◎解説の角度〔1996年版 心理学〕
●阪神淡路大震災では被災者の心のケア(看護)が、そして、オウム真理教騒ぎではマインド・コントロールが大きな話題となった。このような形で心に関心が集まるのは、心の研究者にとって本意ではないが、心についてより深く知ってもらうためには格好の機会ではある。
●誰しもが「自分や他人の心を意のままにコントロールできたら」という強い願望を持っているからであろうか、心のケアやマインド・コントロールは、「心をコントロールする技術」への関心をより一層強めたようだ。しかし、「心をコントロールする技術」の使用に当たっては、その善悪、功罪、長短についての厳しい評価が必要なことは言うまでもないが、前提として、心への慈しみがなければならない。土足で心の世界に踏み込むような乱暴さは厳に謹むべきである。
●心への慈しみを持つためにも、心のあるがままの世界を知らなくてはならない。心理学はそのためのことばや観点を 提供する。心理学の新しい研究領域を素描した後、認知機能(知覚、記憶、学習、思考)と情意機能(感情、情緒、性格)とについて、正常と異常とに分けて、解説してみる。
▲心の時代における心理学への期待〔1996年版 心理学〕
物の豊かな社会は心の豊さも求める。社会の至るところで、心が話題になる。かくして、心理学への期待も高まることになる。そうした社会からの期待に応えるべく、アカデミックな心理学の領域の周辺に、新たな研究領域が形成され、興味深い展開をしている。
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