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■太田香×三村紗瑛子2人展~いつも夢のなか (2021年12月27日~22年1月30日、札幌)

2022年01月27日 07時49分52秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 ニューオータニイン札幌の企画展として地下の廊下で毎月開かれている絵画展は、今年から「北海道の画家を応援するプロジェクト」という名に変わったようです。

 昨年暮れから今年1月にかけて開かれているのが、北海道教育大岩見沢校の元同級生による2人展。いずれも20代の若手です。
 太田さんはたくさんの人物が画中で遊んでいる絵である一方、三村さんはだれもいない静かな室内を描いており、対照的なところがおもしろかったです。

 
 三村さんは、道教大で学んだ後、故郷の青森県に戻って活動しています。
 有力団体公募展のひとつ「二紀展」準会員に推挙され、有名洋画家が出品する「昭和会展」にも出すなど活躍の場を広げています。

 三村さんの絵は、微妙なタッチで、静謐な室内空間を描いたものがほとんどです。
 いわば、モランディの絵から静物を省き、まわりの空間だけを描写したかのようです。漫然と筆を置いていけば、間延びした画面になることは必定なので、これは並大抵のことではありません。

 しかも、単なる写実的な透視図法で終わっていない場合がままあるのがミソです。
 上の画像も、奥にだらんと伸びているタオルが不思議な効果を挙げていますし、手前の皿とそれが置かれた黒い台は、奥の空間と傾きが違います。
 奥のほうも、よく見ると左側の部屋と右側の部屋では高さが違い、見ていると混乱してきます。

 静けさのなかにも謎めいた余韻を残すのが三村さんの作品といえるかもしれません。




 太田さんの絵に登場するおびただしい人物の大半は、上半身は赤い服、下半身は黒いズボンというおなじ服装をしています。
 みな黒く長い髪なので、女性ではないかと思われますが、どの人物にもまったく顔が描かれていないこともあって、わかりません。
 たくさんの人物が細かく、俯瞰気味に描かれた絵というと、矢元政行さんを思い出しますが、矢元さんの絵の人物の大半が具体的に何をするでもなくうごめいているのに対し、太田さんの少女?たちは、サーカスや遊具で遊ぶなどなんの行為の最中なのかが分かるようになっています。

 ただ、太田さんの描くサーカスや公園は森のとなりに位置している場合が多いのですが、よく見るとどの絵にも、森の中にひとりでいる少女がいるんですね。
 孤独を愛しているのか、仲間はずれなのか、たまたまそこに用事があったのか。いずれにしても、切なさをかきたてられます。

 
 学校の体育館や家の居間など室内の絵もある太田さんですが、登場するのはやっぱり例の、赤と黒の服を身にまとった少女?たちです。


2021年12月27日(月)~2022年1月30日(日)午前10時~午後7時(最終日~4時)
ニューオータニイン札幌(中央区北2西1 newotanisapporo.com )地下

□三村さえこ -mimiura saeko- https://mimurandos.wixsite.com/mimura-saeko-hp

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