北海道美術ネット別館

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■渡辺行夫個展「資源カメラ No.2」 (2025年2月4~9日、札幌)

2025年02月09日 09時02分59秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 北海道を代表する石の彫刻家、渡辺行夫さん(小樽在住)が、昨年の500m美術館での個展「資源カメラ」の第2弾を開いています。
 
 先に石の彫刻家といいましたが、この10年ほどは、イタドリを材料にしています。
 昨年、右肩を痛め「イタドリにしていて助かった。石なら持ち上げられない」と言います。もちろん、この事態を想定して素材を変えたのではありません。
 道民の多くは知っていると思いますが、イタドリは道路沿いなどあちこちに生えて、やたらと大きくなる雑草の一種です。春先には姿かたちもありませんが、夏には人の背よりも伸び、秋には焼け跡のように立ち枯れます。
 素材としては無尽蔵といえます。
 
 
 「集積回路 b」と「集積回路 a」。

 イタドリのチップ(かけら)を差し込んで作るタイプの作品。
 2、3か月はかかるそうです。
 
 
 左から「毛髪力 明るい未来を作るカモ a」「毛髪力 明るい未来を作るカモ c」「毛髪力 明るい未来を作るカモ b」。
 東京電力福島第1原発事故で有名になった福島県双葉町のスローガン看板
「原子力明るい未来のエネルギー」
を皮肉っています。
 後志管内の寿都町と神恵内村で進んでいる放射性廃棄物(いわゆる「核のごみ」)処分の問題について、渡辺さんには苦い思いを抱いているようです。
 まんなかの毛髪の部分はシュロを用いています。
 
 

 手前の床には、巨大な手や足を模した「伝達装置」という作品が置かれています。
 当初は壁に掛ける予定だったそうです。
 人間の脳からの命令を伝達して、地球環境や自然に悪影響を及ぼしているのは手や足ではないかという思いがこめられているのだそうです。

 個展タイトルの「資源カメラ」には、消費される資源の側も人間の行いを見ていますよーという警告のような意味が含まれています。
 「森の目」シリーズも同様で、枝を剪定された街路樹の表面の模様がこちらを見ているようなさまを模して作った作品もあります。
 札幌軟石によるフクロウの小品も展示しています。
 
  
 道内外に巨大な石の彫刻を数多く設置してきた渡辺さんですが、街の貸しギャラリーで個展を開くのはめずらしいです。見られる人は、どうぞ足を運んでほしいと思います。


2025年2月4日(火)~9日(日)午前10時半~午後6時半(最終日~5時)
さいとうギャラリー(札幌市中央区南1西3 ラ・ガレリア5階)
※H&Mのあるビルです


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