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■In My Room vol.7 更科結希 (2014年2月25日~4月6日、札幌)

2014年04月06日 01時23分45秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 本郷新記念札幌彫刻美術館が、道内の新人彫刻・立体作家の個展を企画しているシリーズの7回目。
 本郷新の所蔵品展のうち、最後のスペースを提供しているので、個展というより「ミニ個展」といったあんばいですが、それでも、年1度の団体公募展以外ではなかなか見る機会のない若手の作品をまとめて見ることのできるありがたい企画です。

 とくに、今回の更科結希さんは、釧路管内弟子屈町出身で、釧路を発表の拠点にしているようなので、なおさら札幌では見るチャンスの少ない作家といえそうです。

 更科さんがユニークなのは、昔ながらの具象的な首を3点と、インスタレーションを、同時に発表していることだ。

 インスタレーションを含む会場風景は冒頭画像の通り。 
 作品の中心となっている木戸は、緑やオレンジなどが素朴な風合いで塗られているが、反対側から見ると、下部に映像が投影されている。

 木戸の裏側には、テラコッタの鉢が3個、床に並んでいるが、映像の側には、台の上に小さなテラコッタが置かれ、クルミとおぼしき木の実がたくさん入っている。それと、カラー写真が1葉。 
 


 おそらく更科さんの故郷の記憶なのだろう。




 首は「静謐」「静謐 III」。2013年と12年の作。
 ただし、冒頭の画像に写っている「静謐 II」は2001年作と記されている。言われてみると、「II」がいちばんぎこちなさを残しているようである。



 2枚目の画像にも写っていたインスタレーション「31線西」。
 5本の、皮をはいだ枝が、台座から上へと伸びている。
 この題名も含めて、「北海道の風土、だなあ」と、つくづく感じる。「31線西」という即物的、機械的な住所表示も、北海道の開拓地のあちこちにあるものだ。数百メートルおきに「字●●」という集落と地名のある本州以南とは、風土のありかたがまったく異なるのだ。そこに、北海道出身者の精神の基盤が存在しているといっていいと思う。



2014年2月25日(火)~4月6日(日)午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日 :月曜日(ただし月曜祝日の場合は開館し、翌火曜休館)
本郷新記念札幌彫刻美術館(札幌市中央区宮の森4の12)



一般300円(10人以上の団体250円)、65歳以上250円(同200円)、高大生200円(同100円)、中学生以下無料
※札幌芸術の森美術館、札幌宮の森美術館の展覧会チケット半券で、かっこ内の料金に割引。
※障がい者手帳の提示でご本人と付き添い1人無料


・地下鉄東西線「西28丁目」からジェイアール北海道バス「循環西20」に乗り継ぎ、「札幌彫刻美術館入口」降車。約600メートル、徒歩8分
・地下鉄東西線「西28丁目」「円山公園」から約2キロ、徒歩26分

※札幌宮の森美術館から約690メートル、徒歩8分

vol.6 高橋知佳


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