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袁廣鳴(ユェン・グァンミン)「日常演習」 あいちトリエンナーレ : 2019年秋の旅(51)

2019年11月26日 08時55分26秒 | 道外の国際芸術祭
(承前)

 そろそろ愛知芸術センターの感想を切り上げて次に行きたいのだが、あと1人だけ。

 台湾の台北生まれ、拠点のユェン広鳴グァンミンの映像作品「日常演習」には、ちょっとびっくりした。

 巨大都市・台北を上空からドローンでゆっくり撮影しただけの映像なのだが、サイレンが鳴り渡る中、1台も車が走らず、1人の歩行者も見当たらないのだ。
 まるで核戦争の直前に戒厳令が発せられたかのような、異様な緊張感がある。
 「世界の終わり」のような。

 台湾では1978年からこのような、「萬安演習」という防空演習が毎年春に行われ、人々は30分間屋内に退避するのだという。
 若い人はこういうもんだと思っているのだろうが、日本からみると驚きの年中行事である。

 う~ん、北京側と対峙している国は、やはり緊張しているのだな。

 もう1点の「トゥモローランド」は、ミニチュアの遊園地が突如爆破される映像がループになっているもので、これはわれらが伊藤隆介さんに比べるとややヒネリが足りないように感じた。
 

國藝會補助成果—日常演習∕明日的樂園/袁廣鳴



 このほか、ドミニク・チェンらのグループによる遺書が展開される「ラストワーズ/タイプトレース」、ジェームズ・ブライドルが通常は絶対に立ち入りできない場所(入国管理)を証言などによって3Dアニメーションで再現した「継ぎ目のない移行」、シルクスクリーンの膨大な反復によって立体を作り出す今村洋平…といったあたりも興味深かったが、あとで余裕ができれば触れることとし、先を急ぎたい。




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