インスタレーション・立体造形は、林教司が絵画に転じ、野又圭司や堀部江一が不出品のため、さびしいものとなった。ビデオを用いた田中まゆみ「MEMENTO-MORI」が力作。生と死を凝縮させたかたちで表現している。
池田宇衣子は、すごくがんばっているのはみとめるのだが、筆者にはどうもいまひとつ意図が伝わってこない。合田尚美「Life is beautiful」は、隅っこの狭い空間に展示されていた。先日のギャラリー門馬アネックスの展示と基本的に同じ。
絵画。
会員。今荘義男「古里’06」
油彩3枚組み300×180センチの大作。日本的ななつかしさを漂わせる渋い色調は、あいかわらず美しい。
香取正人「新緑」
この画家の魅力が、濁りのない明るい色彩のほかに、リズミカルなタッチにもあることがよくわかる佳品。
中村哲泰「とどまることにない風景」
ヒマラヤなど巨大なモティーフを手がけてきた作者が一転、湿地帯のようなささやかな草花に目を向けた。
西田靖郎「三つのみずおと」
中央に描かれた人物は女性に見えるが、だとしたらこの作者には珍しい。アーチ型を横に三つ連ねた支持体もユニーク。
後藤和司「青のscene'06II」
ツイード織のような線をびっしりと連ねた、M100号キャンバス3枚からなる大作。行為の重なりから浮かび上がるリズム。
横山隆「彼方へ」
横山さんは日本のアルテ・ポーヴェラか。ダンボールの使い方がアナーキーで好きだ。
飯田辰夫「路上の譜」
舗道と横断歩道。こんな要素で絵画空間を成立させようとする意欲が好ましい。描写もリアル。
大塚富雄「まやかしの界」
廃品のマティエールに細心の注意が払われている。
居島美恵子「久遠」
抽象との苦闘のなかから、浮かび上がるピアノのような形。
このほか、工藤悦子、鈴木秀明、坂元英子、櫻井マチ子、佐藤萬寿夫、永井美智子、中谷勝善、藤野千鶴子、白鳥洋一、山本家弘といったベテラン勢は安定した仕上がり。
しばらく見ないうちに、古田瑩子、大田眞紀、佐野雅子といった面々が水彩からアクリル・アクリル併用に転じていたのがおもしろかった。描写力も上がっている。岩佐淑子は依然水彩で、抒情的な空間をつくりあげている。
細木博子、福島靖子といった「阿部チルドレン」も、着実に自分たちの表現をものにしているようだ。
会友。
岩野美恵子「工場の一隅 I」
こういう執拗かつまじめな描写は好き。
片野美佐子「雨あがり」
この数年、乱暴なタッチが影をひそめて、大胆だが細心な画面づくりになったと思う。黄色のつくりだすリズムが心地よい。会員推挙。
中埜渡美栄加「北の大地 Shoes of Memories(1)」
装飾性が特色。中央部分を流れる川があるので、ただうるさいだけの画面にならずに済んでいる。佳作賞。
森田明志「朝凪のソナタ」
落ち着いた色調が持ち味。崖が人の顔になっているだまし絵的なところもおもしろい。会員推挙。
湯浅工「マリーナのある漁港(小樽・祝津)」
しっかりした描写のオーソドックスな風景画。
ほかに、梅田正子、山本洋子が会員推挙。
一般。
藤本絵里子「誕生」
協会賞。まるいパッチをつらねたような、半立体。めずらしい技法だが、その瞬間芸にならないように、来年以降期待したいと思う。
すとうえみ「瞬」
なぜひらがなの名前に変えたのだろう。この人は、すごく描写力があるのだが、いかんせんモティーフが小さすぎ。もっと大きく描けばおもしろい作品ができるのに。佳作賞。
清野有香「夜明け」
巨大な水牛。迫力は十分。
柴崎康男「船のある風景A」
二科ではベテラン。新会友。
甲斐野弘幸「跫-II2006」
黒と白の矩形が重なり合う、迫力のある抽象画。
古木真澄「椅子のある室 I」
静けさに満ちた画面。マティエールも工夫されている。新会友。
松信元一「七月の詩」
ラベンダー色を基調に、深みのある抽象世界。
会友推挙は計15人の大盤振る舞い。
これはどうなんでしょう。和田仁知義のように力量が十分な人もいるが、一方で、ちょっと早すぎる人もいるような気がする。
全体としては、抽象、具象など、バラエティに富んでいるのは悪くない。
知らないうちに園田郁夫や西川孝が退会していた。
金子正の遺作が展示されていた。
(文中敬称略)
8月30日(水)-9月10日(日)10:00-17:30(最終日-17:00)、月曜休み
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6 地図G)
