植物の常として、花を咲かせる木はそこに実も付ける。というより、実をつけるために花を咲かせるというほうが正確。春には豊満な花を咲かせるモクレンも秋になるとやはり実をつける。初冬の冷たい風が吹いた今日、草木もすっかりまばらになってしまった庭の片隅でモクレンが赤い実を付けていた。白い花からは想像できないような奇怪な姿態であるが、それがかえって子孫を残そうとするかのように健気に見える。これでは鳥も寄り付かないのではないか、と。背景にはすっかり葉を落とした桜が枝を空に向かって伸ばしている。
組織トップの辞任の話が続くが、今度は誤報の責任をとってBBCのジョージ・エントウィスル会長が辞任表明。BBCの看板番組が性スキャンダルの当事者を誤報(告発者の証言の真偽を確認せず、保守党の政治家を犯人扱い)したこと、およびその前にBBCの娯楽番組の司会者が障害者に対して性的犯罪を犯していたことを身内の話として隠蔽したのではないかとの疑惑の2つが理由となっている。いずれも報道機関としての倫理面および取材に当たっての基本動作の欠如という根本にかかわるスキャンダルであり、一度ならず短期間に2度も発生した以上、トップの引責辞任は不可避だった。さらに、いずれの場合にも、性的な事柄を取り上げるにあたっての手際が余りに稚拙だった。
CIAのトップの辞任と言い、BBC編集局の隠蔽・誤報疑惑といい、いずれも性的な事件が背景にある。古今東西を問わず、人間の根本欲求の一つである性欲が事件の原因になっているとは、過日の日本IBM元社長による盗撮とも合わせ、直接の当事者であれ管理責任をとるものであれ、共通しているのは興味深い。
なお、誤報と言えば、iPS細胞手術についての読売新聞、共同通信、産経新聞の例が思い起こされる。この誤報でこれら報道機関トップは全く責任を取っていないが、そもそも日本では報道機関への信頼性が存在せず、よってもし事実と異なっているという事で誤報とするなら報道されている大部分は誤報となり、到底責任などとることはできないのだろう。