約1週間の戦闘ののち、アメリカとエジプトの仲介でイスラエルとハマスの間の停戦が合意された。これによりハマスによるロケット攻撃とイスラエルによる空爆が停止されることになるはずである。しかし、米国ABCテレビのNightlineを見ていると、ハマス側には真摯に停戦合意を順守しようとする姿勢は全くうかがえず、過去と同様、本格的な中東情勢の安定は期待できない。イスラエルは来年早々選挙を控えており、ネタニヤフ首相としてもここで弱腰は見せられず、これからもハマスからのロケット攻撃(停戦合意後だけで20発のミサイルが発射されている)、それに対するイスラエルの空爆という構図にはやはり変化はないのではないか。そもそもイスラエルの存続を認めないハマスにとって、いかなる「停戦」もその最終目標実現のための時間稼ぎに他ならない。
オバマ大統領はイスラエルに対してその自衛権に全面的な支持を表明したうえで、停戦に合意したイスラエルの決定を称賛している。日本の一部マスコミのように、イスラエル悪玉論に凝り固まった論調からは中東情勢を正しく理解できない。恣にロケット弾を発射してよろこぶハマスの指導者たちのなんと醜悪かつ冷酷なことか。内部抗争で政敵を文字通り血祭りにあげながらテロリスト集団を指揮してきたハマス指導者と、選挙で選ばれるイスラエル政府をどうして比較できるだろうか。ロケット弾に逃げ惑うイスラエル人をみて恍惚としている狂信的なハマス指導者を見ていると、まるでオウム真理教の教主と重なってくる。