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■写真都市 札幌 伊藤也寸志写真展 (2014年3月28日~4月2日、札幌)

2014年03月31日 23時21分53秒 | 展覧会の紹介-写真
 この数年、一貫して、札幌の街角の現在にレンズを向け続けている伊藤也寸志さんの個展。
 以前は銀塩モノクロだったが、今回は展示全40点がデジタルをモノクロ処理したプリントである。ただし、写真の基調は変わっていない。
 2011年5月から昨年12月までに撮影したものなので、札幌の現在といってさしつかえないだろう。

 「札幌という都市」がテーマなんだから、ここでベンヤミンとか森山大道とかを引用して気のきいた論考でも展開すべきだと思うのだが、とてもそういう余裕がないし、なんか、そういうことを述べなくても
「オレが楽しいんだから、いいんだ!」
ということで、十分じゃないかという気がする。
 それくらい、伊藤さんと、筆者の「ツボ」が近いのだ。
 木造家屋や古い看板があればそれを撮り、歩道橋があったらそこに上って写真を撮り…。
 筆者も出歩いている時はかならずカメラを持っているが、その際に「ビビッ」とくる被写体が、ほんとに似ているので、写真を見ていてこんなに楽しい思いをすることはあまりない。札幌以外の人にとっては、どうなんだろう。

 だって、写真を見ただけで、半分は撮影地がどこか分かっちゃうんですよ(笑)。

 とはいえ、伊藤さんは、ことさらに「廃墟マニア」のように、古い建物ばかりを撮っているわけではない。
 視線のあり方としては、森山大道氏が「記録」と口にするときの態度に近いと思う。
 ただ、いくら「記録」といっても、生身の人間が撮っている以上、無意識のうちに、好みや傾向がにじみ出てくるのはもちろんである。伊藤さんは、廃墟マニアとも観光絵はがき写真家とも異なる、機械の客観性とも異なる、フラットな視線で、変化していく札幌の街路を前に、シャッターを押し続けているのだ。
 そして、そこには、短いながらも確かに流れてきた時間の堆積が、ひそかに露呈している。地層のように。

 スライドで上映される写真やプリントは、40枚よりもはるかに多いのだが、以下、プリントが展示されている40枚のうち、気のついたことを。

 1「川岸公園」 案内状にも採用されている1枚。この写真は、豊平川のほうを向いて撮られているが、180度振り返ると、有島武郎邸があったことを示す小さな標が立っていると記憶している。

 2「狸小路10丁目」 狸小路の商店街に加盟しているのは1丁目から8丁目までで、9、10丁目は「果て」の感じが強い。最近は再開発も進んでいるようだ。「ひょうたん横丁」などの看板が見える。

 5「四丁目十字街」 昔から札幌で最も繁華な交叉点として知られる。東京で言えば、銀座4丁目に相当する。市電のループ化工事が始まれば、この光景も見られなくなるはずだ。

 6「創成川東」 サッポロファクトリーの南側に古い住宅が密集している一帯があるが、この数年でかなり壊されてしまった(こちらの、上から2枚目の建物も、すでにない)。

 11「札幌駅前通」 観光幌馬車をひく馬。もしかして、森山大道へのオマージュ?

 12「電車通り」 西8丁目に近い「喫茶 声」。すでに取り壊されている。

 18「電車通り」 西10丁目の「ショッピング一条」。これも最近、取り壊された。南1条通は拡幅計画があるためか、古い建物は少しずつなくなっていく。

 21「すすきの」 道新ニュース(この電光掲示板も昨年末で稼動を終えた)に政治のニュース(みんなの党と結いの党の分裂に関係する話)が流れている。これも、時代の記録になるだろう。

 26、27「神宮例祭」 6月15日ごろに中島公園で行われる北海道神宮のお祭り。気がつけば、お化け屋敷やオートバイサーカスも、古い見世物の一種になってしまった。

 32「札幌駅裏」 再開発計画が持ち上がっている北8西1地区。なお、この区画のコインパーキングは40分100円で、近隣のそれに比べるとかなり安いです。チェックを。

 37「二十四軒」 東西線の駅があるが、地下の通路が異常に長いことで有名。

 40「豊平川通」 南大橋(通称9条橋)のすこし南側。高層住宅が増えるなか、この「つばめタクシー」本社から難得神社(通称ヘビ神社)のあたりは、低い建物が多くて、昔と変わっていない。


 まとまりのない文章で、失礼しました。


2014年3月28日(金)~4月2日(水)午前10時~午後7時
富士フイルムフォトサロン札幌(中央区大通西6)



□写真都市 http://blog.livedoor.jp/ya5u5hi/


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