■05年の50周年記念展(画像なし)
■03年
■02年
■01年
池田宇衣子は、すごくがんばっているのはみとめるのだが、筆者にはどうもいまひとつ意図が伝わってこない。合田尚美「Life is beautiful」は、隅っこの狭い空間に展示されていた。先日のギャラリー門馬アネックスの展示と基本的に同じ。
絵画。
会員。今荘義男「古里’06」
油彩3枚組み300×180センチの大作。日本的ななつかしさを漂わせる渋い色調は、あいかわらず美しい。
香取正人「新緑」
この画家の魅力が、濁りのない明るい色彩のほかに、リズミカルなタッチにもあることがよくわかる佳品。
中村哲泰「とどまることにない風景」
ヒマラヤなど巨大なモティーフを手がけてきた作者が一転、湿地帯のようなささやかな草花に目を向けた。
西田靖郎「三つのみずおと」
中央に描かれた人物は女性に見えるが、だとしたらこの作者には珍しい。アーチ型を横に三つ連ねた支持体もユニーク。
後藤和司「青のscene'06II」
ツイード織のような線をびっしりと連ねた、M100号キャンバス3枚からなる大作。行為の重なりから浮かび上がるリズム。
横山隆「彼方へ」
横山さんは日本のアルテ・ポーヴェラか。ダンボールの使い方がアナーキーで好きだ。
飯田辰夫「路上の譜」
舗道と横断歩道。こんな要素で絵画空間を成立させようとする意欲が好ましい。描写もリアル。
大塚富雄「まやかしの界」
廃品のマティエールに細心の注意が払われている。
居島美恵子「久遠」
抽象との苦闘のなかから、浮かび上がるピアノのような形。
このほか、工藤悦子、鈴木秀明、坂元英子、櫻井マチ子、佐藤萬寿夫、永井美智子、中谷勝善、藤野千鶴子、白鳥洋一、山本家弘といったベテラン勢は安定した仕上がり。
しばらく見ないうちに、古田瑩子、大田眞紀、佐野雅子といった面々が水彩からアクリル・アクリル併用に転じていたのがおもしろかった。描写力も上がっている。岩佐淑子は依然水彩で、抒情的な空間をつくりあげている。
細木博子、福島靖子といった「阿部チルドレン」も、着実に自分たちの表現をものにしているようだ。
会友。
岩野美恵子「工場の一隅 I」
こういう執拗かつまじめな描写は好き。
片野美佐子「雨あがり」
この数年、乱暴なタッチが影をひそめて、大胆だが細心な画面づくりになったと思う。黄色のつくりだすリズムが心地よい。会員推挙。
中埜渡美栄加「北の大地 Shoes of Memories(1)」
装飾性が特色。中央部分を流れる川があるので、ただうるさいだけの画面にならずに済んでいる。佳作賞。
森田明志「朝凪のソナタ」
落ち着いた色調が持ち味。崖が人の顔になっているだまし絵的なところもおもしろい。会員推挙。
湯浅工「マリーナのある漁港(小樽・祝津)」
しっかりした描写のオーソドックスな風景画。
ほかに、梅田正子、山本洋子が会員推挙。
一般。
藤本絵里子「誕生」
協会賞。まるいパッチをつらねたような、半立体。めずらしい技法だが、その瞬間芸にならないように、来年以降期待したいと思う。
すとうえみ「瞬」
なぜひらがなの名前に変えたのだろう。この人は、すごく描写力があるのだが、いかんせんモティーフが小さすぎ。もっと大きく描けばおもしろい作品ができるのに。佳作賞。
清野有香「夜明け」
巨大な水牛。迫力は十分。
柴崎康男「船のある風景A」
二科ではベテラン。新会友。
甲斐野弘幸「跫-II2006」
黒と白の矩形が重なり合う、迫力のある抽象画。
古木真澄「椅子のある室 I」
静けさに満ちた画面。マティエールも工夫されている。新会友。
松信元一「七月の詩」
ラベンダー色を基調に、深みのある抽象世界。
会友推挙は計15人の大盤振る舞い。
これはどうなんでしょう。和田仁知義のように力量が十分な人もいるが、一方で、ちょっと早すぎる人もいるような気がする。
全体としては、抽象、具象など、バラエティに富んでいるのは悪くない。
知らないうちに園田郁夫や西川孝が退会していた。
金子正の遺作が展示されていた。
(文中敬称略)
8月30日(水)-9月10日(日)10:00-17:30(最終日-17:00)、月曜休み
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6 地図G)
■05年の50周年記念展(画像なし)
■03年
■02年
■01年