北海道美術ネット別館

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クリスマスはなつかしい

2005年12月24日 07時52分26秒 | 展覧会の紹介-工芸、クラフト
 名高い「陰影礼讃」などが収録されている「谷崎潤一郎随筆集」を読んでこまったのは、そこでとりあげられている日本の家屋とか義太夫節とかが、どういうものなのか皆目見当が付かないことだった。
 これで本州や四国、九州地方の人ならば、生活習慣の西洋化が進んだとはいえ、たとえ自宅が古い家でなくても近所や親類に昔の文化の残り香がありそうなものだが、なにせ、全室が洋間という建売住宅がめずらしくない北海道に住んでいる私。伝統的な文化にからきし弱い。書院造よりもアーリーアメリカン調に郷愁を感じ、瓦屋根や雨戸に異国情緒をおぼえてしまうのはやむをえないことなのである。
 そんなわけで、クリスマスもなつかしい。
 大型商業施設で繰り広げられるディスプレイとか、デートで豪華な食事とか、そういうクリスマスではもちろんなくて、かといって宗教的なバックボーンがちゃんとある西洋流の日というのでもなく、むしろ、黒澤明の映画「悪霊」にでも出てきそうな家(ようするに、札幌芸術の森にある「旧有島武郎邸」みたいな家)で、家族によって、小さなツリーとケーキなどでささやかに祝われる「戦後のクリスマス」には、いいようのないノスタルジーと、独特のあたたかみをおぼえてしまう。
 今回の、芸術の森工芸館でひらかれている「クリスマス展」も、そういう視線で見てしまった。だから、なつかしいのだ。

 前置きだけで長々と書いてしまったけど、今回の展覧会は、それぞれの作家が自分なりのクリスマス観(というとおおげさだな)を反映させていて、おもしろかった。
 いつもは漢字の題の重厚な作品をつくっている陶芸家も、軽めの、家庭に合いそうな作品をならべていたし。
 以下、気になった作家の名前と出品作名の一部を挙げておきます。

船木ゆずか「クリスマスのジュエリー」
 銀のすてきな首飾りなど

岩寺かおり「金彩キャンドル・アロマポット」
 もともと和風でないテーブルウエアなどを得意とする岩寺さんらしい作品

金子直人「丸い花器」「雪 小」
 金子さんは錫の作家。振り子がたのしく揺れるおなじみの時計もありました。

菅原義則「星のオイルランプ」「はっぱのオイルランプ」

高井秀樹「キャンドルウェアー」
 小さな葉を密集させたあかりは高井さんの代表作。これは、葉のかわりに、雪の結晶をつなげたもので、漏れる光がなんともあたたかい。

小出三郎「組み木のクリスマス」
 「キリスト降誕」など聖劇の一場面

外山雄一「ポケットの中のハート」「Sacchi」
 「Sacchi」はいす

煙山素子「ヒラヒラ・ゴマ」
 たのしい木製の野菜おもちゃなどで知られる煙山さん。このこまは、実際にまわすことができます

巳亦敬一「Tree」
 ガラスの、三角すいに似たかたちのキャンドルスタンド

伊藤泰三
 ガラスでできた冬の林のようです

木村初江
 陶板によるツリー、リース、月、星。裏も使える「リバーシブル」なのが特徴

中村裕
 家型のあかりや、バターケースなど、いつになく西洋調です

香西直行「みんなでクリスマス」
 もこもこしたかたちの陶のツリー。小人がよじ登っているのがかわいい

北見精吾「天空のクリスマス テレイドスコープ」
 重厚な木製の複葉機模型ですが、のぞいてみると、万華鏡のようなきれいな映像が見えます

札幌高専2年生有志「JELLYFISH」
 10代の感性がにじむ共同作品
  
というわけで、メリー・クリスマス 


=11月13日(日)~12月25日(日)、
札幌芸術の森工芸館。入場無料です。 (南区芸術の森2)


 


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1 コメント

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黒澤の悪霊 (ねむいヤナイ)
2006-01-02 05:42:26
白痴、の誤りでした。

スンマセン
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