おでんの季節。
おでんの鍋の中をそっとのぞいて見てみます。
別に「そっと」でなくてもいいのだが、メダカの学校は川の中、おでんの種は鍋の中…
なのでメダカの流儀でそっとのぞいて見てみると、みんなでグツグツ煮えてるよー。
大根、コンニャク、たまご、チクワ、厚揚げ、すじ肉。
漢字、ひらがな、カタカナ、入り混じってみんな仲良く煮えてるよー。
誰がリーダーで、誰がサブリーダーか順位をつけると1位大根、2位たまご、3位すじ肉ということになる。
おでんの人気順位は、毎年この順位で変わらない。
1位ということは優勝ということであり、チャンピオンということであり、AKB48でいえばセンターということになり、会社でいえば社長あるいはCEOということになる。
大根がCEO?、大根がセンター?
アイドルグループのセンターといえば、それなりの華というか美貌、美貌というか、才気というか、そういうものがなくてはならない。
大根だって若いとき、おでんになる前にはそれなりに色艶があった。
元気はつらつ、太く、長く、肌の色艶よく、色気さえ感じられた。
だが、ひとたびおでんの鍋の中に身を沈めたあとの姿は、生娘が苦界に身を沈めた感さえある。
大根はセンターにはなりたくないのに、それが聞き入れられず今日まで来てしまったという。
大根は苦労したのだ
苦労人の気持ちをよく知っている。
そんな苦労をした大根は哀れであるが、そこんとこを考慮に入れて食べると、その味わい深さが身も心もしみじみ染みるのであった。