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植松奎二「樹とともに―赤いかたち」 ユカンボシ川河畔公園彫刻広場(4)

2020年05月23日 17時31分00秒 | 街角と道端のアート
(承前)

 恵庭の公園にある野外彫刻の紹介の続きです。

 6人の作品が緑の中に点在していますが、この作品は池の中に設置されています。
 色が色だけに、かなり遠くからでもその存在がわかります(このシリーズ最初の記事に載せた画像でも、ちらっと見ることができます)。

 ところで、6人は道内在住の作家と縁のない作家とがまじっているのですが、植松さんはおそらくこの6人で最も北海道との接点が薄い人だと思います。
 その一方で、1988年にヴェネツィアビエンナーレに出品していることもあって、日本の現代美術の関係者には、6人のなかで最も知名度の高い作家でしょう。
 大阪・箕面とドイツのデュッセルドルフを拠点としています。

 図録から略年譜を引いておきます。


 1947 神戸生まれ
  69 神戸大学教育学部美術学科卒業。
    第8回ジャパンアートフェスティバル優秀賞受賞。
 1974 神戸市文化奨励賞受賞。
  76 個展(ストックホルム近代美術館、~77)
  90 第12回須磨離宮公園現代彫刻展大賞受賞
  96 第23回長野市野外彫刻賞受賞
  97 個展(西宮市大谷記念美術館)
  98 第23回中原悌二郎優秀賞受賞
 2000 「ヘルシンキ2000」招待参加(ヘルシンキ市)


 このブログの読者はご存じの方も多いでしょうが、中原悌二郎賞は旭川市が主催する彫刻の賞です。
 植松さんはその後、2013年に「截接-軸・経度・緯度」で、本賞(中原悌二郎賞)を受賞しています。


 おもしろいのは、赤い円錐だけでなく、その先端がつながっているようにみえる木も、ステンレススティール製だということです。
 木は高さ590センチ。150×150センチ。
 円錐は長さ365センチ、直径180センチ。

 図録では鮮やかな赤に着彩されていたことがわかりますが、筆者が訪れたときには、いい感じに褪色して、朱色になっていました。
 汚れているのも、これはこれでいいなと思います。

 こんな派手な色で、しかも赤と緑は補色なのに、なぜか自然と溶け合って見えるのが不思議です。
 植松さんも
「自然と共生する彫刻、あるいは、以前からそこにあったように自然なかたちで息づき、呼吸するような彫刻をつくりたいと思った」
と図録で記しています。


関連記事へのリンク
Re: play 1972/2015―「映像表現 '72」展、再演 (2015)


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