは、人工血液を用いて、大量に出血させたウサギの救命に成功した。研究チームの木下学・防衛医大准教授は「離島など十分に血液を準備できない地域もある。人工血液でこれまで救えなかった命を救える」と話している。尚、論文は輸血学雑誌Transfusionに2019年7月1日付(現地時間)でオンライン掲載された。
 血液に含まれる傷口をふさぐ血小板と体細胞に酸素を運ぶ赤血球の二つが出血で失われると死に至る。保存期間は血小板が固まらないよう揺り動かして4日間、赤血球は低温で20日間ほどで、血液型ごとに大量に準備する必要がある。輸血には患者の血液型を調べる必要があり、救急救命士などは輸血できない。
 人工血液
 研究チームが使用したのは、酸素運搬ナノ粒子(人工赤血球)と止血ナノ粒子(人工血小板)と呼ばれるもの。共に、ナノサイズ(1nmは1mmの100万分の1)のカプセルで、リン脂質という私達の細胞膜と同じ材料でできている。
 研究チームはこのカプセルのなかにヒトヘモグロビンとアデノシン2リン酸を入れた。ヒトヘモグロビンを詰め込んだものが酸素運搬ナノ粒子で、アデノシン2リン酸を詰め込んだものが止血ナノ粒子である。この酸素運搬ナノ粒子には赤血球と同等の酸素運搬能力があるという。また、止血ナノ粒子は、それ自体が傷口に集まって止血すると共に、アデノシン2リン酸の働きによって血小板による止血を促進する働きもある。酸素運搬ナノ粒子の開発は奈良県立医科大学が中心になり、止血ナノ粒子の開発は早稲田大学が中心になった。
 実験内容
 研究チームは、血小板を少なくして出血を止まらなくしたウサギの肝臓を傷つけて大量に出血させた後に、上記の人工血液を輸血した。その結果、10羽中6羽の救命に成功した。ちなみに通常の輸血の場合には10羽中7羽が救命された。ただし、特に処置を施さなかった場合には1羽も救命されなかった。人工血液の輸血によって通常の輸血と同等の救命効果が得られたと研究チームでは考えている。
 輸血用の血液の保存は非常に難しい。赤血球だと最適な温度(2~6度)で保存しても20日程度しかもたない。血小板に至っては、最適な温度(20度~24度)で激しい振動を加えながら保存しても4日程度しかもたない。そのため交通事故等で緊急に大量の輸血用の血液が必要な場合には、赤血球、特に血小板が、不足しがちだ。
 しかし、酸素運搬ナノ粒子は常温にて1年以上保存可能で、しかも、血液型を問わずに輸血できる。また、止血ナノ粒子も常温で1年間保存できる。研究チームでは、交通事故等で緊急に大量の輸血が必要な場合等に、輸血用の血液の不足を人工血液によって補うことで、救命率の向上につなげることができるのではないかと期待している。

 今日の天気は晴れ~曇り。
 畑に植えた色々な菊、咲き始めた。先頭に咲き出したのは、”フウシャギク(風車菊)”。筒状花の先がスプーンの形で、頭花が風車の様な姿の、スプレー菊である。スプレー(Spray:小枝状)菊とは、主茎から数本以上の側枝が伸びて円錐形の草姿で、沢山の頭花が咲くのが特徴である。
 ”フウシャギク”は園芸種である。アメリカで1940年代に作出され、日本に1970年代に導入された。中国の2種の菊(チョウセンノギク、ハイシマカンギク)の交雑によって作られたと言う。
 因みに、”風車菊”の花言葉は、「清浄」・「高潔」・「おぼろげな思い出」。菊は10月27日の誕生花である。
 フウシャギク(風車菊)
 学名:Dendranthemaxgrandiflorum cv.[spray mum]
 キク科キク属(デンドランセマ属)
 耐寒性宿根草
 開花時期は10月~11月
 花色は白・赤・ピンク・紫・黄色など