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さっぽろ雪まつり6丁目会場に今年も雪像彫刻が登場 (2025年2月4~11日、札幌)

2025年02月11日 07時34分17秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 本郷新記念札幌彫刻美術館で冬の恒例として毎年1月に開かれている「さっぽろ雪像彫刻展」の参加美術家・工芸家ら5人による作品が、ことしもさっぽろ雪まつりの大通会場に登場しました。
 昨年と同じ6丁目会場です。

 以前も書きましたが、さっぽろ雪まつり全体では、国際雪像コンクールを除けば、商業主義的な雪像やテレビ由来のキャラクターなどが多くを占めており、純粋に見て美しい物は意外と少ないのが実情です。この5基があることの意義は大きいと感じています。
 


 清水郁太郎「雲の船」 Cloud ship

雲の船は長い長い旅をしている
時折見かけるのは 高い山の上
そこで大きな船体を休めている

船に乗っているのはたくさんの水の粒

水の旅 時も場所もこえて
船は全てのいのちのつながりを運んでいる


 童話の絵に出てきそうな、楽しい形状です。



 前田裕人「DENT?」

立方体に無数の球体で削り取られた痕跡。その凹みは、空間の一部を失ったよ
うでいて、内側から外へ形が押し広げられる瞬間をも感じさせます。削ること
で生まれる静寂と、そこから広がる動的な力。この形状は、静と動、消失と生成が
同時に存在する不思議な世界を表現しています。
タイトル「DENT?」は、この形状に潜む矛盾と可能性に対する、見る人自身の答えを
求めています。


 いろいろな方向から楽しめる複雑な形状です。いくつも表面を走る稜線がシャープです。


 清水宏章「Industrial wind」

人が作り出したものと、自然が作り出したもの。
バランスがとれているようでアンバランス。
人も自然が作り出したものなら、人工的なものと自然が作り出したものの
差異はなんだろうか?
などと考えながら、天然の雪で人工的な形に造形した。
光が双方の中和剤となって、光が生み出す陰影で美しく見えてほしい。


 こちらも見る角度によって、ねじのような塔が一つに見えたり二つに見えたりします。



 熊谷文秀「Echoes of Grow ~響きあう光」

幾何学的な曲線から成る連続的な曲面は柔らかな陰影を生
み出し、光の照り返しは繊細な雪の白さを一層引き立てます。
冷たい雪の中に宿る静けさと光の暖かさを表現しようとデザ
インしてみました。


 熊谷さんは今年も、作品への穴の開け方が絶妙です。


 河﨑ゆかり「航海」(※ 﨑は崎の異体字)

作品の雪も
やがて空にのぼり
雲となり運ばれて
またどこかで雪や雨になるのでしょう

水は自由に
隔たりなくつながる地球
世界を巡ります

札幌を後にして
別の場所、別の海、別の国にたどり着く雪は
世界とつながる自然の物
雪の旅を思い
作品「航海」として表現してみました


 鳥の羽ばたきのようにも船の出航のようにも見えます。





 それにしても彫刻美術館の前庭での制作・展示から息つく間もなくこちらの制作と展示は、大変なことだと推察します。作者の皆さまは、お疲れさまです。

 雪像の状態がきれいな初日に行くのが良いのでしょうが、結局こんなに遅れてしまいました。


 今年は札幌国際芸術祭のコーナーも6丁目に設けられ、コロナ禍で中止になった2020~21年の出品予定作家ニコラス・ロイ+カティ・ヒッパによる《Yukikaki Research Station》が展示されています。





 また、テント内にはアートユニット・フジ森《みんなのコード[雪・木・星]》の投影がなされていました。
 画面左上には市内の小学校の名がクレジットされています。




2025年2月4日(火)~11日(火)
さっぽろ雪まつり6丁目(札幌市中央区大通西6)

過去の関連記事へのリンク
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美術家の雪像彫刻5基が、さっぽろ雪まつり大通公園6丁目会場に登場 (2024年2月4~11日、札幌) - 北海道美術ネット別館

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