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■Dans les coulisses du lac des cygnes 吉田肇写真展「バレエ白鳥の湖~舞台裏の景観」(2018年11月20日~12月1日)

2018年11月30日 17時51分50秒 | 展覧会の紹介-写真
 展覧会の正式名称は

Dans les coulisses du lac des cygnes Exposition de photographies Hajime Yoshida 吉田肇写真展「バレエ白鳥の湖~舞台裏の景観」

 個人的には芸術分野としてのバレエには全く興味がない。
 したがって、バレリーナを描いた絵や、撮影した写真も、ふつうはじっくりと見ることはない。
 しかし、この写真展は、世の中にある凡百の絵や写真とは違っている。
 この1964年生まれ、札幌在住の写真家自身の表現になっているとしか言いようがない。
 かといって、バレリーナを素材として、いわばダシとして登場させているというのとも違うだろう。
 
 被写体としてのバレリーナをリスペクトしつつも、作品によって、個としての存在感を際立たせたり、群像として表現したり、表現の文法を変えている。
 冒頭の画像の中央にある作品は、フライヤーにも使われていたものだが、舞台から舞台袖に漏れてくる光の中に、登場する順番を待つバレリーナたちの緊張感と個々の存在感が、ゆるやかに溶解しているように見える。


 スローシャッターであえて被写体の動きを強調する手法はよくみられるが、注目したのは、まるでフィルムのような粒状感のある写真。
 いや、ひょっとしたらフィルムなのかもしれないが。ある種の生々しさとともに、人間の存在感が引き立ってくるから不思議だ。

 カラー写真で、赤系統の発色をぐっと抑えた作品があり、絵画のような手触りを感じる。

 バレリーナ個々に焦点を当てた作品でも、一般的なポートレートとは全く違うものになっている。




 会場にあった文章。

心の中に存在する霊性を被写体から導き出し夢と現実の間の心理的な世界を映し出す。
そして抽象的ながら実体を露わにされた魂を見る人の心の奥深くに残していく。


 3枚目の右端は、ホールではなく、札幌駅前通地下歩行空間(チ・カ・ホ)で撮影したもの。
 天窓からさし込む光の調子がおもしろい。


 吉田さんは今年、画家のモリケンイチさんと茶廊法邑で、写真と絵画による2人展を開いているが、筆者の怠慢によりまだ書き終えておらず、この記事が先に出てしまうのは、なんだかモリさんに申し訳ない気もする。


2018年11月20日(火)~12月1日(土)午前10時~午後7時(土曜~午後6時、月曜正午~)、日曜休み
札幌アリアンス・フランセーズ(中央区南2西5 南2西5ビル2階)

□Hajime Yoshida Official website https://www.hajime-yoshida.com




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