ブルガリア生まれで米ニューヨーク拠点の現代美術家クリスト氏が死去したとのことです。1935年生まれの84歳。
共同通信の死亡記事には
と手短に紹介されています。
筆者のクリスト評は、妻の追悼記事のときとほとんど変わっていないので、末尾に引用しておきます。
世界的な現代アートの巨匠でしたが、北海道との縁はあり、1991年に札幌の芸術の森美術館で「クリスト展-囲まれた島々 」という展覧会が開かれています。
また、2006年と16年には札幌を訪れ、講演しています。
休館中の札幌宮の森美術館はクリストのドローイングなどをコレクションしており、それらの展覧会も開催しています(2006、12、14年)。
2006年ごろには、芸術の森美術館周辺に「クリスト美術館」を造ろうという話もありました。
個人的に悔やまれるのは、2度の講演会とも、筆者は訪れていないことです。
とくに2006年は、筆者は同じ時刻に、マシュー・バーニーの「クレマスター3」を見るため映画館にいましたが、これがタルコフスキーやテリー・ギリアムの足下にもおよばない凡作で、自分の選択眼のなさをはげしく後悔したのでした。
(2016年は、たぶんボヤボヤしているうちに定員に達してしまったのだと思います)
あと、クリスト夫妻については、一度は動画をごらんになることをおすすめします。
筆者は、ベルリンの国会議事堂のプロジェクトを撮ったドキュメンタリー「議事堂を梱包する」を見て、梱包が風に揺れる美しさに驚きました。これは写真ではわかりません。
ご冥福をお祈りします。
ニューヨークタイムズの追悼記事はこちら。
https://www.nytimes.com/2020/05/31/arts/christo-dead.html
ジャンヌ=クロードさん死去 (2009)
■議事堂を梱包する(ドキュメンタリー映画)
共同通信の死亡記事には
フランスのパリを経て60年代に渡米。妻ジャンヌ・クロードさん(2009年死去)と共に活動し、さまざまな物体や景観を布などで覆う手法を得意とした。パリのセーヌ川に架かる橋ポンヌフを丸ごと包んだ作品などで知られ「梱包芸術家」の異名を取った。
と手短に紹介されています。
筆者のクリスト評は、妻の追悼記事のときとほとんど変わっていないので、末尾に引用しておきます。
世界的な現代アートの巨匠でしたが、北海道との縁はあり、1991年に札幌の芸術の森美術館で「クリスト展-囲まれた島々 」という展覧会が開かれています。
また、2006年と16年には札幌を訪れ、講演しています。
休館中の札幌宮の森美術館はクリストのドローイングなどをコレクションしており、それらの展覧会も開催しています(2006、12、14年)。
2006年ごろには、芸術の森美術館周辺に「クリスト美術館」を造ろうという話もありました。
個人的に悔やまれるのは、2度の講演会とも、筆者は訪れていないことです。
とくに2006年は、筆者は同じ時刻に、マシュー・バーニーの「クレマスター3」を見るため映画館にいましたが、これがタルコフスキーやテリー・ギリアムの足下にもおよばない凡作で、自分の選択眼のなさをはげしく後悔したのでした。
(2016年は、たぶんボヤボヤしているうちに定員に達してしまったのだと思います)
あと、クリスト夫妻については、一度は動画をごらんになることをおすすめします。
筆者は、ベルリンの国会議事堂のプロジェクトを撮ったドキュメンタリー「議事堂を梱包する」を見て、梱包が風に揺れる美しさに驚きました。これは写真ではわかりません。
ご冥福をお祈りします。
ジャンヌ=クロードさんは、夫のクリストさんと組んで、次々と大規模なプロジェクトを敢行してきました。
ニューヨークのセントラルパークにたくさんの門を設置したり、島をピンクの布で包んだり、コロラドの谷間や、ベルリンの国会議事堂を布で包んだり・・・。
茨城と米国の双方に巨大な青いパラソルをいくつも設置するというのもありました。
このふたりのすごいところは、公的な援助をもらうのではなく、ドローイングを販売するなどして資金を得ていたこと。
そして、たとえば国会議事堂を包むプランを発表すると、反対意見が当然出てくるわけですが、じゅうぶんに話し合いを重ねて、実現にこぎつけるのです。
その民主主義的な話し合いのプロセス、さらに撤去の過程までも含めて、クリスト&ジャンヌ=クロードのアートだったのです。
その意味では、スペクタクルなインスタレーションというよりも、地道な実践のなかに、アートの未来形を見出しつづけていたコンビだったということができると思います。
ニューヨークタイムズの追悼記事はこちら。
https://www.nytimes.com/2020/05/31/arts/christo-dead.html
ジャンヌ=クロードさん死去 (2009)
■議事堂を梱包する(ドキュメンタリー映画)