回顧と展望

思いついたことや趣味の写真などを備忘録風に

ハンガリーの人形

2012年11月07日 17時23分08秒 | 日記

今から30年以上前になるが、いまだ共産党一党独裁時代のハンガリーのブダペストに出張したことがある。何かにつけて当時のソ連の横暴が目立った地域であったが、ドナウ川沿いのホテルフォーラム(当時)の窓から見えた鎖橋とブダの王宮の夜景はそんな事とは関係なく美しかった。この外国人専用のホテルを抜け出して灯りを落とした薄暗い地元のレストランでハンガリー名物のグーラシュを食べたことを思い出す。その帰り際に購ったのが一対の陶器の人形。民族衣装に身を包んだ若い男女であるが、今でもつややかさを失っていない。やはりヘレンドに代表されるような陶器の国らしい上質な出来上がり。その後何度もブダペストを訪れたが、ベルリンの壁崩壊後はあっという間に西欧の都市に変身してしまった。道路も良くなったし、そして物価も高くなり、東欧に来た、という感慨を持つことは難しくなった。

そのハンガリーが財政危機で国民生活が圧迫されている、市場経済に移行した当時の楽観的な狂騒は去り、資本主義の冷酷な現実と向き合っているというところだろうか。娘は視線を落とし、青年は昂然と胸を張っている。

 

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