札幌を拠点に海外での活躍もめざましい写真家、吉田肇さんが企画し、札幌市民プラザで開く予定だったグループ展が、新型コロナウイルスの感染拡大で会場が休館してしまったため、インターネット上に場を移して開催中の展覧会。
北海道新聞5月14日夕刊「展覧会」欄によれば、札幌11人、道外2人、国外4組の計17組が参加しているとあるが、筆者の目には18組に見える。
エロカンスは「力強さ」「人に訴える力」とい . . . 本文を読む
(承前)
※新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、3月中は臨時休業とし、4月に再開する予定です
なんだか人を食ったようなタイトルがついているが、日本を代表する写真家のひとりで、北海道のアートファンにもなじみの深い森山大道氏の個展。
「北海道」シリーズなどで、美術館では何度も個展やグループ展が開かれている大道さんだが、一般のギャラリーで、作品の販売も行う個展は非常に珍しく、初めてではないかと . . . 本文を読む
(承前)
写真グループ展「ぽんち展」については、昨年までにだいたい書き尽くしているような気がします。
ネイチャーでも人物でもない、スナップ中心の写真展です。それはそれで貴重な存在です。
ただ「撮影OK」の貼り紙が登場したのは、今回で初めてではないでしょうか。
どういういきさつで結成されたのかは聞いていません。藤女子大写真部に在籍していたり、小樽・鉄路・写真展に出品していたりしたメン . . . 本文を読む
(承前)
あと、この時期に東川で見た写真をいくつかまとめて紹介。
「写真と冒険」の野外展の作家が2人残っている。
べつに女性だから簡単に済ませようとか、そういうつもりではありません。
まず、町郷土館の前に展示してあったのが、第33回新人作家賞の野村佐紀子。
東川の写真フェスティバルに行ったことのある人なら記憶にあるだろうが、昔の役場を、郷土資料の展示に用いている。すてきな建 . . . 本文を読む
(承前)
屋外写真展「写真と冒険」もこれで四つめの記事だし、のこる3人はいずれも「新人賞」受賞作家ということもあって、かけ足で。
石塚元太良さんは第30回東川賞新人作家賞の受賞者。
不勉強で知らなかったが、氷河や氷山がおもなモティーフらしい。
役場庁舎の壁にドーンと貼ってあるのは、すごい迫力である。
みもふたもない感想になってしまうが、筆者が東川に行ったときは真夏日でと . . . 本文を読む
(承前)
6人の中で、心に残ったのが、中藤毅彦さんだった。
なぜ印象的だったのかをきちっと説明するのは、とても難しいが。
多くは、東京とおぼしき街のスナップ。
コントラストの強いモノクロのスナップといえばつい森山大道氏を思い出してしまうが、よく見るとやはりぜんぜん違う。
とりわけ冒頭の作品は、単に「チャップリンの独裁者」の映画ポスターが壁に破れかけて貼られているというだけなのだが . . . 本文を読む
(承前)
今回の東川賞歴代受賞作家写真展に作品が展示されている6人のうち美術畑の人にもよく知られているのは佐藤時啓 さ とうときひろさんだろう。
東川賞は第6回の新人作家賞と第31回国内作家賞を受けており、東川にも審査員などで何度も訪れている。
また「光ー呼吸」と題された長時間露光のシリーズの多くが夕張で撮られていたり、札幌大谷短大で特別講義をしたり、なにかと北海道には縁が深い。
札幌 . . . 本文を読む
はじめにことわっておくと、これは写真をじっくり鑑賞する展覧会ではない。
歴代の東川賞受賞作家150人のうち6人の作品を、巨大にプリントして、東川町の中心部に展示したものを、訪ね歩き回って見るというものだ。
しかも、6人の作品がどこにあるかは、公式サイトを見ても、町文化ギャラリーなどに置かれている冊子「写真の町通信」を見ても、文字でしか書かれていない。筆者は役場内の掲示板に貼られている略 . . . 本文を読む
帯広の学校で教壇に立つかたわら、写真を本格的に習得するため美大の通信制に学んだ臼井さんの個展。
会場は大きくふたつのセクションに分かれていて、前半は「MONBETSU 45」というピンホールカメラとフィルムで撮影したスナップのシリーズ「what to configure.」の18点、後半は銀塩プリントに絵の具を塗って仕上げる「雑巾がけ技法」による「さよならはるのひかり」と題した15点。
ピ . . . 本文を読む
北海道新聞社と北海道写真協会(道写協)の主催で毎年、全道各地を巡回して開かれている公募展。
札幌では、道新1階の2会場を使い、翌週の23日(木)~28日(火)に「審査会員・会友作品展」が開かれる。
応募部門は時代とともに少しずつ変わっているが、近年は
「第1部=自由。第2部=観光・産業。第3部=ネイチャーフォト。第4部= . . . 本文を読む
良い写真って、なんだろう。
世の中にはプロの写真家が大勢いて、顧客の要望に応じた写真を提供している。
そこでは、適正な露出と構図が評価され、どういう写真が良い写真なのかは疑問の余地があまりない。
しかし世の中には、誰のためでもなく、自分のために、自分自身を写すという人もいる。
そういう世界では既存のものさしが有効だろうか。
猪子さんは2016年にライカを手に入れ、自宅に引き伸ば . . . 本文を読む
会場の入り口に、次のようなテキストが貼ってあった。
誰が書いたのかは、聞き漏らした。
いま札幌で、いわゆる「写真」ではなく、「写真を使った表現」に最も精力的に取り組んでいるふたりの展覧会。
神成かんなりさんはカラー11点。
もともと、道内の各地にレンズを向けながらも、観光パンフレットやネイチャーフォトで見られるような雄大で崇高なイメージの北海道とは正反対の風景を撮り続けてき . . . 本文を読む
北海道新聞社から写真集が出版されたのを記念した写真展。
ひとことで言って、とにかく美しい。
これまで野生生物をメインに据えた個展や写真集が続いた山本さんだが、今回は、風景がメイン(渡り鳥やシカなどの野生生物は、展示会場では、小さなアイコンのようなサイズのプリントにおさまっている)。
夜明けだったり、スローシャッターを駆使したり、従来のさまざまな風景写真の水準をはるかに抜き去る、見たことの . . . 本文を読む
星景写真の第一人者、沼澤茂美さんの写真展。
カラープリント10枚のほか、このギャラリーらしく大型モニター2台でスライドショーが行われている。
星景写真という言葉に、なじみのない人もいるかもしれない。
星空そのものの写真を撮る人は以前からいた。一般的な写真趣味というよりは、星座や天体観測の一環といった趣が強かった。
それに対し、地上の風景と星空を同じ画面に収めるのが星景写真で、1990年 . . . 本文を読む
(一部文章を削除しています)
「写真」は「真を写す」と書く。
photograph の訳語としてはいかがなものかーという意見は古くからあるが、ともあれ写真は、外界にある事物をそのまま取り込むことができると、素朴に信じられてきたフシがある。
しかし、そんな単純なことなのか? 「真実」なんてそんなにすぐに分かるものではないんじゃないのか?
そういう疑問を抱かせる、ユニークな写真展が開かれてい . . . 本文を読む