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見ごたえある「北の形象」(3月26日まで)

2006年01月16日 15時13分10秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 道立旭川美術館の常設展「北の形象」は、道北ゆかりの抽象画家難波田龍起、上野憲男、山口正城、彫刻家板津邦夫の4氏の計23点(うち2点は寄託、ほかは所蔵品)を展示しており、見ごたえがあります。
 1997年に同館でひらかれ、とても良かった記憶のある「北海道の抽象絵画」展を思い出しました。

 旭川生まれで、日本を代表する抽象画家の難波田。「初夏の粧い」(1953年)は、初期の難波田らしい加工はなされているものの、めずらしく女性の顔がモティーフになっています。
 青い地に黒の線が躍る「夜の生物苑」(70年)、どこか人間を思わせる不思議なフォルムが砂漠のレリーフのようにも見える「不思議な国B」(84年)などは、ずーっと見ていても見飽きません。生の深奥にとどいているような魅力をたたえた作品だと思います。
 難波田はほかに「郊外」(51年)「水の上」(54年)「風景」(56年)「生の交響詩」(92年)。

 山口は、本職はデザイナーでしたが、難波田と抽象画の団体を発足させようとしたこともある、抽象画の草分け的存在です。生前の作品の大半が旭川美術館にあるそうです。
 作品は、製図などで使う烏口(からすぐち)による黒く細い線が反復しつつ、傾きを変えていくものが大半。水性絵の具によるしみのような単色の模様がついている作品もあります。作品サイズもそれほど大きくなく、繊細な印象です。
 「連結せざる構造による横線に伴う縦線」(41年)「作品51X」(51年)「回復」(52年)「鬼の変心」(55年)「赤いカノン」(56年)「春のこだま」(57年)「炎の歌」(58年)の7点。
 難波田と山口は故人です。

 上野さんの作品は、茫漠として、抽象画を見慣れない人にはちょっととっつきづらいかもしれません。筆者もいちばん最初に見たときには、失礼ながら、ふき残した黒板のように思いました。
 しかし、雨の気配とか、湿った大気を、写実的にではなく、その本質のところで描いているのだ-というところに思い至ると、上野さんの絵は、まさにそのとおりなんですね。オイルチョークでびっしりとひかれた白い線、ところどころに挿入された文字、わずかな藍色の違い…。そういったものが、絵画でなければ表現できない独特の広がりや空間の感覚を伝えます。
 「作品・赤」(59年)は、初期の小野州一さんの作風につながるものがあると感じました。
 ほかに「白いフィルド」(76年)「海流」(81年)「大気・振動2」(88年)「大気・振動4」(同)。すべて油彩です。
 上野さんは留萌管内天塩町生まれ、東京在住。
 
 板津さんは彫刻で、丸っこい、ユーモアをたたえた木彫というイメージが筆者にはありました。
 でも、「風神・雷神」(90年)は、高さ251センチにもおよぶパワフルな作品で、題名の通り、神のパワーのような迫力が感じられます。
 ほかに「双貌」(64年)「木のなかの顔」(67年)「仮面」(79年) 

 11月12日(土)~3月5日(日)・3月11日(土)~26日(日)
 道立旭川美術館(旭川市常磐公園内)


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