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加藤顕清「男子座裸像」 旭川の野外彫刻(33)

2021年03月05日 17時55分55秒 | 街角と道端のアート
(承前)

 このシリーズは6日ぶりの更新。
 七条緑道に戻ります。
 (33)から(37)まで、大正・昭和期の帝展や日展などで活躍した加藤顕清の人物像の紹介が5回続くのですが、さすがに単調になるのは否めないので、(32)を後回しにして(33)を先にアップします。

 加藤の略歴については「加藤顕清「婦人像・裸立像」 旭川の野外彫刻(26)」を参照してください。



 「旭川野外彫刻たんさくマップ」によると、ブロンズで100×80×65センチ。1965年作。

 買物公園が設置された当初の72年に設置されましたが、その後微妙に場所が移ったようです。

 それにしても、あまり類例のない格好をした裸体像だといえます。
 男性は、左膝をわずかに前に出してひざまずいています。
 上体をひねり、頭はややうつむき加減です。
 左腕は体の前に、右腕は後ろに、それぞれ胴体からは離しており、拳を握っているために、非常に力が入っていることが伝わってきます。


 ひざまずいているといっても、敬虔な少女が教会で祈っているのとは異なり、右足は横向きにして台座につけており、両脚はやや離れています。
 全身から青年らしい精神的な苦悩が感じられてくるようでもあります。
 なので、1965年作というよりもむしろ、大正教養主義の響きが作品から聞こえてくるように筆者には感じられます。

 ただ、緊張感漂う肢体と違い、表情からは安らいだものがうかがえます。

 全体的に斜めの線を生かした形には動感がみなぎっています。
 といって、芝居がかった大げささは感じられません。

 人間存在というものに迫っている点で、このあたりに集中している加藤顕清作品の中でも、優品ではないかと思うゆえんです。





過去の関連記事へのリンク
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