北海道美術ネット別館

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北海道立体表現展’06 (10月26日まで) その2

2006年10月20日 00時02分05秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
(承前)
 山田吉泰「かたらい」
 ふたりが語らっている様子のように見えて、ひとつの塊にも見える作品。
2人で話し合っている状態の作品で、ずっとこういうのを作っています。最初は、紙に、どんな形がいいか20-30個ほど書いて、気に入った形ができると粘土で作ります。それを石膏で型を取り、FRPを流して、石膏型を割って取り出して完成です。色は後から着けます。狙いは、内側を作り込んでおいて、外側はなるべく単純な形でというのをやってみました。


 高橋昭五郎「感謝塔」
 伸びやかなフォルムの木彫。
11月に75歳になります。若いころは、すつ開放的な作品ができていました。愛の形でしょうか。そのうち40歳を過ぎると直線的な作品になり、祈りみたいな、両手を合わせたくなるような形を作りたくなりました。60を過ぎて、生きることに感謝-ということになって、こういう形になりました。これが感謝かといわれても、困るんですよ。80過ぎると、今度は「無」に、じわじわと変わっていくような気がします。


 齋藤健昭「空は大古の青を染めて奏でる」
 巨大なキノコが群生しているような木彫。
(本人欠席のため代読)この地に生命の形が現れだしたころの風景を自分で見てみたいと思って作りました。そのころは、空は今と同じように青く、風はやさしくおだやかだっただろうと思います。その風を、作品を通して想像してほしかったのです。


 中江紀洋「自然律(遡)」
 ここ10年ぐらいは、歯をずらっとならべたインスタレーションか、女の足を思わせる立体しか見ていなかったので、今回の大変身にはびっくり。
釧路で制作しています。首から上を刺戟するものがないので、1週間に1回は知床や釧路湿原に入って、魚をつったり山菜を取ったりしています。今回のは、薫別川や忠類川の河口で、橋の上から、サケが産卵のためのぼってくる風景を作品化しました。だれかが足のツボを刺戟するものだと言っていましたが、そう感じてもらってもかまいません。


 伊藤隆弘「存在の考察 2006」
 石の大作。シンプルで、どっしりと構えた感じです。
存在とは何かを、毎回考えて作っています。石屋さんで巨大な石を見つけたとき、その段階で、石が主張しているように見えました。この石を最大限に生かして見せるにはどうしたらいいか、ずーっと考えて、さわって(=加工して)作る部分と、まったくさわらない部分との対極を見せることにしました。


 大滝憲二「涅(でつ)」
 ドラム缶から黄色い塗料がこぼれているように見える、トリックアート的な作品。
一番手を加えていないのが私です。簡単、単純にしていくのがおもしろいと思うのです。塗料ってこんなにきれいなんだよ、ということをやってみたかった、ただそれだけなんです。


 泉修次「均衡-3つの重石」
 古代の石弓のように絶妙なバランスで成り立っている大作。
支点があって、この石がなくなると、作品はバタっと倒れます。ワイヤーが張ってあるのは、お互いを引っ張りっこしているからです。空高く上がっていく人間の気持ち、それをピーンと張った糸が表しています。

(続く)

10月15日(日)-26日(木)9:30-17:00(入場は-16:30)、月曜休み
道立近代美術館(中央区北1西17 地図D

■03年の模様
■01年の模様


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