北海道美術ネット別館

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この終末感はなんだろう。

2020年02月22日 10時32分20秒 | 新型コロナウイルス
 この数日間、いろんなニュースがありすぎて、頭のなかの整理が追いつかない。
 ツイッターのタイムラインを眺めていて胸を去来するのは、大げさに言えば、国というものがリアルタイムで壊れていくー、そんな感覚である。

 わたしたちが1930年代を描いた映画や小説を筋道だてて受容することができるのは、実際にどんなことが起きたかを、ある程度知っているからである。
 だから、つじつまのあったストーリーを脳裡で組み立てやすい。
 しかし、いま発生しているさまざまな出来事は、かなりの日時が経過してからでないと、それがどんな意味合いを持つのか、正確なところはわからない。




(追記。以下、なにも見ないで記憶を頼りに書いているので、たぶん事実関係に違うところがあると思います。気づき次第直しますが、ご容赦ください)

 この1カ月近く新聞の1面トップをにぎわせているのは新型肺炎(新型コロナウィルス)のニュースである。
 2月上旬までは武漢や湖北省のパンデミックの記事が中心で、どこか「対岸の火事」のような雰囲気があった。
 だが、この時点ですでに、ウィルスは日本列島に入り込んでいたのである。
 政府は水際作戦を敢行するため、感染者が出ていた大型客船「ダイアモンドプリンセス」号を横浜沖に2週間も停泊させていた。しかし、結果論として、これは無意味な措置だったわけだ。2週間の間に、閉鎖された船内では感染者が爆発的に増え、しびれを切らした米英などは専用機を飛ばして自国の乗客の救出に乗り出した。
 この間、神戸大学の岩田教授が船内に入り、その様子を話した映像をYoutubeにアップし、わずかな間に100万回も再生されて、BBCニュースなどにも取り上げられた。岩田教授は翌日その映像を削除したが、船内では、危険な領域とそうでない領域を分けるゾーニングの措置が徹底されていないことや、防護服の人のすぐそばをスーツ姿の男性が歩くなどしていたことが明らかになった。岩田教授をツイッターで批判した厚生労働副大臣がツイッターに、船内の通路を分けている写真をアップして反論したものの、かえって「ぜんぜん分かれていない」様子が明らかになり、副大臣はすぐに写真を削除した。
 それまでも発症した人や高齢者などは船から運ばれていたが、2月18日から3日間に分けて本格的な下船が行われた。船の乗客は、運転席が隔離されたバスで横浜駅まで行き、そこから公共交通機関で家まで戻った。陰性か陽性かの検査も行わず、下船後の隔離もせずに、乗客を市内に帰した措置には疑問の声が相次いだ。




 政府の打つ手は後手後手に回っていた。
 感染症の専門家も入れず、閣僚による対策会議を何度も開き、安倍総理はいつも、あいさつを終えると数分で退席した。そして、地元の下関市のフグに舌鼓を打っていた。




 今週は国会の予算委員会が開かれたが、安倍首相は後半は出席すらせず、夜になると外食に出かけた。
 辻元衆議院議員が、桜を見る会の前夜祭について、政治家を特別扱いしたことはなく白紙領収書も出したことはないというホテルの証言を首相にぶつけたが、首相はいつものように正面から回答しなかった。
 辻元議員に、殺害を予告する脅迫が届いた。
 ホテルの人間が自民党に呼び出され、以後はホテル側は口を閉ざすようになった。

 また、黒川という、首相官邸の息の掛かった検察幹部を続投させるため、法律に「63歳まで」とある定年を無視することを政府が決めた。
 法律違反ではないかという指摘が野党議員からなされ、人事院幹部もその旨を答弁したが、政府は「法律解釈を変更した」と言い張った。人事院幹部は「言い間違えでした」と、答弁を修正させられた。




 ほかにも、公費を使っての官僚の不倫旅行だとか、いろいろなスキャンダルが起きた。
 政府も官僚も国民の生活には関心が無いようだ。
 新型肺炎を恐れて、この数日、日本国内では催しの中止の決定が相次いでいる。
 道内でも札幌、七飯、中富良野など各地で感染者が報告され、マラソン大会などの中止が決まった。
 米国やタイなどからは、日本は、要注意の渡航先に指定された。
 
 

 こうやって振り返ってみると、いざというとき「現場に強い」日本という国は、過去のものになった感がある。
 ツイッターでも書いたが1980年代に三原山が噴火したとき、官民の船が協力して、14時間ほどで1万数千の島民を無事に避難させたことがあった。
 有珠山噴火でも全員が無事に避難し、死傷者ゼロということがあった。
 新型コロナウィルスをめぐる混乱を見ると、専門家や科学者の意見をいれず、正常性バイアスを強化する言説のみがはびこっているようにしか感じられない。
 日本が法治国家だというのも、過去のものになりつつある。
 すべての国民は、法の下に平等のはずだが。


 冒頭にも書いたとおり、これらの認識がどれぐらい正しいのか、あるいは誤っているのか、歴史の渦中にいる人間にとっては、まったく見当がつかない。
 わたしたちは、どんな時代を通過し、どんな時代を迎えようとしているのだろう。

 それを思うと、暗い気持ちになってくる。


続き) 


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2 コメント

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怜なさん、こんにちは (ねむいヤナイ@北海道美術ネット別館)
2020-02-23 18:33:17
ありがとうございます。
たしかに、先の大戦中を思わせるところもあります。ただし、今のところは、政府に反対する意見を述べても拷問を受けたり投獄されたりする恐れは相当に低いです。にもかかわらず、「物言えば唇寒し」という雰囲気としぐさが蔓延しているのはなんでだろう、ということを考えています。
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混乱状態? (怜な)
2020-02-22 13:10:13
こんにちは。

本当に、どうしてこうなるのか混乱していますが、ブログを読ませていただき少し整理ができました。ありがとうございます。
政府の対応が信頼できない、明らかなごまかしが分かりすぎる、おかしな話だと思います。でも笑えないのが、先の戦争を思わせるからではないでしょうか。なにか腹立たしい、でも おかしなことを見ていきたいです。
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